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「ほほーん。なるほどなるほど。だがわしにかかれば!ここをちょちょいのちょーいそしてほいほいほーい」


 なんだこの声・・・陽気な爺さんが楽しそうなんだが。音は聴こえるけど何もできなそうだ。それにしてもおかしな夢・・・

「あっ!」

ん?なんだよ『あっ!』って

「間違ってしもたもん・・・しゃーなしじゃもん」

うぉぉぉ・・・・なんかすごく不吉だぞ・・・おいジジイ何してんのか知らんが不安になるからやめろ。

 それからしばらく爺さんの陽気な声が聴こえていたが、やがて意識が遠のいた。


 体に力が入らない・・・目も開けられない・・・声も出せそうにない。だがどうやら額と胸のあたりに手を置かれているのがなんとなくわかる。だんだんと感覚・・・触覚だけではあるが戻ってきたようだ。おそらくソファーのようなものに寝かされている、頭の下にはご丁寧にも枕かクッションのようなものが置かれ、額と胸には相変わらず手が置かれている。ときどき手以外の何かが頭や顔に触れる感覚がある。なんか、ふわっふわで大きなバスタオルみたいでとても良い感触だ。

ようやく力が入りそうな気がして目を開けてみる。眩しい・・・ここはどこだろう。しばらくそのままで目が慣れるのを待っているとやがて慣れてきた。額には、うん、これは手だ。間違いない。しかもすべすべだ。もぞもぞと少し体を動かしてみる。


「あ!起きたようですね!わかりますかー?」逆光で顔は見えないが、そう言いながら顔を覗き込むように影が覆いかぶさってくる。『ふよん』ん?ふよん?ふよん・・・・ふよん・・・だと?こ!れ!は!ガバッと起き上がろうとするとなんともすばらしい感触に遮られる。そしてその感触の主である逆光の影を凝視する。そして見えてきたその顔に、僕はとても見覚えがあった。足繁く通った喫茶店、そこの看板娘であり僕の癒しである店員さんがそこにいた。

「私のこと、わかります?」

そう聞かれ、もちろんこう答える。


「コーヒー、ブラックで」二人にしかわからない合言葉かなんかですか?って思うけど、実際そのやりとりしかしたことがないからこれが手っ取り早い、そう思った。


「わっ!いつものですね!ちょっとまっててくださいねー」

うーん、これは夢かな、ワンルームっぽい部屋の中でこれはなんかもう側から見たら付き合ってるよね。え?ちがう?でも気にしない。今幸せ感じてますのでもう少しお願いします。そんなことを思っていると店員さんがマグカップを持って戻ってきた。

「コーヒーお待たせしましたー!どうぞ!」そう言ってマグカップを手渡してくる。熱いかと思ったけど全然熱くない。コーヒーも熱くないんだろうと無意識で思っていた僕は、思い切り口に含んでその熱で口の中がヒリヒリするのだが、とりあえずこう言っておこう。


「やはりドリップ仕立てはおいしいですね。」

ふっ・・・決まったな。醸し出す通の雰囲気!これでインスタントだったらやってらんないよねーアハハハ


「・・えっと、インスタントなので・・・なんかすみません。」

そんな気はしてました。はい。次いきましょう。


「あはは・・・ですよね、そうじゃないかなって思ってはいたんですけどね・・・。ちょっと状況が掴めなくて・・・。こちらこそすみません。」

そんなこんなで落ち着いてきたわけで。現状把握といきますか。

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