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じーさんに買われてから数日程度だが、あまりの急展開についていけなくなりそうになっていた。双子はどうやら喫茶店に客として通っていた俺を、当時から気に入ってくれていたらしい。俺にだって下心の一つや二つはあるし、男だし、二人は見た目も良いし、性格もたぶん良い。片方はいたずら好きだが少なくとも悪い子ではないだろう。そんな二人 に性的なアピールをされているように感じてしまうのは、独り身を拗らせた結果なのだろうか。いや、明らかにされてるな。がんばれ、俺の理性!
そして朝。寝入る時は一人だったのに起きるとなぜかサンドイッチな朝だ。腕もなぜかダブル腕枕になっている。しかも今日は困った事に朝の息子様にレイナが手を這わせている。目は閉じているが、こいつ絶対起きてるだろ。
「おい、レイナ、そういうことに興味があるお年頃なのはわかるけど、やめろください。」
「・・・ちっ、バレたか☆」
そう言って手を退けるレイナ。なんだか昨日の夜から急に大人びて見えるというか、つい意識してしまうな。
ルイナは珍しく、俺が起きてから目を覚ましたようだ。疲れが溜まってたんだろうか。よく眠れてるといいんだが。
双子は揃って実体でいることにしたようだ。不安はあるが、護身用の指輪もあるしたぶん大丈夫。
これからしばらく旅に出る事にした。ずっとこの村にいても『この世界で生活して異常を見つけたら排除する』という目的は達成できそうにないしな。
村の商人から旅に必要なものを買い、さっそく出発する。ちょっと急いでいるのには訳があって、朝のうちに出発しないと道中の森の中の魔物がいる区域で野宿することになるかもしれないからだ。その目的地は魔物がいる森を抜けた先にある小さな村。ここから北東の森を抜けた先、ということだ。
実は昨日、旅に必須な魔法を作っておいたのだ。俺の指輪を作った時に、その指輪に魔水晶を追加でつけたのだが、それに付与したのは『オートマッピング』機能。地図はきっと役に立つ、俺のゲーム脳が声高に必要性を訴えたのだ。
思いつきと言えばそうなのだが、我ながら冴えてると思う。ちなみに地図の見方は護身用の障壁と同じように発動を意識すると指輪の上にホログラフが出現する。拡大縮小も思いのまま。ついでに発光もさせることができるので、暗所での灯りにも使える。ただあまり乱用すると魔水晶に溜まった魔力だけでは足りなくなるので俺自身のSPがガリガリ削れていく事になるから注意しないとな。
小一時間ほどで森に入ったが、ここはまだ魔物もほとんどいないらしいし、鷹の目にも反応はない。魔道書にいつの間にか増えていた常時発動をオンオフできる機能をさっそく使うことにする。
他に魔法名を唱えると発動するようにできるようにもなっている。唱えるのは、言葉として発してもいいし頭の中で唱えてもいい。しかしこれはアクセサリー状態では無効で本の状態にすると有効となる。誤爆をなるべくしないために、と思ってそうした。
魔物が出てきても二人がいるしなんとかなるだろう、ということで俺はじーさんとこっそり話すことにした。
『じーさーん?ちょっと今いいかな?』
『お?三太君か。ひさしぶりじゃのぉ〜。元気じゃったかの?』
『うん、問題ないし双子も元気だぞ。』
『そうかそうか。して、孫たちには聞かれたくない話でもあるのかの?』
『うん、実は・・・』
俺は昨日あったことやこれまでの二人との出来事、の中でも当たり障りのない部分だけを抜粋して報告兼相談みたいなことをした。
『ほっほっ、そうかそうか。モテる男はつらいの〜?』
『やめてくれよ・・。これでも結構真面目に悩んでるんだよ。』
『あいやすまんの。ワシとしては孫たちの自由にすると良いと思うし、三太君も好きなようにしてくれて良いと思っとるぞい。』
『好きなようにって・・・』
『どちらか一人でも、両方でもかまわんということじゃぞい。』
『・・・・』
『それならばじゃ、ヘタレな三太君のためにプレゼントを用意してやろう。それができるまで大いに悩むといいぞい。』
『よくわからないけどわかった・・。』
『それとな、なにやら便利なアイテムを作っているらしいの?そこでじゃ、ワシも対抗して渾身の一品を作ったのじゃ。ということで今送るのでポケットを見てみるのじゃ。』
ポケットの中を探ってみると指輪が3つ入っていた。
『その指輪じゃがの、そっちの世界には魔水晶やら魔力結晶やらがあるじゃろ?それと似たようなものじゃ。エネルギーの貯蔵量はなかなかのものじゃし、エネルギー自体を生み出すようにできておる。それと荷物の収納ができる特殊な空間を内蔵しておるから便利なはずじゃ。ただし、機能を使えるのは異世界限定じゃ。こちらの世界では魔法が原則禁止じゃからの。』
その他細かい説明もされたが割愛する。
『お、おう・・・なんかすごすぎないか?どう考えてもチートなんだが・・・。』
『ほっほっ、三太君が魔道書を創ったと聞いての、刺激を受けたんじゃ。』
『魔道書、そんなにすごいのか?』
『すごいのじゃが、それよりもそれを創造してしまったということの方が重要じゃの。』
『そうなのか。ゲーム知識でイメージしたらできちゃったからそんなに苦労しなかったぞ。』
『ほほぉ。ゲームもなかなかに侮れんのぉ。さて、それではプレゼント作りをやるかの。じゃ、がんばるんじゃぞい。』
うーん、まぁ、じーさんに相談なんかしてもなんも解決しないか・・。とはいえある意味の『お許し』は出てしまったから理性が心配だな。二人には言わないでおこう。
「二人とも、じーさんから指輪プレゼントだってさ。」
二人に指輪を渡すと、思い思いの指に着けている。俺も着けてみると、指に合わせるようにリングのサイズが変わってピッタリになった。双子もすごいすごいと言っている。じーさんも嬉しかろう。
指輪の説明をすると、二人はそのチートっぷりを理解したらしい。
「攻撃魔法使いまくりじゃん・・・ふふ」
「これで三太さんをいくらでも癒せる・・・ふふ」
暴走魔法少女レイナと俺に怪我してほしそうなルイナがちょっとおかしい気がするけど、気にしない。
俺はというと、このエネルギーを使ってアイテムを作れないかなとか考えていた。大量のエネルギーがあれば、材料がなくても具現化できてしまうわけだし、アクセサリーを作るのにいつもお金自体を溶かすわけにもいかない。いくらお金が大量にあったとしても、もったいないと感じてしまうものなのだ。
魔物がでる区域の手前まで移動したところで、今日はここで野宿をすることになった。野宿とは言っても移動しながらテント(障壁でコーティングしたもの)と大きい空気ベッド(形は家のをイメージ)を創って収納しておいたので仮設住居で一晩過ごすようなものだ。それと道中木を伐採し、円形の二人くらいならゆったり浸かれる湯船も作ってある。この時点で指輪の魔力はほとんど使い切ったので回復待ちである。あとは二人にお湯を張ってもらえば即席風呂の出来上がりなのだ。
それにしても指輪の収納機能、『これを収納』と意識するだけで収納されるおかげで、持てないほどの重さでも問題ない。じーさん良い仕事してるなぁ。
食事や風呂も済ませてテントの中で寛ぐ。ベッドは一つだ。だがこのベッドの大きさは、宿にあったベッドの3倍以上、キングサイズどころではないので問題ないのだ。いや、問題が一つあった。テントの床部分がほとんどベッドで埋まってしまっている。テント、あとで大きくしよう。
最近夜になると二人がアグレッシブになるのだが、今日は静かだな。ずっと歩いてたしさすがに疲れてるんだろう。障壁がテントにコーティングされているおかげで音を遮断するのでとても野宿とは思えないほど快適だ。今日はぐっすり眠れそうだ。二人はもう寝息を立ててるし、俺も眠ろう。
次の日、昨日買っておいたほとんどパンのような食べ物を朝食にして、目標の村へ向かう。
魔物が出やすい場所に入ったので、昨日までとは打って変わって魔物と遭遇するのだが、レイナが無双しているとはいえ、断続的にやってくるのでキリがない。そこで思いつきだが、条件付きの障壁を常時オンにするとどうだろう、と思ったのでさっそく実践してみた。条件は『鷹の目で魔物と判定されたものに対して有効な障壁』。障壁に鷹の目を組み込むことで、障壁が自動で判別して侵入を阻むという便利な壁ができあがった。これで魔物が来ようが何の問題もない。突進してきても見えない壁にぶち当たるだけだ。遠距離攻撃なんてされたらたぶん貫通してくるんだろうけど、鷹の目に飛び道具を判別する機能はないしな・・・。要改良だな。
楽をするためならある程度努力する。俺はそういう男なのだ。
魔物地帯を抜ける頃にはそれまで突進を繰り返していたイノシシや熊の魔物は諦めて去っていた。指輪のエネルギーはというと、攻撃が激しい時は少し減っていたが、去ってからは回復していっている。この分なら基本常時展開で良さそうだ。もしものときは護身用の指輪に頼ればいいだろう。
しばらく歩いていると村が見えてきた。昨日まで滞在していた村とは違い、農村といったところか。村の周囲には麦畑のようなものが広がっている。夕焼けで黄金色に輝いているように見える。
村に着くと、革を何枚も重ねた分厚い皮鎧に大きな棍棒のようなものを背負った大男が門番をしていた。
「お!旅人かい?珍しいなこんなド田舎に来るなんて。それにべっぴんさんを二人も連れてるとは、あんちゃんなかなかやるねぇ〜」
気さくな感じで声を掛けてくる。ルイナは「べっぴんさんだなんて・・・」と頬を赤らめてもじもじしているし、レイナはなぜかドヤ顔だ。俺は笑ってごまかす。
「いろんなところに行ってみたくてね。ところでここは農村みたいだけど宿はあるのか?」
「おう!ここハテ村には1軒だけだがあるぜ!まぁ外から人が来るなんて滅多にないから、普段は食堂をやってるよ。そこの飯がなかなかうまくてな、なによりそこの娘がべっぴんでな、ついついここに居座っちまって、いつの間にかここで警備の仕事をしてるってわけよ。」
「ほぉ。べっぴん・・・くわしk」
背中に鋭い視線を感じたのでやめておく。
「はっはっは!あんちゃんは大変そうだな!」
「い、いやぁ、それほどでも。」
「んで、宿は村の中央にあるぞ。今頃仕事終わりの村人で賑わってるだろうよ。」
宿に向かおうと歩き出すと、門番が慌てて駆け寄ってくる。
「あんちゃん!逃げろ!魔物がきた!あいつはやばい、俺じゃ無理だ!」
そう言って村の中心へ走っていった。村の外を見ると、熊の魔物が走ってくるのが見える。それから少し経つと鷹の目で感知した。範囲狭かったな。これも要改良か・・・。
熊の魔物が村に到達する頃、門番が戻ってきた。村人に知らせて来たようだ。
「あんたじゃ無理なんじゃないのか?逃げなくて良いの?」
「あぁ無理だ!だけどよ・・・惚れた女がいるんだよ。その居場所を守りたくて門番やってんだ・・・例え無理でも逃げられるかよ!」
「なるほど。でも無理なんだろ?」
「・・・なぁ、あんちゃん、無理を承知で頼む!手伝ってくれねーか?」
「報酬は?」
「俺ができることならなんでもする。酒でも金でもなんでもだ!」
「おっけー、その話乗った。」
周囲には農具を持った村人が数人いるし、言質はとったぞ。ふっふっふ。今日は門番のおごりでうまい飯だ。
ルイナとレイナのジト目は無視しよう。
「じゃあ門番とその一行は門の外に出ないでくれ。外には俺が行く。」
「アタシも行くよ!むしろアタシが燃やし尽くす☆」
「それじゃ困るから・・・ここの農作物を灰にしたら農具でボコられるの俺らだから。」
レイナを納得させ一人で熊の魔物と対峙する。こうしてみてみるとでかいな。5メートルはありそう。地球でこんなのと遭遇したら絶対ちびるっていうか漏れる。でもここでは魔法があるし大丈夫だ。っていうかこの熊・・・森でしつこかったやつじゃね?まぁいい。
自動障壁を展開してあるので熊の魔物は見えない壁に阻まれている。そこで気になることがあったのでルイナにこっちに来るように手招きする。
「この世界って魔法使う時に詠唱ってするものなの?」
「はい、むしろ無詠唱で魔法を使える人なんて滅多にいないと思いますよ?それに出来たとしても効果は薄い魔法になるかなと。」
「ほうほう。じゃあなんか適当にそれっぽくした方がいいのか。決まった詠唱とかってあるの?」
「一応あるようですけど、気にしなくてもいいと思います。」
とのことなので、それらしい詠唱を考えて唱える。魔道書はもちろん使う。発動しなかったらかっこわるい。詠唱なんていう厨二なものは諸刃の剣なのだよ。好きだけどね個人的に。
『我ー、魔の深淵を覗く者ー。我が操るは大気ぃー、成すべき姿は刃ぁー。刃をもって彼の者を両断せよー。エアスラッシュ!』
ぺらぺらぺら・・・うん、魔道書ありがとう。ちょっと棒読みだったからかな?俺の詠唱じゃ発動しなかったよ。
発動と同時に圧縮空気の刃が熊の魔物の首へ吸い込まれるように飛んでいき、そのままなんの抵抗もなかったように首を落とすことに成功した。立ったまま絶命し、やがて崩れ落ちた。
いやぁ・・・すんごい血飛沫。もはや噴水。
振り返ると門番と村人が顎が外れそうになっている。
しばらくして我に返った門番たちは『英雄だー!』『魔道士様だー!』と騒いでいる。
俺と同様ルイナはちょっと困ったような顔をしている。レイナはドヤ顔だ。
「忘れてないよね?」
「あ、あぁ・・ただものじゃないとは思ってたがまさかこんなすごい魔道士だったなんて・・・。礼はする!約束通り、俺の全てやる!魔道士様がいなければこの村は終わってたかもしれん!」
俺が来なけりゃ熊も来なかっただろうけどそこには敢えて触れない。
「よし、じゃあその魔道士様とか英雄とかやめてくれない?あと他言無用な。村の外の人間には特に知られたくない。それをちゃんと聞いてくれるなら宿の晩飯3人分。それで手を打とう。」
と、いうわけなのかなんなのか、宿の食堂で宴会が始まった。熊の魔物は農民の手で上手に処理して捌かれたのだが、売ると結構いいお値段になるらしい。門番が買い取ることにしてその金を俺に渡そうとしてきたので拒否していたのだが、どうしてもとうるさいので金貨1枚だけ貰うことにした。思えばこの世界に来て初めてのお給料である。その残りで飲めや歌えやとなっているのだが、こんな小さな農村でこんな無計画に食料を消費していいんだろうか。
そうそう、宿の娘は20代になったばかりに見える、肩くらいまでの少し強付いた濃い金髪碧眼、顔は整っていてスタイルもよくなかなかの美人だった。村のアイドルなんだろうな。などと思っているとその娘から声を掛けられる。
「あ、あの!英ゆ・・冒険者様!この度は本当にありがとうございました!村が無事なのはあなた様のおかげです!」
「そんな大げさな。それに門番がこの村に好きな女がいるから絶対に退けないんだーって言ってたからちょっと頑張る気になっただけだって。だから俺じゃなく、俺のやる気スイッチを押した門番に感謝するといいよ。」
その言葉で一瞬周りから音が消える。まぁね、実は助ける気ありませんでしたーって聞こえる言い方だし仕方ないね。と思っていると・・・
「ちょっとのやる気で熊狩っちまうだか・・」「やっぱ英雄様はおらたちとはわけがちげーんだな」「これが別格ってやつだべか?」「すげぇ、すげぇよ英雄様」
などなど好き勝手言ってる。そこじゃない。君たち、もっと楽しそうな話題があるだろう?門番のことも思い出してあげなさいよ!
「そういえば英雄様が門番がどうのって言ってなかったべか?」
そう!それだよ君!その話を是非続けてくれたまえ。
「門番の好いてるおなごって、宿の娘っ子だべな。」
「んだんだ。だども門番のやつ、毎日振られてるべよ。」
「毎日振られてんのに命張っただか・・・。漢だ。」
「んだな、漢だ。門番は好いてるおなごのために命張れる漢だ!」
「「「「門番!門番!門番!」」」」
村人たちの門番コール。っていうか周知だったの?毎日振られてんの?ばかなの?しぬの?死にかけたよね実際。馬鹿だね。でもおもしろいからいいや。
そうやって俺の悪い部分が出て楽しんでいる間、両隣でなんどか指輪の障壁が発動していた。
二人ともかわいいし美人だから仕方ないけど、二人とも障壁の使い方上手だな。
その日は久しぶりに酒を飲んで、割と良い気分で宿の部屋に戻った。大きめのベッドが一つしかないのはなぜだろう。そういう風に思われてたんだろうか・・・。
そうそう、門番、あの後また振られたらしい。でも諦めなければもしかしたら、ね?だからがんばれ門番。
酔い冷ましついでに少し歩き、岩に囲まれた場所に風呂を出して入ることにした。一人用五右衛門風呂を3つだ。それを並べて3人で湯に浸かる。風呂の周りを木の板で囲えば風除けにもなってのんびり露天風呂の完成だ。
風呂を終えて宿に戻ろうとすると、じーさんから念話が飛んでくる。
『三太君、プレゼントができたぞい。』
『そういえばそんなこと言ってたなー。で?何をくれるんだー?』
『これじゃ!ポケットに転送しておいたぞい。』
『・・ん?また指輪か。今度はどんな指輪なんだー?』
『おや?三太君、もしかして酔っとるのかの?』
『あー、熊狩ったら感謝されて酒飲んだ。もう飲めん。』
『ほっほっ、なるほどの。それはちょうどいいかもしれんの。その指輪はの、一言で言うと体調管理のための指輪じゃ。疲れた時などに回復しやすくなるといったようなものじゃの。』
『ただでさえ魂がどうのとかで疲れにくいのにこれつけたら24時間働けそうだなー。』
『そうじゃの。まぁ励むと良いぞい。ではの!』
宿の部屋に着くと、先ほどじーさんから貰った指輪をつけてベッドに横になる。
これで明日は疲れもスッキリなのだろう。便利な世界だ。
真夜中
双子もベッドに横になっていて、双子サンドになっていた。そういえば大人しいけど、二人ともどうしたんだろう。
「二人ともどうしたの?元気ない?」
「そんなことないれすよ〜」
「いつもどおりだぉー」
・・・え?飲んだの?酒。ダメでしょ未成年でしょ。異世界なら適用外かもしれないけどさ。
「じゃあいつもどおりにぃー、おじさんとイチャイチャするー」
「わらひもするぅ〜」
言うなり覆いかぶさってくる二人。いろいろ当たる。ふとその耳には見慣れないピアスが見えた。
「ちょ!まってまって!ってかそのピアスどうしたの?」
「気付いちゃった〜?」
「気付いちゃいました〜?」
「うん、気付いちゃったからどうしたのそれ?」
「おじーさまがくれましたぁふふっ」
「おじーちゃんがくれたーへへ」
じーさんがくれたってことはなにかしらの効果が付与されてるんだろうけど・・・
「これつけてるとねー」
「これのこーかはですねー」
「おじさんが好きなだけ出してもへーきなんだって///」
「三太さんにいっぱいされても大丈夫らしいれす///」
な、なんだってー!?脳内に雷が降り注ぎ、心の中で絶叫する俺。
風呂の帰り道に聞いたじーさんの言葉が走馬灯のように思い出される。
ってことはこの指輪・・・元気は元気でも精力なのでは・・。となるとこれは暗にじーさんが完全バックアップしているということになるのだが。
などと思考を巡らせていると、分身がちろちろとされたりパクッといかれたり、かと思うと柔らかいものに圧殺されそうになったり大変なことになっており、上は上で侵入してくる蠢くものに攻められたりつい攻め返してみたり、半ばやけっぱちの心境だった。
その中で「やっぱりおじさんには少し強引にするのが正解だったんだねー」とか「初めてなのに吸われちゃった…」とか「いきなりぺろぺろしたからじゃない?アタシもー☆」とか、嬉々として襲い来る様子に、「これが肉食か…」と言ってしまったのも仕方ないと思う。
二人を満足させれば疲れて眠るだろうと思い、分身以外(口舌手)を使って……漏れ出す嬌声に頭をやられるが、おとなしくなるまで攻めるのをやめない覚悟をもって、蜜に濡れた口や手は硬く主張している二人の蕾を重点的に撫で、二人の体力を奪っていった。
やがて『くたぁ』っとなった二人だったが、自分たちばかりでは嫌だったらしく二人で攻めたててくる。息ぴったりの連携で。両サイドから二つの口、二つの舌というのは初体験だった上に口の中の感触はえも言われぬものがあり情けないがすぐに果てた。その時それを察した二人が先端を集中して刺激しながらそれを奪い合うような音がたつ。しばらくの間刺激に敏感に反応する分身を弄ぶかのように舌を這わせ、再び果てたものを二人で啜っていた。
「ふぅ、今日はこのくらいで勘弁してあげるね。次は・・・ちゃんと貰ってね、おじさん。」
紅潮し満足げな顔で囁き舌なめずり。すぐにレイナは腕にしがみついて寝息を立て始めた。
一方ルイナは腕の上ですぐに寝付いたようだ。
あぁ、たしかにこの指輪回復効果あるわ・・・・分身が音もなく復活していた。
手遅れではあるけどこれ以上復活されても困るので外しておこう。
それにしても展開が早いというか……そこまで好かれてるのか?なぜに?これは夢?
そんな思いは意識が離れると同時に消え去った。




