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妄想備忘録  作者: 坪川素晴
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平成30年12月07日(金)

1回目

 坪川素晴、アラサー、独身、どこにでもいるサラリーマン。俺は昔から小説を書くことに憧れてきた。いくつものの名作群を読み、あわよくば自分もいつかはそんな作品を何か一つは成せるのではないか、実に大胆なことを夢想しさえもした。しかし残酷にも歳月は流れ、そして何も起こらなかった。当然と言えば当然であるがその最大の要因は、物書きとしての才能云々以前の問題で、批評家気取りで一人前のことを吹いて回りながら何もしてこなかった自分自身であることは、他ならぬ俺が一番よくわかっている。そんなことに思い悩むたびに、『「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」とはよく言ったものだ』とか、改めて名作の名作たる所以を知り、同時に自分との余りの遠さを実感させられ、更に自己嫌悪するという完全な悪循環に陥っている有様だった。このままでは成したいことを何も成せず、ただただ無為に人生が終わってしまう。さりとて小説を書こうにも、何もしないことに慣れきってしまった今の俺には、もはや自分が一体何を、どのように書きたいのかさえもわからなくなってしまった。


 悩んだ挙句、一つの試みとして今日から一風変わった日記を付けることにした。いきなり「小説を書く」というのはハードルが高いのでやめて、「ともかく妄想でも何でも良いから、小説を書こうとして考えたこと、思ったこと、すなわち自らの心象を、文章にして書いてみる」、という試みである。名付けて「妄想備忘録」。本当は「妄想日記」にしたいところだが、毎日書ける自信もないので、その為の「予防線」として「備忘録」とした。これならば日記に限らず、短文、雑文、メモの類まで幅広く許容できる形態になるはずだ。加えて自分の仕事や生活に支障をきたすといけないから(そんなリスクを犯す度胸はない)、書くのは一日30分としよう。


 この試みがいつまで続くかはわからない。仮に続けられたとしても、「ゼロ」はいくら足しても結局「ゼロ」のままかもしれない。しかし、うまく積分していけば「ゼロ」ではないナニカが得られるかもしれない。そんなささやかな希望を抱きつつ、ささやかな試みをはじめてみる。

2回目へ続くのだろうか?

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