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鬼闘神楽  作者: 武神
第3章 闇からの挑戦
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弐拾参ノ舞 ネクロ・パーティー

面白いPS4のゲーム募集中

「クソ、邪魔だっ! そこをどけっ!!」



 一哉は群がる『魔人』をいなしながら、何とか結衣の方に近づこうとする。

 だが、いかんせん数が多すぎる。


 一人一人の力は大したことが無いのだろうが、あまりにも手数が違いすぎるのだ。加えて、こちらの攻撃は明らかに人外な身体能力で躱されてしまう。

 規模の大きい、範囲攻撃の霊術を撃てればまた戦況も変わるのだが、ひっきりなしに一哉を引き裂こうと閃く刃から身を守るのに集中力を割かれて、術の構築をしている余裕が無い。


 一哉も、何とか剣術と霊術で攻撃を躱し続けているものの、このままでは間違いなくじり貧だ。

 一哉の総霊力量は決して貧弱なわけではなく、むしろ豊富な方だが、一方的に霊術のムダ撃ちをさせられているこの状況が続けば、いずれ負けてしまう。


 そして、そうして防戦一方の戦いを繰り広げているうちに、寛二――――――【壬翔】は結衣の目の前へと到達していた。

 一応、佐奈と咲良が立ち塞がるように結衣の前に立つが、二人では時間稼ぎにすらならないだろう。

 これまでの話が正しければ、【壬翔】は上級鬼闘師が全く相手にならない程の敵だ。

 そんな敵を相手に、3ヶ月前に任官されたばかりの佐奈と、鬼闘師ですらない咲良が抗える訳がない。


 そして案の定。

 どういった手段を使ったのかはわからないが、ナイフを振るうこと無く佐奈の薙刀を真っ二つに切断して。



「やめろ…………! やめろ、嶋…………やめろおぉ!!」



 目の前の。

 手を伸ばせば届きそうな距離。

 それなのに、その手は届かなくて。

 夢で垣間見た、母を失った光景がフラッシュバックする。


 一哉の叫びは届かない。

 叫びだけでは意味がない。


 あれから、力を付けた。

 幼き日に憧れた父と同じ高みに立ち、ただの怪魔との戦いには不要なほどの力を得た。

 それなのに、何も変わらない。

 また何も護れない。

 そう、思った時、再び一哉の頭の中を破滅的な思考が駆け巡る。



 ――――目の前の敵を斬り刻みたい

 ――――俺の手を煩わせる全てを

 ――――全てを壊し尽くすまで

 ――――斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って切り裂く!



 そんな考えに脳細胞が支配される。

 どす黒い思考に心が飲み込まれ、一哉の視界が紅く染まる。

 そのまま何かが自分を突き破りそうになって――――



 ――――ササササササッ……ザクッ!



「はいストップ~、一哉君。お姉さんが手伝ってあげるから、ちょっと落ち着きなさい?」



 一哉が再び我を失いかけたとき、突如眼前の『魔人』の何人かが両断された。

 両断された『魔人』は切断面から血を噴き上げることも、断末魔の叫びをあげることもなく、倒れ、息絶える。

 その光景に、一哉の理性も僅かに戻ってくる。

 そしてそれを為したのは、広島へ帰った筈の神坂美麻その人。


 美麻の突然の登場に『魔人』達の意識が、初めて一哉以外へと注がれる。それまでは一糸乱れぬ陣形で一哉に攻撃していた『魔人』達にも乱れが生まれ、更には何人かは美麻の方へと向かっていく。

 そしてその隙を見逃すような一哉ではない。未だ健在の『魔人』達の身体を蹴り飛ばし、無理矢理道を作ると、一直線に【壬翔】へと斬りかかる。



「嶋ぁ……! 貴様!!」



 猛然と斬りかかる一哉の剣戟。

 それを【壬翔】はナイフ一本で凌いでいく。



「ハハハ。まるで制御の効かなくなった狂犬ですね、南条一哉。それにしても、神坂美麻を広島から呼び戻したのは貴方ですか? そもそも、貴方が何故ココに来れたんです。」


「そんな事、どうでも良いだろう!」



 怒りの袈裟斬りを【壬翔】へと浴びせる一哉。

 大きく前に踏み込んで放つ、強烈な斬撃だ。

 だが、【壬翔】はその一撃すらも軽々と受け止めてしまう。



「いえいえ。僕としては完璧に仲間面してたつもりだったんですから、なんでわかったのか、後学のためにも教えてもらいませんと。」



 鬼気迫る表情で鍔迫り合いに臨む一哉に対し、あくまでも【壬翔】は飄々と返す。ナイフ一本で刀による斬撃を受け止め続けるという地味な技巧を発揮しながらも、涼しい顔だ。

 【壬翔】の細身のどこにそんな力があるのか。

 鍔迫り合いも、やがて一哉から諦めざるを得なくなり、一度後ろに跳んで距離を取る。



 こうして一旦退くことで、一哉は頭に上りきった血が少し引いていくのを感じた。当然ながら、突如現れた美麻のお陰で当座の危機が回避できたことも大きい。

 そして、この横槍のお陰で、幾分かの思考力も戻ってきている。


 一哉は少し呼吸を落ち着かせ、改めて【壬翔】を見やる。

 眼鏡をかけた白髪の童顔に、嗜虐的な笑みを浮かべる【壬翔】の様子は一哉の知る嶋寛二とは全く重ならない。

 自分が感じた違和感と佐奈からの連絡。

 それを併せて判断したがゆえに取った行動だが、いまいち実感が湧いていないのも事実だ。

 それゆえに、連続通り魔という隠れ蓑を使ってまで自分を狙う敵の正体。

 それを探るには、丁度良い機会であると一哉は判断する。

 態々、敵に情報を与えてでも、ここは攻めるべきと――――――



「最初は本当にただの気まぐれだったんだがな……」



 一哉は朝家出てからずっと、龍の腕を持つ能面の人物――――「龍の遣い・アイナの子」を名乗る人物の手がかりを探るため、過去10年程の対策院の資料を漁っていた。


 膨大な数のデータだ。

 当然ながらその全てに目を通すことは事実上不可能だ。

 そこで一哉はキーワードを「竜」に絞って資料の検索をすることにした。

 現状、アイナに関する確定情報は竜の腕を持つということだけ。それ以外にも気になる情報が無いわけではないが、どれも不正確で当てにならない。


 しかし、結果は芳しくない。

 そもそも竜――――――ドラゴンという存在はこの日本には無く、その資料ですら対策院のデータベースに残す必要がない。

 情報としては仕入れるが、対策の必要がない様なモノにまで情報収集のリソースを割くのは無駄であると言うことだろう。

 中には特級鬼闘師である筈の一哉ですら閲覧できない閲覧禁止資料があり、遅々として進まない情報収集に苛立ちすら感じる程であった。


 結局半日かけても、アイナに関する何の手がかりも得られなかった一哉は、息抜きを兼ねて、たまたま思い付いた「あるワード」で検索をかけることにし――――



「出てきた結果には、俺も目を疑わざるを得なかったさ。何せ、『嶋寛二』という人間は6年前に失踪している。」


「…………」


「普通であれば、その事件の結末も連なるはずだ。見つかったのか、死んだのか、未だに行方不明なのか。だが、『嶋寛二』の失踪事件にはそれらが何もなかった。それにも関わらず、『嶋寛二』は対策院に1年前に入っている。」



 ほんの気まぐれに対策院のデータベースに検索をかけたのは『嶋寛二』というワード。

 そして出てきたのは、対策院系列の孤児院『月詠園』にかつて居たという『嶋寛二』という少年のパーソナールデータと失踪したという事実。そして、それに連なる鬼闘師『嶋寛二』のパーソナールデータと任官の事実。



「まあ最初は同姓同名かとも思ったんだがな。流石に、別人で生年月日も血液型も同じなんてあり得ないだろう。そしてそこに、佐奈からの、咲良がお前と結衣を追っているという連絡。これで、疑う理由は充分な筈だ。」


「…………なるほど。データの改竄と抹消を徹底させなかった僕のミスですか。僕もそれなりに経験を積んだつもりでしたが、まだまだ甘いですね。」



 少し大袈裟な仕草でガッカリした様な態度を見せる【壬翔】。だが、その顔はとても落胆しているような表情には見えない。むしろ、どうでも良いといった様子ですらある。

 恐らくは実際には一哉に裏切りが露見した理由などどうでもいいのだろう。

 事実、サラッと重要な事を溢している。


 であれば、一哉がここでするべきは、少しでも多くの情報を引き出す事。僅かに掴んだ、情報という獲物に繋がる糸を手繰り寄せる事。



「データの改竄と削除? つまり、お前はやはり『嶋寛二』ではない全くの別人で、対策院の誰かがお前の対策院への入局を手引きしたという事か?」



 一哉の考えはこうである。

 【壬翔】は対策院の敵対組織の構成員。

 対策院には内通者が居て、6年前に失踪した『嶋寛二』に成り代わり、【壬翔】は対策院へと入り込んだのではないかと。

 それでも【壬翔】が一哉だけでなく、なぜ結衣をつけ狙うのかはわからないが、その可能性が高いだろうと。

 だが、そんな一哉の考えはアッサリと否定される。

 それも、態々正答を付け加えて――――――



「色々考えたみたいですけど、間違いですよ、南条一哉。」



 【壬翔】は右手に持つタクティカルナイフをくるくると弄びながら、一哉に語りかける。



「まあ、どうせこれで貴方と会うのも最後なんですから、教えてあげますよ。僕は紛れもなく6年前に『月詠園』から連れ去られた『嶋寛二』本人です。」


「…………何?」


「まあ、正確には元・嶋寛二とでも言うべきでしょうか? とにかく、【神流】様から選ばれた僕は、6年前、対策院の人間となる道を棄て、ある組織へと加入しました。そこで僕は知ったんですよ。この世界の真実と、この世界で『僕自身がどう在るべき』なのかを。そして、僕は『僕が僕らしく在る』ために、自由に生きることを決めたんです。『人間』という窮屈な存在を棄ててね。」



 【壬翔】はまるで楽しい思い出を語るかの様に、愉しげな表情で語る。

 その様は無邪気な子供の様でもあり、堕落を貴ぶ悪魔の様でもある。



「それからは、組織の命令をこなしながらも、愉しく日々を過ごさせてもらいましたよ。何しろ、人間の枠組みに入っていたらできない事が、『僕が僕で在る』ためにすべき事が何の制限も無くできるんですから!」


「…………『お前がお前らしく在る』ためにすべき事とは何だ?」



 一哉はどこまでも愉しそうに話す【壬翔】へと問いかける。

 今までの【壬翔】の話してきた内容。

 そして、今まで【壬翔】がやってきた事。

 一哉が知る範囲の出来事だけでも、それを総じて見れば、帰ってくる返答がロクなものでない事位わかる。

 全く理解の及ぶ事ではない事だけは、聞くまでも無い。



「『僕が僕らしく在る』ためにすべき事が何かって…………?」



 だが、それでも聞かずにはいられなかった。

 仮にも【壬翔】――――――嶋寛二は仲間として動いていた時間だってあったのだから。



「そんなの決まってるじゃないですか…………。」



 だからこそ、目の前の寛二が赦せない。

 だからこそ、今の狂気に満ちた寛二の顔を見たくない。

 そして、その返答には耳を塞いでしまいたくなるのも無理の無い話だった。



「好みの女を、裂いて、殺して、犯しつくす事ですよ!!」



 理解の出来ない言葉を一気に吐く【壬翔】。

 【壬翔】の気持ちなど、毛先ほども一哉には出来ない。

 唯一理解できる事があるとすれば、それは、【壬翔】――――嶋寛二という人間がとうに壊れてしまっているという事。


 そういえば――――と、一哉も記憶を辿る。

 連続通り魔事件の被害者のうち、女性はすべからく殺された後に犯されていたのだと。犯人が対策院関係者を襲い続けるという傾向の中で、明らかに異質だった唯一の点。

 そうであれば、直接の犯人の手がかりに結び付かなくとも、犯人は組織的な人間で、屍姦だけは個人の趣味だったと考える事も出来た。


 そう考えるなら、南条家を襲撃してきた『魔人』がダミーだったと考える事もできた筈だった。

 今回の出来事、その全てが【壬翔】、そしてその後ろにいる組織の筋書き通りだったという事だろう。


 北神神社の境内に響く、狂ったような笑い声。

 一哉はただ、それを静かに聞き届けることしか出来ない。

 そうする事でしか、今一度噴き上がりそうになる怒りの炎を抑えられそうになかったから。



「…………そうか。じゃあ、結衣を狙ったのも、他の被害女性の遺体が汚されていたのも?」


「当然。僕好みの女性だからです。まあ、結衣さんに関してはそれだけじゃないんですがね。」


「それだけじゃない…………?」


「おっと。これは流石に口に出してはいけませんねぇ。【神流】様に処分されてしまいますから。」


「そうか…………」



 【壬翔】はニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら、タクティカルナイフを順手に構え、その刃先を一哉へと向ける。もう話は終わりだという合図のように。

 もうこれ以上は何も聞き出せないのだろう。

 そして、そうとなれば最早枷も必要がない。

 自分の怒りを抑えつける枷は。



「もう喋らなくて良いぞ、嶋…………。俺が、その腐りきった魂ごと、消してやる…………っ!!」


「はっ! そのセリフ、不殺を貫く南条一哉が聞いて呆れますねぇ。 まあ…………死ぬのは貴方の方ですけどねぇ……っ?! 顕現せよ『異界ノ刃』――――――!!」



 【壬翔】の左手に、忽然と濁った白い光を纏った歪な形の刃が現れる。

 そして、それを合図に、再び戦いの火蓋は切って落とされた。

 一哉は【神裂】を地面へと突き刺し――――――



● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇



「ハイ、キミで6人目――――――っ!」



 神坂美麻が振るった大鎌に裂かれ、また一人『魔人』が両断される。

 かれこれこれで6人目。残りは僅かに二人を残すばかりになった敵の『魔人』軍団だが、まるで動揺した素振りを見せない。というより、敵から動揺どころか殺気すら感じられない。

 まるで、感情を削り取られた人形のように、無機質に、不気味に、そして機械のような緻密さで動いてくる。

 そして何より――――――



「またしても、血を一滴も流さない………………のね。」



 美麻が斬り倒した『魔人』達。

 それは、まるで血抜きされた家畜の肉のように、血の一滴も垂らすことがない。ただ人の形をした肉の塊のよう。



「これじゃ、まるで死体よね~。『動く屍人(リビングデッド)』――――――それが『魔人』の正体って事かしらね~?」



 『魔人』達は、一言も発すること無く。それこそ、深い傷を負ったとしても、呻き声の一つをあげることもなく、ただひたすらに美麻へと向かってくる。

 この『魔人』達が自我を持っていないのは明確だ。

 どんな術を用いて『魔人』達が運用されているのかは、美麻の知ったことではない。

 だが、この「死体が動いている」という仮説は、美麻にとっては不都合であることには違いがない。

 そしてそれは、美麻のとある「特技」と関係がある。



「私の『アレ』が使えないって事は、この子ら、死体確定なんだろうけど…………やりにくく仕方ない…………わねっ!」



 また一体、『魔人』が両断されて地に臥せる。

 フードが外れて見える『魔人』の死に顔は、無機質な無表情で、絶命の恐怖など欠片も感じさせない、気味の悪いものだった。

 だが、美麻には漏れ無く「人を斬った」という感触が手に残る。残ってしまう。


 長期に渡って対策院に所属する美麻は、その超法規的な権限を用いて、敵対する人間を処分したこともある。それは鬼闘師達にとっては必ず一度は通る道。少なくとも特級の中では、南条一哉だけが忌避し続ける通過儀礼。

 だから、美麻には人を斬ることに関して特に躊躇いはない。

 例えその相手が生者であろうと、死者であろうとも。


 だが、人を斬る事に躊躇いが無くなったからといって、別に嫌悪感まで無くなった訳ではない。輪廻転生の理から外れた怪物、そして理性ではなく本能で動くである怪魔を斬るのと、意思を持った人間を斬るのとでは、その意味合いはやはり違う。

 美麻だって人を斬らなくて良いなら、その方が良いとは思っている。


 美麻の法具は普通であれば、重く、しかも死角だらけと、武器としてすら成立し得ない大鎌。

 しかし、しっかりと腰だめをして放った斬撃は、その重量ゆえに抜群の切断力を誇る。霊術と組み合わせれば、抜群の攻撃力を誇る。


 だが、その抜群の切断力故に「肉を斬った」という感触が残りやすい。

 西洋では死神の鎌を「デスサイス」などと言うが、冗談や誇張抜きで「命を刈り取った」という事実を美麻に突きつけるのだ。


 美麻の秘技は、その感覚を少しでも薄れさせるために開発されたもの。

 生者の陽の気の流れを「視」、そして相手の動きに合わせて斬って陽の気を断つ事で、必要最低限の手数と攻撃で相手を絶命させる技能。

 つまり、陽の気を持たない怪魔や死体には使えない。


 美麻の秘技が使えないということは、相手は死体と言っても差し支えがない。

 だが、それを頭で理解したところで、やはり動き回る人体を見れば、それは「生きている」と思ってしまうのが人間だ。



「海外の邪法では、死体を操る儀式なんかあるみたいだけど。ほんと、こんな胸くそ悪い事してるのは、誰なのかしらね~。」



 「金」の属性霊術で更に強化された、大鎌の斬撃を『魔人』に浴びせる。

 手に伝わってくるのは、肉も骨も一気に叩き折り、斬り落とす感覚。いつになっても慣れることの無い、生命を奪う感触。

 元から死体である存在の生命を奪うというのもおかしな話だが。


 美麻は最後の『魔人』を斬り棄てると、一哉と戦う寛二の方を見る。

 嶋寛二が美麻の元で活動していた期間は僅か半年ほどだが、今の寛二を見る限り、自分に見せていた一面など彼にとっては「仮面」に過ぎないのだろう。

 そして寛二は連続通り魔事件の犯人――――――自分が可愛がってきた後輩である清水陽菜を殺した仇である事もわかった。


 元々は勝手に東京に出ていった寛二を追いかけて、東京に出ただけだった。

 だが、話は美麻の知らないところで勝手に展開していた。



「本当に胸糞悪くなるのは、これからかもしれないわね。」



 美麻は一哉と寛二の方へと近づいていく。

 ざっと見た感じでは、一哉がほぼ互角だ。鬼闘師としては、圧倒的な力を持つ筈の一哉が互角。

 要因はたった一つ。

 先日自分が戦った『魔人』の能力と同じように、不可思議な力に翻弄されているから。


 幾ら美麻とはいえ、あまり特級鬼闘師の戦いに割って入るなど誉められた真似ではないのだが、少し手を出す必要が有りそうだ。

 そして、これ以上に―――――

 寛二を問い詰めねばならない。

 なぜ自分達を狙ったのか。

 なぜ陽菜を、他の犠牲者達を殺したのか。


 美麻は大鎌を高く振り上げると、そのまま振り下ろした。

次回第3章決着編


いつも読んでいただきましてありがとうございます。

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