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鬼闘神楽  作者: 武神
第3章 闇からの挑戦
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extra episode 11【西薗家のある少女の日記】

今回は「西薗栞那」という人物の日記紹介風のextra episodeとなります。

 この手記は、10年前の西薗家殲滅戦の際に、西薗家本邸の地下牢獄から発見されたものである。




●2002年5月15日

 私の名前は西薗栞那。

 今日は学校の帰りに、文房具屋さんでかわいい日記帳を見つけたので、これから日記をつけていこうと思う。

 でも、勢いで買ったはいいけど、日記って何書けば良いのかわかんないや。

 とりあえず何かあったら日記を書いていく様にしようかな?


●2002年5月22日

 前の日記からもう一週間も経っちゃった。

 相変わらず何を書けば良いかわかんない。


●2002年6月1日

 今日は親戚の家に行った。お父さんのお兄さんの家で、本家ってところだ。

 よくわからないけど、本家のお屋敷に他の親戚も皆集められたんだ。その本家の「当主」って人が、「これから、私達は対策院を打倒すべく、団結しなければならない。」とか言ってた。

 どういう事?

 対策院って、私達がずっと中心になって活動してきた組織でしょ?

 それを打倒って…………


 そういえば、本家のお屋敷でリーサちゃんっていう、綺麗な金髪の女の子に会った。リーサちゃんは本家の娘さんみたいで、親戚の集まりの時は当主のおじさんの隣に座ってたけど、凄くつまらなさそうにしてた。

 「最近、パパの様子がおかしいの…………」だって言ってた。

 本当に大人の考える事ってよくわかんない。


●2002年6月2日

 今日、リビングに行ったら、お父さんが「兄さん、本当にどうしたんだ…………」って頭を抱えてた。私が声をかけたら「なんでもないよ」だって。

 嘘ばっかり。


●2002年6月14日

 日に日にお父さんの元気が無くなってきた。

 私には何も教えてくれないけど、ちょっと心配。


●2002年6月19日

 最近はお母さんもどこか元気が無い。

 あの集まりの日から、何かがおかしくなっちゃった…………。


●2002年6月28日

 家に、南条の家の聖さんが訪ねてきた。

 私は喋ったことないけど、本当のたまにうちに来る人だ。

 「頼む、一の暴走を止められるのは、弟であるお前だけなんだ!」なんて聖さんの声が聞こえてきた。

 その後のお父さんは、やっぱり頭を抱えてた。


●2002年7月5日

 夜、お父さんとお母さんがこっそり喋ってた。

 会話は大体こんな感じだった。

 「やっぱり、俺は兄さんにはついていけない。俺は聖さんに協力するよ」

 「でもあなた、お義兄さんに逆らって大丈夫? 西薗の中でのあなたの立場も無くなって、ますます肩身が狭くなるんじゃ…………」

 「それは覚悟の上だ。今の兄さんはどう考えたって正気じゃない。俺達一族が総出になったところで、対策院相手に勝てるもんか…………」


 それからもお話しは続いてたけど、眠くて覚えてない。


●2002年7月6日

 お父さんとお母さんが、急に元気になってた。

 でも、凄く無理してるようにしか見えない。

 やっぱり心配。


●2002年7月13日

 ここのところは、お父さんもお母さんもとても元気。

 ひとまず、おうちの雰囲気も元に戻った。

 そんな気がする。

 前は、お父さんもお母さんも凄く無理して笑ってるように見えたんだけど…………。やっぱり私の勘違いだったのかな。


●2002年7月30日

 やっぱり私には、毎日日記つけるのは無理みたい。

 どうしても書きたいことがある時にしか書けない。

 それで今日私が日記を書く理由。

 やっぱりお父さん、元気無い。


●2002年8月1日

 今日、お父さんのお兄さん――――――叔父さんがうちに来た。

 叔父さんはお父さんに「お前は俺に協力する気が有るのか無いのか。その最後の答えを聞かせてもらおう。」って聞いた。

 お父さんが長いこと悩んで「俺は兄さんにはもうついていけない」って言うと、叔父さんは「そうか…………。ならば、もはやお前は弟などではない。」と言って、帰っていった。


 あの叔父さん、帰り際に私の顔を見て笑ったんだけど……

 なんかあの人、怖い。

 よくわかんないけど、凄く嫌な予感がする。


●2002年8月2日

 お母さんから「どうしても持って行きたいものだけを纏めて、すぐ持っていけるようにしておきなさい」と言われた。

 理由は聞かなくてもわかる。


 あのおじさんから逃げるためだ。


●2002年8月3日

 随分焦った様子で聖さんがうちに来た。

 何をお父さんと話していたかはわからない。

 だけど、聖さんもお父さんも相当焦った顔をしてた。


●2002年8月4日

 お父さんもお母さんも何も言わないけど、朝から様子が変だ。

 きっとこの家を出るのが近づいてるんだと思う。

 この家を出たらどうなっちゃうんだろう。

 どこか行くところはあるのかな。


 もしかしたら、南条さんの所の



●2002年?

 ここは暗い。

 暗すぎて今がいつなのかもわからない。

 上も下も、右も左もわからない。

 自分がどっちを向いているのかすらわからなくて、時々生きているのかすらわからなくなる。


 あれからどれだけ経ったのかもわからない。

 こうやって目を盗んでこの日記を



●2003年?1月?

 多分2003年になった。

 あの8月以来、私は仮面をつけた人としか会っていない。

 数日?に一回だけ与えられるご飯の時間。

 それだけが私の光。


 何日か前にカウントダウンの音がここまで聞こえてきたから、今は多分2003年だ。


●?

 もう何日経ったのだろう。

 もしかして何年?

 わかった事は、ここが西薗本家の地下だという事。

 私が叔父である西薗一の命令で捕まえられたという事。


 あれから一度だけリーサちゃんに会った。

 私はリーサちゃんに必死に助けを求めた。

 だけど、あの子は私を助けてなんかくれなかった。

 それどころか、見下すような冷たい目で……


「どうしてパパを裏切ったの?」


 あの子はそう言った。

 どういう事か、全然わからない。

 リーサちゃんがあんなになっちゃった理由も全然わからない。


 それにしても今日は上が騒がしい。

 なにかあった




 ――――――日記はここで途切れている。

今回描いた「栞那」という女の子は、extra episode 06【西薗一】にて西薗一が地下牢に幽閉していた女の子と同一人物です。

さて、この日記が本編にどう関連するのか。


って流石にわかり易すぎるでしょうか…………???



いつも読んでいただきましてありがとうございます。

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