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鬼闘神楽  作者: 武神
第4章 滅亡の氷姫
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弐拾漆ノ舞 カモフラージュ

あまりにも長い間自粛と在宅勤務が続いている為、たまの出勤日が辛すぎます。

これで会社が通常勤務になったと考えると恐ろしくてたまらん……!!

 結衣との間に気まずい雰囲気が流れ始めて一晩明け。結局二日目も昼間は観光して一日を過ごした。

 だが、さすがに結衣の一哉の避け方が露骨すぎて、莉沙と智一がかなり心配していたのは言うまでもない。


 その代わりに、瑠璃は昨日以上に一哉にベッタリだった。

 それこそ風呂とトイレ以外は全て寄り添うと言わんばかりに一哉にくっついて回り、一哉の傍を頑として離れようとしなかった。


 もちろん一哉も黙って空気に流されていた訳ではない。

 昨日結衣が言っていた事はハッキリと覚えている。



『今日、瑠璃ちゃんに言われたの。私は『今』の一哉君を見てない、『過去の思い出』を美化してるだけだって。ホントにそうだよ。バカみたい…………』



 その事を瑠璃に問い質しもした。

 しかし彼女から帰って来た答えは。



『お兄さんにはお話しできません』



 その一点張りだった。

 それどころか。



『結衣さんがお兄さんから距離を取ろうとしてるのなら、それは結衣さんの意思です…………。だから、結衣さんがもう一度近づいてくるまでお兄さんから距離を詰めようとしないでください。多分逆効果に…………なっちゃいますから。…………私個人としても…………嫌…………ですし…………』



 とまで言ってのけた。

 結衣が明確に一哉の事を避けている以上、瑠璃の言葉に従わざるを得ない。だから、一哉の方から結衣に話しかけることも止めてしまった。

 結局この日、再会して以来初めて一哉は同じ時を過ごしておきながら結衣と言葉を交わさなかったのである。



 そして今この時。

 場所はキャンプ場から少し離れた原生林の中。

 一寸先すらマトモに見えない闇の中で一哉が何をしているのかというと。



「くそっ…………あの男…………どこ行ったんだ…………?」



 一目見た時から嫌な何かを感じ取っていた天文部部員・黒鉄晶(くろがねあきら)の後をつけているのである。


 事の始まりは朝にまで遡る。

 朝、一哉が瑠璃と朝食を食べている時の事だ。

 飲み物を取りに行こうと立ち上がった一哉にぶつかってきた男がいた。



『おいてめぇ…………気ぃつけろや…………っ!』



 一哉の身体に矢鱈と重い衝撃が伝わってきた後、口汚い言葉が飛んできた。

 言葉の主は黒鉄晶。色黒で高身長、スキンヘッドにピアスと相変わらずの威圧的な見た目だったが、態度の方も見た目そのままに威圧的だ。



『あ、あぁ…………悪い』


『ちっ…………くだらねぇ』



 前日からマークしていた人物とはいえ、謝らないのも変だと一哉はとりあえず頭を下げるが、返ってきたのは心底つまらないものを見る様な視線だった。


 とはいえ、ここまでであればただガラの悪い男に絡まれた位の話で済む。問題はここからだった。


 一哉達一行はこの日、シャトルバスでしか入れない乗鞍岳山頂方面の観光に一日を費やした。山岳地帯、しかも高山なので歩き回るには体力がかなり必要。案の定智一と瑠璃はわりかし早い段階でダウンしてしまい、かなりの回数休憩を挟む必要性に駆られた。


 だが、黒鉄という男はその度に姿を見せたのだ。

 話しかけてくるわけではない。

 ただ通りすぎるだけの時もあれば、物陰からじっと一哉達を見ている時もあった。

 他の3人は特に気が付いていない様であるが、明らかに黒鉄の意識は一哉達、いや一哉に向いていた。

 黒鉄の目的が何かは不明だが、用心しておくことに越したことはない。

 特に戦闘行為を禁じられている今は。



「まずいな…………完全に見失った…………」



 とはいえ、こうして早速見失っている以上、早速尾行は挫折しつつあるのだが。

 ここは深夜の山奥だ。

 まさか尾行中に懐中電灯など持つわけにもいかず、仕事柄いくら夜目が効くからと言って、新月を数日過ぎた程度の夜空に光源など望めないこの状況で、人一人を見失うなど考えるまでも無い事だった。


 ある天文部員に聞いたところによると、黒鉄晶は莉紗の1年の頃からの知り合いらしい。

 学部は文学部。

 黒鉄自体が滅多に天文部に顔を出さないばかりか、どうみてもウマが合う様には見えないのだが、莉紗と黒鉄はたまに二人で何かを話し込んでいるのを見かけるそうだ。

 そう考えると、一哉としても考えすぎなのかと思う所もあるのだが、つい1か月前に嶋寛二――――【壬翔】に似たような手で懐に潜られた事を考えると、黒鉄晶に関しても決して楽観視はできない。


 そんなこんなで黒鉄の事を逆に監視しようと考えた訳であるが。

 2日目の晩餐が終了する直前のタイミングで森の闇の中へと姿を消した黒鉄を追って森に入ったが、見失ってしまっては意味が無い。

 かれこれ15分程森の中を彷徨ったが、もはや見つかる気配すら無かった。

 さすがにこれ以上彷徨ってもむしろ自分が遭難しかねない為、そろそろ戻ろうかと考え始める一哉。

 その時。



「おや、南条クン。こんな所でどうしたんだい?」



 後ろからの声と気配。

 振り返ると、暗闇の中でもよく目立つ輝く様な金髪ショートカットの美女が立っていた。

 そんな人間、一哉の知る限り一人しかいない。



「小倉先輩こそこんな所でどうしたんですか?」



 まさか黒鉄を追っていたなどと答える訳にも行かず、一哉は同じ質問を投げ返す事にした。



「質問に質問で返すのは感心しないなぁ。まあいいけどさ」


「…………小倉先輩って前から思ってましたけど、結構適当ですね」


「だってぶっちゃけ、どうでもいいからね。社交辞令みたいなもんだよ」



 そう言うと、莉紗は缶酎ハイをグビッと一気に呷る。

 昨日散々飲んで酔いつぶれたというのに、まだ飲むらしい。



「まあボクの理由はコレだよ」



 莉紗は缶酎ハイの缶を持ち上げて一哉に見せた。



「昨日途中で寝てからゆいゆいが煩くてね…………ゴクッ。やれやれ、今日やっと一杯目の酒だよ。」



 そう言いながら莉紗は再び酒を呷る。

 「どんだけ酒飲みたいんだよ」と思いつつも、あまりにもその仕草が中年男の様で面白い。



「結衣に隠れて酒ですか。なんか、奥さんに酒を飲ませてもらえないオッサンみたいですね」


「む、ゆいゆいが嫁か。それはいいかもね。ボク、壊滅的に家事ダメなんだよ。ゆいゆいは家事得意だから、嫁にはぴったりだ」


「いや、嫁って…………。それでよく一人暮らしできますね」


「まあね。幸い、ボクはアイドルとしての収入があるから外食続きでも問題は無いんだよ。それに家は空けてる事が多いからあんまり掃除も洗濯もいらないし」



 情けない事をなぜか自慢げに語り出す莉紗。

 金髪美女アイドルの意外なダメ人間っぷりに内心一哉が驚いていると、突然莉紗が思い出したかのようにスマホのライトを懐中電灯代わりにして明かりを点けた。



「というか、本当にキミはこんな暗闇で何をしてたんだい?」


「え? いや、星でも見ようかと」



 莉紗の言葉に反射的に一哉は答えてしまうが。

 言った瞬間、自分で言ったその内容に自分で頭を抱えてしまう。

 なぜなら。



「いや星って。こんな森の中でかい? なんにも見えないと思うけど」



 そう。ここは森の中。頭上は覆い尽くす木々で空など見えはしない。

 しかもタイミングが悪いのが、莉紗がライトを点けたせいで一哉の失態に顔を顰めた事が丸わかりであるという点。おまけに、普段は無表情な一哉が珍しく表情を動かしてしまったタイミングだというのもマズイ。

 案の定、莉紗は怪訝な顔で一哉の事を見ている。



「キミのその顔…………何かを隠してるね?」


「…………」


「おっと。今更『あ、しまった』みたいな顔してもね。さーてさて、南条クンは何を隠してるのかなぁっと」



 何と答えたものか。一哉は頭を捻る。

 わかっていた話ではあるが、莉紗は中々のクセ者だ。もちろん一哉には佐奈というクセどころかアクの強い妹がいるが、それは重度のブラコンを拗らせているからであって、莉沙の場合、冗談好きのからかい好きと、気になることには中々に首を突っ込みたがる性格なのだ。

 何もない、話す必要がないと言っても突き放せないであろうという事は容易に想像できた。



「…………まあ、一人になりたかったんですよ。ほら、ご存じでしょう? うちの屋敷、いっつも騒がしいんで」


「んん? ああ、なるほど。キミの妹にゆいゆい、それからあのサイドテールのツンデレな娘かな。3人揃ってたら確かに煩そうだね」


「そうなんです。だからたまには――――」


「でも、それも嘘だね。ホントに一人になりたかったんなら、そもそもここに来ないでしょ」



 一哉は一瞬この線なら誤魔化せるかと糸口を掴みかけたが、それもハズレ。莉沙にはアッサリと見破られた。



「はてさて、そうまでして隠したい南条クンの理由とは…………」



 莉沙はスマホのライトをわざわざ一哉の顔面に向けだした。

 眩しくてしかたがない。

 そして莉紗は一歩一哉へと近づいて、覗き込むように顔を見つめて――――



「ま、ぶっちゃけどうでもいいんだけどね」


「は?」



 スマホを下げて後ろを向いた。

 莉紗の理解し難い行動に、思わず一哉の口からは間抜けな声が零れる。



「だってそうだろう? ボクとキミは別に友達なんかじゃない。むしろ…………」


「まあ、知り合ったのも最近だし、所詮は同じ部活の先輩と後輩ってだけですしね」


「…………まあ、それもそうだ。それにボクはね――――」



 莉紗は一度言葉を切ると、再び一哉に向き直った。

 その表情は今まで莉紗が一哉に向けたどの表情よりも冷め切っている。まるで質の悪い粘着質なファンを追い払う様なその表情。そしてその眼差しには憎悪の色が――――



「ゆいゆいだけじゃなくてモモまで――――ボクから何もかも奪っていってしまうキミの事がとても憎いよ…………なんてね」



 最後にはいつもの美しい笑顔に戻した莉紗はそう言い残してキャンプ場の方へと帰っていく。

 一哉は再びただ一人森の中に残される。あれだけ距離感を無視して距離を詰めてきていた人間からの掌返しの様な悪意に、ただ呆然とその背中を見送る事しかできない。


 一瞬だけ見せた、あの一哉を見る冷たい眼。

 仕事柄人の恨みを買う事もある鬼闘師の眼から見て、その中に宿る憎悪は本物だ。

 では今まで莉紗が一哉に対して見せていた態度は何なのか。


 莉沙は"何もかも奪っていく"と言った。

 もちろん一哉にはそんな事を言われる筋合いなど無い。

 龍の力を自らの物として振るう「あの姿」が一哉の脳裏に浮かぶ。だが、同時にありえないと思った。

 莉紗が「アイナ」なのだとしたら、どうしてこれまで手を出してこなかったのか。

 「アイナ」との唯一の交戦である対策院地下通路の戦闘では、「アイナ」は完全に一哉を殺しに来ていた。幸いにして死者は一名も出なかったが、侵入の方法や戦闘の手筋を見る限り、なりふり構わない戦略を取りがちであった。そして、佐奈との戦闘記録を見る限りでもかなり派手な魔術を特に隠す事も無く遣う傾向にある。

 加えて言えば、今の一哉は無防備以外の何物でもない。

 そんな「アイナ」が周囲に配慮して襲撃してこないなど考えられない。



「考えるだけ、無駄か」



 だが、その事を考えたところで答えなど出るわけが無い。

 今まで散々考えても何一つ手がかりなど出てこなかった事だ。

 どちらにしろ今の一哉の状況で手を出して本当に「アイナ」だった場合、対抗手段が無いのも確かなのだ。一応戦闘行為禁止中の今も霊具を用意はしているが、それでも勝ち目は薄いように思える。ましてや今は誰か仲間の増員を頼めるような状況でもなく、あまりにも状況が悪すぎる。

 そう思えば、去り行く莉紗の背中を呼び止めない方が賢明であろう。

 そうして莉紗の姿も形も見えなくなってから、一哉も同じく戻ろうとしたその時。



「何だ…………この気配は?」



 道の奥から微かな陰の気の揺らぎを感じた。

 その量は気の感知に長けた一哉でなければ感じ取れない程に微かなものであったが、その気の質は今まで感じたどんな気よりも異質なものだった。

 気の性質は怪魔のモノに近いが、どちらかというと人間的でもある。魔人も怪魔に近い陰の気を持っていたが、この気には明らかに人間の気配が混じっている。そして今まで出会った怪魔や人間のどれと比べても異常なほどの気の密度。

 そんなものを感じ取ってしまえば、鬼闘師として調べざるを得ない。

 自身の権限停止を棚に上げて、一哉の足は自然と気の発生源へと向かう。


 その足取りは異様なほど軽いものだった。

 それまで一寸先も殆ど見えなかった闇に覆われた道は、なぜか今や明るく照らし出されて浮かび上がっている様にすら感じる。

 まるでその先に求めるものが待っているのがわかっているかのように。



「答えなさい――――。貴方があの女に――――理由は何?」



 その声は唐突に聞こえた。

 一哉が歩き出して3分も経たないうちに聞こえてきた人の声のうち、一番最初に聞こえてきたのがその声だった。耳を通り抜けるのは透き通る様な声。

 その声は聞いた事もない女の声だった。

 だがどこか懐かしい様な気もする。そして心が掻き毟られたかのように騒めく。



「何度も言わせんな。――――の命令だよ」



 もう一人の声は黒鉄のもの。

 明らかに苛立った声で女に反抗的な態度で答えている。

 もっとも黒鉄の場合、機嫌が良い時があるのかと問いただしたくなるが。


 そうして歩いて行くうちに、暗闇の中でギリギリ会話が聞き取れる位置まで辿り着いた一哉は、手頃な木の陰に身を隠した。距離も充分離れている。昔咲良に作ってもらった気配遮断の霊具を身に着けているし、万が一にも見つかる事は無い筈だ。



「ふざけないで頂戴。あの女は今まで何度も私達の邪魔を――――」


「だからそれもボスの意向だつってんだろが。心配しなくとも、あのマヌケは所詮『禍ツ神』を完成させ、『神楽計画』をフェーズ3に移行させるためのコマだ。アイツの行動、アイツの能力、アイツの存在そのものが『神楽計画』の一部に過ぎねえ。それに何も俺様だって、てめえの邪魔をしようってんじゃねえ。明日の晩には最ッ高のショーが見られるだろうぜ」



 二人の口調から、黒鉄と女は決して仲の良い間柄とは言えないと推測できる。

 むしろお互いがお互いを嫌悪しているが、目的の為に手を組んでいるといった印象だ。

 恐らくはどこかの秘密結社、それも一哉達が身を置く、霊や魔術といった超自然的な異能の類を遣うタイプの人間。

 『神楽計画』――――それが何を指すのかはわからないが、あまり気味の良い話でない事だけは確かだろう。

 そしてその事は、続く黒鉄の言葉によって強く証明される。



「なにしろその為だけに、莉紗にこんなクソみたいなカモフラージュを企画させたんだからよぉ」



 黒鉄は酷く厭味ったらしい声でそう言った。

 黒鉄が言っている意味はわからないが、この天体観測会は黒鉄ともう一人の女が所属している組織の目的の為に開かれた。そして二人は明日、何かをする手筈らしい。

 その目的が一体何なのか。それを知る必要はあるが、だからといって黒鉄を尋問したところで何か答えるとは到底思えない。そして、戦闘行為を封じられた一哉では恐らく工作員であろう二人には太刀打ちできない。



「とにかく明日の晩まで待てよぉ。悪いようにはしねえぜ」



 兎にも角にも、黒鉄達が何かを企んでいるという事を掴んだ以上、()()()()()()()()()()()()()()()阻止しなければならない。もちろん二人が狙われていると決まったわけではないが、用心に越したことはない。

 それに今は予備用の法具しか持っていないので、謹慎処分を無視するにしても分が悪すぎる。

 そう思って断腸の思いでこの場を後にしようとしたのだが。



「ふんっ。相変わらずくだらない男ね。まあいいわ。こっちも佐――――――誰っ?!」



 突然、女が言葉を切って声を張る。

 一哉は予想外の展開に、思わず再び木の後ろに身を隠す。

 会話が聞こえる距離とは言え、静寂の中の会話を聞き取るにはそれ程接近する必要はなかった。距離は充分に取っているし、気配遮断の霊具だって併用している筈だ。

 それなのに、女の殺気は一分の狂いも無く木の後ろに隠れる一哉に向けて放たれていた。

 まるで氷の様に冷たい、指す様な殺気が。



「《凍てつく槍にて 敵を滅せよ》――――『氷槍』」


「――――っ?!」



 突如女が言霊を唱えて霊術を放ってきた。

 隠れている木の幹越しに感じる死の予感に、反射的に一哉が身を伏せた次の瞬間。


 ――――ガスッ!!!!


 一哉の頭上を何かが貫通して通り抜けた。

 先程の言霊を聞く限り、先程遣われた霊術は水の属性霊術『氷槍』。

 霊術の中でも威力が低く、制御しやすい術式であるが、女はそれをまるで砲弾の様な威力で撃ち出してきた。こんな事ができるなど、並の術師ではない。

 言ってしまえば、女と事を構える様な事があれば、予備の霊具一個しか持っていない一哉には相当厳しい戦いを強いられる事になるのが、このたった一発の霊術で明らかになった。



「あら、はずした? それとも気のせい?」


「おいおい【神流】、長らく戦いの場に出てないせいで勘が鈍ってるんじゃねえかぁ?」


「ちっ…………うるさいわよ」



 一哉は女が殺気を緩めたタイミングを見計らってその場から離脱した。

 帰り道はまるで道が短くなったかのようにあっという間だった。

 体感的には一瞬でキャンプ場に戻った様な気がした。実際に、黒鉄が話していた場所はキャンプ場からそう遠く離れていないのかもしれないが。

 そして誰にも気が付かれない様にテントに戻る。



「お? 一哉お前、どこ行ってたんだよ?」



 テントでは既に智一が寝る準備をしていた。



「ちょっとな。結衣と瑠璃ちゃんはどうした?」


「あ? 東雲さんなら今日も星見にいったぜ。あ、でも瑠璃ちゃんは俺と一緒にテント戻ったから、まだテントに居るんじゃねえか?」


「そうか…………」



 一哉は今この場で瑠璃に注意喚起をすべきかどうかを迷い。

 そして結局何をするわけでもなく、この日の晩を終えるのであった。

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

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次回は暴走する妹・佐奈の話になります。

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