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鬼闘神楽  作者: 武神
第4章 滅亡の氷姫
100/133

extra episode 13【ハーレムルート】(エイプリルフール企画)

2年目にして初めての時期乗っかり企画!

ついでに言うと、総計100部記念SS!

ハーレム、お色気NGな人はブラバ推奨。



それでは更新中断前最後の投稿どうぞ。

(5月7日には更新再開します)

「やあ、カズクン。お目覚めかい?」



 目を覚ますと、隣に金髪ショートの超絶美女アイドルが隣にいた。それも全裸で。



「ちょっ…………! 小倉先輩、何を?!」


「何って、キミ。延長戦の申し込み?」


「え、延長戦?」


「そ、延長戦。やっぱり4人同時だとどうしても物足りなくてね」


「え、えっと…………何の話してるんですか? しかも全裸で…………」



 一哉は莉沙が何を言っているのかわからず、首を傾げる。

 まあ、何となく予想はついているが、自分のトラウマを考えればそんな事はあり得ない筈なので、考慮しない。いや、考慮したくない。



「キミも人が悪いなぁ。昨日はあんなに激しかったのに」



 そこで莉沙がねっとりとした艶っぽい視線を投げ掛けながら、その白磁の様に白く滑らかな肌触りの腕と脚を一哉に絡めてくる。

 莉沙が見せる妖艶さに思わず一哉の身体も一気に熱くなる。まるで火山が噴火する様に熱が噴き出してくる様な感覚だ。もう莉沙の言葉を聞くまでもなく、そうとしか思えない。

 ゆえに、へたれた男はへたれた声を出すことしかできない。



「は? え?」


「だからどうだい? 今からボクと朝の延長戦を――――」



 そう言いながら、莉沙の端正な顔が徐々に近づいてきて――――



「ちょっと待ちなさいよ!! この発情女!!」



 一哉の部屋の襖をけたたましい音を立てて開けながら、ドタドタと一哉に近づいてくる少女が一人。



「咲良?」


「ちょっと一哉兄ぃもデレデレしてんじゃないわよ。グーで殴るわよ?!」



 拳を握って顔の前で構える咲良。

 何というのか。一哉の知る限り、咲良はこういう所謂下ネタに恐ろしく耐性が無い筈なのだが、目の前の咲良は怒ってはいるものの、堂々としている。

 一哉の知る咲良の像と重ならない。



「発情女とは心外だな、サクちゃん。ボクは極めて合理的な思考に基づいた計画で彼との愛を育んでいるんだ。それに、そんな事を言うのであれば、キミの方がよっぽど酷いと思うけど。さっそく昨晩の乱れ具合を忘れちゃったのかい?」


「う、うるさいわねっ!! だ、だって仕方ないじゃない…………触れあってると……ついつい…………って、何言わせてんのよ、この痴女め!! 大体アンタ、合理的な思考に基づいた計画とか言ってるけど、欲望に忠実なだけじゃない!!」


「ふむ。言うね、サクちゃん。ここはどちらが彼の真の伴侶に相応しいか、勝負を――――」



 莉沙が一哉を離して、咲良に向かい合った瞬間、一哉は弾丸の様な素早さでベッドから離脱し、部屋からの脱走を果たした。



「な……なんだなんだ?! 何が起こってるんだ?! 何で小倉先輩も咲良もあんな感じに…………っ!!」



 自室を飛び出した一哉は意味不明な状況に頭が混乱して、マトモに物事を考えられない。

 そんな状況だからか、特に何も考えずに食卓の方へと飛び込んで行ったのだが。



「あ。おはよう、一哉君」



 飛び込んだ先にいたのは、お玉を持って味噌汁の味見をしていた結衣。

 だが、その格好が問題で。



「ゆ、結衣……その格好……!」


「ん? どうかした?」


「いや……! どうかした、じゃなくて!! なんでそんな格好してるんだよ!!」



 一哉の日常では全く考えられないその光景。

 白いフリル付きエプロン自体は元々結衣が使っているもので見慣れてはいるが。

 なんとその下にはあるべきモノが無かった。見えているのは完全に肌色で。

 それはいわゆる裸エプロンというものであった。



「ん? なにか変だった?」


「なにか変って……。その、は、裸エプロンはどうしたんだよ!!」


「え? 一緒のお布団で寝た次の朝はいっつもこんな感じだよね? あ、もしかしてまだ寝ぼけちゃってる? 一哉君は可愛いなぁ♪」



 心底楽しそうにニッコリと笑う結衣だが、一哉の方には覚えどころか心当たりすら無い。

 少なくとも「そういう事」は恋人や夫婦の間柄でもなければするものではないと思っているのだが、目の前の結衣の中ではそうはなっていない様で。

 というよりも、どれ程考えてもどれ程思い出そうとしても、その様な事実関係などある筈が無いのだが、明らかに目の前の結衣の態度はそうは言っていない。



「どうしたの、一哉君? 具合でも悪い?」



 全く覚えの無い状況に呆然と考え込んでいた一哉は、いつの間にか結衣が自分の顔を覗き込むように見ていた事に今更ながら気が付いた。

 その距離はつい最近、結衣が距離を詰めてくるようになったその距離感よりもさらに近く、そして裸エプロンから覗く深い谷間が恐ろしく淫靡でマトモに見ていられない。



「な、何でも――――んむっ!?」



 だが、顔を逸らそうとした一哉の行動はアッサリと柔らかい感触の両手で抑えられてしまう。

 顔を固定された一哉はもはや抵抗の術も無く唇を奪われてしまう。

 裸エプロンで積極的に唇を重ねる結衣の姿は、やはり一哉の知る結衣の姿と重ならない。

 でも。



「ふふふ…………ちょっと気分乗ってきちゃったけど……朝ご飯の後でね…………?」



 頬を赤く染め、妖艶な眼差しで一哉を見る結衣から目が離せない。

 普段と違う様子の初恋の人を前に、心臓が早鐘を打つようにバクバクと煩い。

 そんな風に一哉が固まっていると、今度は後ろから強い衝撃が襲ってきた。



「おにーちゃん! おはよ♪」



 この衝撃ばかりは一哉にも予想がついた。

 というより、この状況で考えられる人物はもはや一人しかいない。



「佐奈…………」


「えへへ♪ お兄ちゃん、おはよ!」



 妹の佐奈。

 佐奈だけはいつも通り、元気全開。常時パワーマックスの元気娘だ。

 何やら色々と自分の知っている日常と変わってきてしまっている今日だから、せめて佐奈だけは普段通りでいて欲しい。

 と、思ったところでふと一つの事を思いだす。



「あ、ああ……おはよう佐奈。ていうかお前どうしたんだ? 確か何日か家を空けるって――――」



 一哉は佐奈がしばらく帰ってこれないと言って家を出たのを覚えている。

 その後の事はあまり思い出せないが。


 それにしても、確か自分も莉紗の誘いでどこかに出かけている筈なのだが。

 なぜ家に居るのだろうか。

 そんな疑問を浮かべる一哉だが、一方の佐奈の方も心底不思議そうな表情をしていた。

 そして唐突に爆弾発言を投下する。



「何の話、お兄ちゃん? 昨日5人皆でエッチしたの忘れちゃった?」


「はぁっ?!」



 妹の口から発せられた超ド級の問題発言に一哉は開いた口が塞がらなかった。

 少なくともトラウマ持ちの自分が女性と関係を、それも4人同時に関係を持っているというのは幾らなんでも、冗談にしてはタチが悪すぎる。さらにそれは実の妹にすら手を出したという事で――――



「お兄ちゃん、ひどいよぉ。毎回毎回腰が立たなくなるまでスるクセに、惚けるなんてぇ。ねぇ、結衣さん?」


「そうだよ、一哉君。私だって毎回大変なんだから!」


「い、いや! 二人とも一体何を言って?!」



 訳の分からない話に結衣まで同調してきたところに、さらに敵方の援軍は増える。



「ちょっと一哉兄ぃ?! 私の話を無視して泥棒猫共の所に行ってるんじゃないわよ!!」


「咲良ちゃん? それはいくらなんでも言い過ぎなんじゃない? そんな事言うんだったら、咲良ちゃんからお兄ちゃん取り上げちゃうんだから」


「はぁ?! 一哉兄ぃはアンタの所有物じゃないし?! そもそもアンタらが勝手に――――っ!」


「何を言ってるんだい、サクちゃん。彼はみんなが平等に競い合って選んでもらう事にしてるじゃないか!!」


「そ、それは…………っ! ちょっと口を挟まないでもらえるかしら、このトカゲ女!」


「ひどいなあ。ボクのはトカゲじゃなくてドラゴンだよ」



 台所には咲良と、相変わらず全裸のままの莉紗が現れて。

 決して狭くはない南条家の台所が5人集まった事で人口過密になってしまう。

 しかも意味不明な状況に、一哉はオロオロと周囲の4人を次々見ていく事しかできない。



「ね、一哉君。朝ご飯食べたら、私と――――」





「うおおおぉぉっ!!!!」



 一哉が目を覚ますと、そこはテントの中だった。

 あまりにも現実離れした夢のせいか、半袖のTシャツの下は汗だくだった。

 隣には大イビキをかきながら爆睡している智一の姿。

 スマホを取って時間を確認してみると、まだ午前5時。起床には早い時間だ。



「ひ、酷い夢だった…………っ!」



 恋愛に関する事に酷いトラウマを持っているという男とはとても思えな、ピンク色一色の夢に、一哉は思わず深い溜め息を吐く。

 夢は自分の深層心理を表したものと言うが、今の夢が自分の秘められた欲望だというのか。それも実の妹まで巻き込んで。

 考えれば考えるほど、人間として、男としてクズ過ぎる夢の中の自分の状況に吐き気を催してきて、一哉は思考を放棄し、二度寝するのだった。





 ちなみに佐奈、咲良、結衣、莉沙の4人はというと。



「うへへへへへ…………おにいちゃあん…………うへへへへへ……。いもうとに…………そんな事するなんて…………いけないおにいちゃんだなぁ~♪ えへへへへ…………」



 佐奈は対策院本部の仮眠室で、寝言とはいえ、あり得ない程だらしない顔でだらしない言葉を垂れ流しながら爆睡中。



「わたしが…………私がやらないと…………あの(ひと)は…………」



 咲良は京都にある西薗彩乃の屋敷で己に課された使命に押し潰されそうになりながら、眠れぬ夜を過ごしていた。



「…………」



 結衣は静かに眠っていたが、その実、前の日に隣で眠る百瀬瑠璃からの宣戦布告を受けて、あまり愉快とは言えない夢見だった。具体的に言えば、想い届かず、莉沙と二人で失恋飲みをする事になるという夢。

 起き上がった時に盛大に溜め息を吐いたのは言うまでもない。



 そして、最後の一人。小倉莉沙。



「今回こそ…………今回こそは殺してやる……っ!! ヤツが力を遣えない今の内に……っ!」



 その顔に浮かぶのは、一切の雑じり気無しの純粋な殺意のみ。

 一哉の恥ずかしい夢の内容とは真反対。

 誰にも気づかれぬ様に一人、目的の為の決意を新たにしていた。



 一哉達の運命が決定的に変わってしまうのは3日目の夜の話。

 その時が来るまで残り42時間――――

次話は5/7 21:00掲載です。

スピンオフ「夜桜神楽」の方もよろしくお願いいたします。

https://ncode.syosetu.com/n3261ga/

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