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情報屋  作者: 玄米最中
3/4

第3話

あけましておめでとうございます。


しばらく2次創作の方に行ってましたが、今年はこちらを本腰にしたいと思ってます。

情報屋の活動場所である「情報室」。


床は畳、そして天井まで本棚が埋め込まれている。

中身ももちろん入ってる。

部屋には大きなこたつ机、そして6つのテーブル。

大きめなテレビ。

明らかに人が住める状況になってる。


1つの机に向かってリボンをつけた少女が座っていた。



「はやいなー、さすが副委員長さま」

「あら?私と一緒だったのに遅いなんて何事?」



今川夏木。

情報屋副委員長で管理を専門とする「管理委員」。

ご令嬢の娘がこんなところで何やってんだと思うかもしれないが、これは訳ありである。

それはまたどこかでお話できたら。



「月汰くん、部活はいいの?」

「亜麻さんが行かないと俺すごい怒られるんです」

「あの部長さんならやりかねないわ。今度新聞する?」

「それは大丈夫だよ、なっちゃん。なんなら私がコテンパにするところでも記事にして」

「さすが、亜麻ちゃん」



そういうと自分の作業に戻った。

管理委員は色々大変だから。


情報室について説明しよう。

寮の地下道を通ると様々な広場がある。

なぜこんなものがあるのかは学園長のみが知る秘密らしく、私たちもよく知らない。

その広場全部で12個。

石の名前が付けてあり、私たちの活動場所は「ターコイズ」になる。

あとの11個はここのような設備はなく、打ちっ放しのコンクリート壁があるのみ。

どうも、意図的にこの場所だけ住めるようになっている。


正直、この地下道は謎が多すぎてまだ全てがわかってるわけではない。

それを解明するのも私達の仕事なのかもしれない。



「亜麻さん、柚守さんは何時頃きますか?」

「うーん、6時とかかな。どうする?先に行く?」

「活動は3人がいいからおやつ作っちゃいます。今日は…」

「マドレーヌ。いい紅茶が手に入ったの」

「え、私はドーナツ」

「今日はマドレーヌで。いつも亜麻さんのお願い聞いてるじゃないですかー」



まあ、確かに。

月汰は私に甘いし、私も月汰に甘い。

よく過保護だって言われる。


情報屋は外組と内組に分かれてる。

外組はその名の通り外で活動する。


外で情報を集めてくるのが主な仕事。

カメラやメモ、連絡と言った役割に分かれており体力に問題ない人が向いている。


内組は外組が集めて来た情報を見やすい形にする。

つまり毎日更新されている新聞だ。

他にもなっちゃんのようにセキュリティ管理をしたり、新聞のデザインや原稿を作ったりと手先が器用な人が向いてる。



「亜麻ちゃん今日相談予約きてるわ」

「え、嘘ぉ。やだよ」

「やだよじゃないから。2年生だから私たち同学年だよ」

「男?」

「女」



それを聞いて気が滅入ってしまった。

理由は簡単、女子の相談内容は「恋愛」が多すぎるからだ。

正直、付き合うだの好きだのの相談を聞いてても利益がない。

彼女たちはなにもアドバイスが欲しいわけではない。

ただ頷きと同意が欲しいだけなんだ。


その時間があれば他にもっと深刻に悩んでる子を助けたい。


ちなみに男子はあまり来ない。

時々女々しい子がくるが、来たとしてもその答えに納得して帰る。



「でも今回は項目無記入なの」

「…じゃあ恋愛じゃないかね」



そういうことを記入できないくらい切羽詰まってるか、自信がないか。



「予約時間は7時半。部活終了時刻より早めね」

「つまりその子の部活は7時には終わるってことかな。可能性としては文化部…」

「ふふ、そんなに必死に考えなくてもすぐわかるじゃない」

「気になるじゃん?」



そう言って失笑。

なっちゃんも察したみたいで作業を続けた。

私もカメラの整備をしないと。


スマートフォンがいくら発達していても一眼レフに勝てるものはまだない。

また、能力を使えばカメラなんていらないが中には能力を使用していることを敏感に感じる子もいる。


前に話しただろう。

私たちの先祖「術使い」の末路を。


なぜ、彼ら魔法使いや魔術師は「術使い」であることがわかったのか。


魔法使いや魔術師はその時代、とある能力を作ったのだ。


それは「能力探知」。


昔より能力を一般人より感じられるようになる奇跡はあった。

それを奇跡というか術使い達は悩み、そのままにした。

きっとそれは奇跡じゃなくて個性だから。




でもあの2つの種族は違った。




その個性を強制的に奇跡にしてしまった。

そのためにどんな汚い手を使ったのか私たちが語る必要はない。


今生きている人たちにその奇跡があるのはそういうわけだ。

その人たちを恨むことはしないが、それを奇跡にしたことを憎むことはしてしまう。



「そういや紅茶なんてどこで手に入れたの?」

「あそこの夢路商店街。この間散歩したらあったの」

「何もなかった?」

「亜麻ちゃんが心配することは何も」

「ならいい。今度は誘って」

「わかってますよ」


パソコン作業が終わったのか、紅茶の準備をし始めた。

バニラ系の甘い匂いがする。

マドレーヌはきっと甘さ控えめになるのかな。



「いい匂い」



ポツリとそう呟く。

あのご令嬢は本当になんでも簡単にこなしてしまう。



「亜麻さん、カメラは?」

「大丈夫だよ。月汰もメモ帳はまだ大丈夫?」

「はい!今週は足りそうだから来週買いに行きます」

「わかった」



にこりと笑うとまたキッチンの方へ行ってしまった。


月汰はメモ担当だから部屋にいるときは何もすることがない。

いや、何もないわけじゃないけど。

準備とかは特にないのだ。

メモ帳とボールペンさえあればいい。


レンズを出来るだけ丁寧に拭く。

奇跡に頼れるなら頼りたいがこういうことは人の手の方がいい。

学校では使える時は限られてるし、今の生活だってそうだ。

結局のところは、その程度なんだ。



「亜麻さん、はしごください」



突然、天井の方から声がした。

月汰の声ではない。

明らかにもう少し高い少年の声。



「ちゃんと入口から入らないとなっちゃんに怒られるよ?」

「図書館からだとこっちの方が楽だから」

「細雨くんらしいな」



青池細雨。

1年生で月汰の幼馴染。

囲碁部に所属しているがまともに行ってない。

そして無類の本好き。

こうして図書館の倉庫から直接来ている。


はしごをかけるとスルスルと降りてくる。

月汰に比べ小柄だ。

身長も私と大差ない。



「そういや司書さんが亜麻さんに用があるってさ」

「また古本かな」



天井まである本棚の中身は図書館からのお古だ。

ジャンルは様々で一体誰が読むんだ?と言う本もある。



「俺が行ってもいい?」

「私も行くよ。1人で持つ量じゃないだろうし」



少しムッとした顔をしたがスルー。

毎回どれだけの量を渡してくるのか把握してる。


「次細雨くんが行くとき教えて」

「わかったよ…。なつきさんは?」

「紅茶入れてる。細雨くんの分も」


キッチンに行こうとしたとき、なっちゃんが紅茶セットを持って出てきた。

無言で私はそれを持つ。

紅茶のポットとカップが4つ。

あぁ、なっちゃんは細雨くんがきたことをわかってたんだね。


「細雨くん。正面から入ってこないとダメ」

「なんでわかったの」

「次は何かしらの魔法でもかけておくからね」


パチリとウインクをした。

なっちゃんは魔法使いでその中でも精霊を使うことに特化してる。

道に精霊を使わせることなんて簡単だろう。


細雨くんは魔術師のためなっちゃんとはそこらへんの相性が悪い。

もちろんあの知識量だがら対策はできるだろうが。



「あ、細雨。ちゃんと入り口から」

「月汰までお母さんみたいなこと言う。あーもう、今度からちゃんと正面から入るから」



月汰がキッチンから現れる。

その手に持ってるマドレーヌはなんとも美味しそうな匂いをしていたこと。

そしてその味。



言うまでもないよね。

プロフィール No. 2


楠木柚守(16) 術使い

173 cm、ちょっと筋肉質な男子。

短髪で髪と目の色は黒だが少し青いような灰色のような色をしてる。

顔立ちは少し中性的。

まるで犬のような性格、表情は豊かな方。

楠木家の次男。楠木神社の神子。

亜麻とは双子でどちらが兄なのか姉なのか不明。

特別入学者。2年B組。

合気道部に所属していて、亜麻と違い出席率は高め。

県大会上位レベル。

他にも剣道、柔道など様々な武道をしてる。

好物はそばとプリン。


やればやるだけ伸びていく、完全な秀才型。

中学生までは「楠木」ではなかったそう。


情報委員会、会計。

連絡担当。

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