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情報屋  作者: 玄米最中
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第2話

いそがしいのがやっと落ち着きました。

また亀のような更新になりますが。

チャイムの音が遠くから聞こえてる。

それと同時に身体を揺すぶられる。



「亜麻ー、もう放課後ですよー」



聞き慣れた声。

自分の声に似た、でもそれよりも低い声。



「柚守…」

「あのね、亜麻さん。今日は流石に寝すぎですよ」

「うーん、しょうがないよね。今日は天気いいし」



周りを見るとどうやら帰りのショートが始まるみたい。

柚守が起こしてくれなかったら掃除の時に誰かに叩き起こされるところだった。

みんな、接するときは優しいが起こすときは少し乱暴だ。



「俺、部活行くから。亜麻は?」

「部長と話したくないから行かない」

「何その理由。いい加減行かないとお呼びがくるぞ」



どうも私は「リーダー格に向いてないのにリーダーをやる人」が苦手らしく出来るだけ避けている。

双子だし外見そっくりだけど中身はそうでもない。

柚守は真面目だから週に何回かは部活行ってるし。

私は月に何回か。



「亜麻ちゃーん!箒お願い!」

「はーい」



クラスメイトから箒を渡される。

このクラス…というかこのレベルの人達は私らを偏見の目で見ない。

いじめられることもない。

私と柚守は知っての通り「特別入学」。

学園長の犬というあだ名をつけられ嫌な興味の目で見られることが多い。



「あ、柚守!お前は廊下!」

「おう」



何かの能力が優れていれば自分に自信がつく。

そうするとそれ自身が余裕になる。

その余裕は他人への接し方に余裕が生まれる。



いざこざはそういう余裕がない人から生まれるのだ。



これは私の持論だ。

きっと柚守は違うと思う。



「あ、なっちゃん」

「あら亜麻ちゃん。今日は掃除してるの」



なっちゃんこと今川夏木。

私の幼馴染で家共々関係が深い。



「なっちゃんはどちらへ?」

「もう寮に帰ろうかなって」

「あーなるほどね」



バイバイと手を振りなっちゃんは下駄箱の方へ向かっていく。



「じゃあまたね、柚守」

「気をつけて帰りなよ」



菜野花高校には3種類の寮が存在してる。

1人部屋、2人部屋、4人部屋がある男子寮。

1人部屋、2人部屋がある女子寮。

そして1人部屋、2人部屋がある兄弟寮。


私は兄弟寮の1人部屋に住んでる。

柚守と話し合ったけど部屋は別々の方がいいって。

兄弟寮だけちょっと特殊。

他の寮は他フロアへの行き来ができる。

兄弟寮はそれが禁止されてる。

1組の兄弟が壁に囲まれて生活してる感じだ。


そんな状態でも私たちは離れることを嫌がった。

でも部屋だけは別なの、不思議ね。


昇降口には先程手を振ったおさげの女の子がいた。黄緑色のリボンが可愛らしい。



「なっちゃん、一緒帰ろうよ」

「いいよ。まあすぐそこだけど」

「ありがとう。椿は?」



椿、小井風椿。

彼女も私達の幼馴染。

そして誰よりもお嬢様だ。

椿はなっちゃんと同じクラス。

私たちとは違うクラスだ。

彼女とは私の家よりなっちゃんの家の方が関わり深い。

2人の実家は共同で様々な事業を行なっている。



「椿ちゃんは部活。私らとは違って真面目ね」

「アハハ、不真面目な自覚あったんだ」

「私はあなたがいる時しか部活にはいかないもん」

「はいはい、知ってますよ」



寂しがり屋。


そう言えば聞こえがいいだろうから、私はそれ以上のことを彼女に言わない。

そういう関係なのだから。



「椿ちゃんが今度、パンケーキを食べに行きたいって」

「やめときなって。食べる前に並び疲れちゃうよ。あと味も多分チープだと思うし」

「でも最近、お昼に絶対安いプリン食べてるの。ハマったのかな」

「椿がプリンね…。しかも安いやつ?なんか…うーん」

「私もそんな感じ。ふふ…変だよね、やっぱり」

「柚守もプリン食べてたな…。柚守、プリンよりゼリー派なのに」



くだらない話をしているとあっという間に寮についた。

私は兄弟寮へ、なっちゃんは女子寮へと帰っていった。

この学園の欠点は登下校が短すぎて友達とおしゃべりをする間もないことだと思う。



自分の部屋につき、まずは今着てる服を脱いでいく。

紺色のジャケットをハンガーにかけ淡いグレーのパーカー、そして紺色のキュロットパンツ。

そして今度はタンスを引っ張り出す。

袖口、ネクタイがアイボリーで他は黒色セーラー服、同じく黒のショートパンツを着た。



「よし、いくか」



最後に黒のマントを羽織り、自分の部屋の畳を開けた。

畳の下には鉄の扉がある。

取っ手を引っ張り出してグググっと持ち上げる。


その下には隠し通路がある。


そこにローファーを投げ入れる。

カコンという音が鳴り響いた。

コンクリートの様な石の様な、そんな不思議な匂いが充満している。

多分、カビとかそういう匂いなんだと思う。



目的地は地下にある部屋。

はしご階段を降りて行く。

2階、1階と降りて行くと遠くから自分と似たような足音が聞こえた。



「亜麻さーん」



遠くで私を呼ぶ声がした。

男の子の可愛らしい声、私の愛おしい後輩の1人。



「月汰、おはよ」



宮内月汰。

1年生で剣道部に所属している。

そしてここの道を知っていると言うことは言うまでもない。

彼も情報屋の1人だ。



「いつ部活行きますか?」

「私は月汰が行く時に行くよ」

「俺は亜麻さんに合わせたいんだけどなー」



そう言って月汰はむくれた。

私より10センチも高いのに可愛らしい。

どうやら末っ子らしい。



「私に合わせたら一生行かないよ」

「それは困りますね。来てくれないと俺が怒られるんですよ」

「なんで月汰が怒られるんだ。そりゃ今度部長と一騎打ちをしないと」

「亜麻さんの圧勝確定ですね!俺、亜麻さんチームがいいなー」

「私が勝つとは限らないよ。たまには部長を勝たせないと」

「そんな優しさいらないですよ。叩き潰してください」



可愛い顔をしてるのだが、腹は黒い。

美しい花には毒があるのと同じだ。



「もう誰か来てるかな?」



数分歩き、木製のドアが現れた。

ある手順で扉を開く。

私たちの鍵は首にかかってるネックレス。




「あら、早いね」




ほら、彼女がいた。

プロフィール No. 1


楠木亜麻(16) 術使い

164 cm、細身の女子。

ボブヘアーで髪と目の色は黒だが少し青いような灰色のような色をしてる。

顔立ちは少し中性的。

まるで猫のような性格、表情は豊かな方ではない。

楠木家の次女。楠木神社の神子。

柚守とは双子でどちらが兄なのか姉なのか不明。

特別入学者。2年B組。

剣道部に所属しているが出席率は低め。

その割にはかなり強く県大会上位レベル。

他にも合気道、柔道など様々な武道をしてる。

書道部にも所属しているよう。

好物はうどんとプリン。


やらなくてもできる、やればもっとできるという完全な天才型。


情報委員会、委員長。

カメラ担当、相談担当員。

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