虚空天体(アカシック・スター)
「これは……? 敵艦隊が陣形を崩し、中央部に穴を……」
「敵要塞表面に変化! ――開口部に、高エネルギーの集中を確認! これは、加粒子砲です! 敵要塞に、巨大な加粒子砲が!」
オペレーター達が焦りの声を上げる。
「星の命を吸い上げる兵器とは……蛮族共が!」
上帝が怒りの声を上げる。
クシナガラ要塞砲ヴァジュラ・ボルト。それは、恒星クシナガラのありあまるエネルギーをそのまま撃ち出す兵器だ。技術としては、重力兵器や空間兵器よりも数段劣るものである。が、しかし、星をも砕くほどの莫大なエネルギーを直接ぶつけるこの兵器なら、どんな防護シールドや装甲も意味をなさないだろう。
「敵巨大加粒子砲、来ます!」
巨大な単眼の内に破壊の光が満ちていく。全てを消し去る黄金の光。
「――砲身、展開。前衛の艦隊は射線を開けろ」
「はっ、砲身、展開!」
上帝座乗艦、超銀河天魔連盟宇宙軍第六艦隊旗艦オーバーロード。上帝自身を模したような形のその艦首が四つに裂け、異形の大顎と化す。
「出力は……三十パーセントでいい」
大顎の内に、紫紺の光が渦を巻く。
クシナガラ要塞から、巨大な光の柱が撃ち出された。
「エネルギー充填、三十パーセント。撃てます」
「よろしい。重力子縮退砲アカシック・スター、発射」
迫る光の柱へ向けて、渦巻く暗黒の球体が解き放たれる。