プロローグⅢ
どれくらい時が経ちましたか、忘れてはいません。
まとまった時間があればまとめて進められるんですけどね、本当に申し訳が無いです。もしかしたら少しでも待ってくれた方がいると思うと・・・。
いや、切り替えていきましょう。
コツ、コツ・・・。
広い廊下に至極一般的な革靴を叩くような足音が響く。
特に忙しないといったイメージは無い様子だが、足音の主は突然の報告に少し焦りと何故か僅かに笑みを浮かべていた。
──────2日前。
「藤堂大隊長、西里少尉から報告がありました。覚えていますか、二年前の未解決の誘拐事件を」
「・・・ふむ、覚えているぞ。忘れるものか。私の大切な従兄弟が誘拐されているしな」
「それについての報告です。何でも、彼と妹の藤堂夏目が住んでいた家からそう遠くない川べりで自殺を偽装しているような場面に直面したとか」
「・・・自殺を偽装?夏目が一人で、か?」
「いえ、藤堂謡真本人ともう1人金髪で背の高めの女性がいたようです。そして・・・」
「突然空間が開けたかと思うと、その裂け目の中には無数の目がある空間があり、三人はその中に入っていったそうです」
「・・・?訳が分からないな・・・。だが」
「2年も解決出来ていない誘拐事件だ、そういった類の情報も利用するべきだろう」
「では、どうなさいますか?大隊長」
「とりあえずその遺書、靴。それの指紋鑑定。そして西里と他にその場面を見ていた者たちを連れてこい」
「了解しました。西里には何と伝えれば?」
「脳の細胞が欲しい、そう伝えろ」
「かしこまりました」
──────現在
「・・・正直サッパリだな、そう難しい事では無いかもと少しでも思ったのが間違いだったか」
彼女─────日本国特殊異能部隊大隊長 藤堂天維─────は顔をしかめていた。
「西里達の脳から貰った細胞の映像を起こしてみたはいいものの、全く幻覚というわけでも無いようだ。それに遺書、靴の指紋も本物、謡真の分まで確認できてしまった。ただ・・・」
「この金髪の謎の女。こいつが何者なのか分からない事には次には進めないな」
「いや、待てよ・・・?キーワードをもう一度まとめよう。幻想郷、別の世界・・・」
「こうして謡真が生きているのだから本当にあるのだろうな、しかし・・・いや・・・」
藤堂天維は、未だ答えに辿り着けずにいる。しかし、着実に答えに近づきつつあった。
──────幻想郷では
「咲夜、あなたはいいのかしら?」
「お嬢様、私の事はいいですから、どうぞお召し上がりください」
「そう?宴会くらいは従者とか忘れてもいいのよ?」
「そうはいきません。いつどこに危険があるかわかりませんから」
「夏目って言うのね、私は八意永琳。お兄さんは今私たちと共に過ごしてるんだけど・・・」
「謡真さんにも妹がいたんですね・・・それなりに長い期間一緒にいましたけど私知りませんでしたよ」
「鈴仙よ、よろしくね、夏目ちゃん」
「あっ・・・はい、よろしくお願いします」
謡真の妹である夏目がやってきたと言うことで博麗神社にて (いつものように) 宴会を開いていた。
「あまりまくし立てないでやってくれ、夏はいい子だけど少しだけ人見知りするから」
「あら、謡真にしてはなんだかお兄ちゃんらしいこと言うわね」
「永琳・・・俺だって妹の面倒は見るし今までも心配はしてたさ。余裕が無かったし聞かれることもなかったから言わなかったけどな」
「遊佐や結羽とは何か関係があるの?」
「あの二人と元々仲が良かったのは夏だ。色々あって俺もたまに遊ぶようにはなったんだけどな」
「なんだか、突然友達と兄がいなくなる気持ちってあまりにも苦しいわ」
「だから俺は帰ることが大目標だったんだ」
「ね、ねぇ謡にぃ・・・あれ・・・何・・・?」
「ん、あぁ、あれか。アイツらは吸血鬼でな、それで羽が生えてるんだ。多分危害は加えられないから大丈夫だぞ」
「だ、大丈夫なんだ・・・」
謡にぃも妖怪になったと考えれば、何故か少しだけ納得できるような気がした。
この時夏目は宴会の雰囲気に飲まれていたのもあるが、少しだけいつもより気が重いような気がしていた。
俗に言う嫌な予感、なんとなくだがそれを感じていたのだ。
という事でプロローグは終わりです。
どちらかと言うと東方Projectの舞台を借りたお話、というイメージが私の中では強いお話になるのでここから先はオリキャラもガンガン絡んできます。もちろん幻想郷の人や妖怪達も。
精神的にも体力的にも余裕がある時には更新出来たらなと(2回目)。
待っていただける心の広い方がいらっしゃるかは定かでは無いですけど、気長に待っていただけると幸いです。