プロローグ
アカウントまた変わりました。お久しぶりです。
リアルの方の忙しいのが落ち着いたので、ネタを温め続けながらも久しく書いてなかった東方Project二次創作を書こうと思います。
更新頻度はそこまで高くないとは思いますが、なるべく1話ごとのボリュームを増やせるように頑張ります。
プロローグなんであんまり長くないです。あと、いつでも感想お待ちしております。見づらいとかあったら言ってください。
それでは、よろしくお願いします。
朝。眩しい光がカーテンの隙間から除く。
・・・今は何時だろう。
ふと時計に目を向けてみる。
その針は7と8の丁度真ん中くらいに位置していた。
「・・・7時半かぁ・・・起きなきゃ・・・」
モゾモゾと体を動かしてほんの少しの余韻に浸る。
そしてすぐに布団から飛び上がるようにして起きる。
階段を降り、リビングへの扉を開く。
そこに丁寧に立て掛けられた写真の方に体を向け、
「おはよう。謡にぃ。」
行方不明となったまま帰ってこない兄の写真に声をかける。
「今日であれから丁度2年が経ったよ?」
「いつまで、私を一人にするの・・・?」
親は、いない。
小さい頃に玉突き事故に巻き込まれて亡くなってしまった。
物心がつく頃には親戚の家に引き取られていた。
兄は高校に入ると同時に、昔過ごしていた家に戻っていた。
そんな兄を追いかけて、昔親と過ごしていた家に戻り、兄妹仲良く過ごしていた。
・・・私は兄に恋をしていた。
いけないことであるという事には、中学に入る頃に気づいた。
自分は周りとは違う。環境も、生活も。恋愛対象も。
それでも、そんな私を受け入れてくれる人はたくさんいた。
中でも親しくしてくれたのは、十文字遊佐と明天夜結羽の二人だった。
十文字家は由緒正しき名家の一族であったが、遊佐はそれを他人にどうこうすることもなく、常に対等に接する、話しやすい人気者だった。
明天夜家は結羽の父親が有名大学の教授であり、こちらも中々のインパクトのあるお嬢様だった。結羽は基本無口で、あまり他人と話すことは無かったが、遊佐と私とは話してくれた。
でも、みんな居なくなってしまったのだ。
2年前のあの日────
〜2年前、とある夕暮れ〜
「謡にぃ、明日の事なんだけど・・・」
「どうした?何か予定が変わったのか?」
「その・・・明日、急に練習試合が入っちゃったみたいで・・・」
「あぁ・・・そっか、別の日にするか?」
「いや、明日は3人で楽しんできてよ!折角遊佐が謡にぃもって言ってくれたから!」
「いや、お前はいいのか?」
「うん!また別の日に4人で遊べば大丈夫だよ!」
「・・・そっか、そうだな!じゃ、俺は明日行く事にするよ」
「楽しんできて!」
次の日の夜、兄は帰ってこなかった。
十文字家も、明天夜家も、ダメ。
警察に相談に行った時には、その時に多発していた謎の誘拐事件に関連していると思われる、といった事を伝えられた。
その1ヶ月後に、家に捜索を打ち切る連絡が入った。
親しい友人と最愛の兄を同時に失った悲しみは、とてつもない物だった。
そう。人格を変えてしまう程に。
その日以来私・・・藤堂夏目は、毎日兄と二人の友達の事だけを考えるようになり、不登校気味になりながらもなんとか学校に顔を出している。
夜になると、兄の事で頭がいっぱいになる。
ああ、今謡にぃに会ったら何しちゃうかわからないな・・・。
行き場を失くした愛が、膨れ上がっている。
「謡にぃ、今日は学校行ってくるね。私、頑張る」
また写真に声をかける。
行方不明と言っても、色々な説が提唱された。
誘拐、失踪、自殺、殺害、果てには3人で駆け落ちしたとも噂されていたこともある。
でも、どれも違う気がする。
なんとなくだけれども、どこかで生きていて、楽しく笑っているような気がする。
そう。3人でだ。
「・・・謡にぃは、どうして私じゃ無かったのかな・・・」
嫌いだったのかな、そんな事ばかり考えている。
「・・・学校、行こう」
ロールパンを軽く頬張り、ハンガーにかけてある高校の制服を手に取る。
サクサクと着替えを済ませ、昼ごはんの分のお金を財布にいれる。
親戚からの仕送り、警察から支給されたお金で、今はなんとか生活している。
一通りの準備を終え、家のドアを開けた。
ガチャリ、とそれなりに重そうな音を立て、コンクリートの色が目に入る。
太陽は自己主張をするように照りつけている。
まだ5月だというのに、普通に暑い。
早く衣替えにならないかな、と思いつつ、また今日も適当に1日を過ごすのだと思っていた。
「・・・・・・夏?」
思わず振り向く。忘れるはずのない声に体が大きく震える。
・・・涙が浮かぶ。
「夏なのか?・・・もしかして、忘れた?・・・俺だよ、俺」
「謡にぃいいぃぃいい〜・・・」
声にならない。嗚咽混じり。
よろめく足取りで最愛の兄に駆け寄ると、すぐに抱き寄せてくれた。
「・・・久しぶり、夏。なんか、ごめんな?」
「本当だよぉぉ〜・・・・・・」
あの事件から丁度2年。
神様は、粋な計らいをしてくれました。
「・・・今まで、どこにいたの?」
ある程度落ち着いてから、聞いてみる。
「まあ、ちょっとね・・・。信じてもらえないかもなんだけど・・・」
「謡にぃ、2年も経ったのに、変化なさすぎじゃない?本当に謡にぃ?」
「あー、それはね・・・って、俺かどうかまで疑うなよ!」
「だって、2年も行方不明だったんだよ?疑うでしょ、普通」
「お前はあんまり変わってないな・・・」
すると、目の前のコンクリートが文字通り大きく裂け、中から人が出てきた。
「いjamなpgam7gmな!?」
「あら、誰よこの子?謡真も隅に置けないわね」
「・・・妹だよ。冗談はやめてくれ、紫さん」
「よよよよ謡にぃ?ここここの人はだだだ誰なの???」
「あらあら、謡真とは違ってかなりビビりさんなのね」
「よしてくれ。夏、この人は八雲紫っていう人で・・・俺達を誘拐した・・・犯人だ」
「・・・・・・!?」
「あら、間違ってはいないけれど、正解でも無いわね」
「正確には、この人が悪いやつに操られていて、その操られていた時に俺達が誘拐されたんだ」
「だから紫さんは別に悪い人じゃない」
「そ、それってどういう・・・」
「幻想郷、っていう場所があるんだ。幻想郷はある力でこことは切り離されているんだけど、俺達3人はその幻想郷に誘拐されたんだ。紫さんも幻想郷の人だ」
「・・・え?え?」
「そんな風に言っても分かりづらいでしょう?別世界だと思ってくれて構わないわ」
「・・・つまり、謡にぃはこの人にここじゃない世界に誘拐されてたって事・・・?」
「そそ、それで合ってる」
「でで、でも謡にぃは帰ってきたんだよね!?もう・・・行かないんだよね!?」
「・・・・・・」
「謡にぃ!」
「俺がこっちに居続ける事は・・・出来ない」
「な・・・なん・・・で・・・?」
「誘拐する時に、紫さんが操られていたって言ったろ?俺はその操ってたやつを倒したんだ。でも、その時に・・・」
少し間を開けて、兄は言った。
「俺は、人間じゃ無くなってしまった。俺はもう、藤堂謡真という人間じゃないんだ」
「じゃ、じゃあ!何なの!?謡にぃどう見ても人間じゃん!」
「妖怪よ」
「え・・・?」
「謡真の体は今、半分が人間で半分が妖怪。謡真は歳をとるのが人間に比べて遥かに遅いわ。あなたも思ったでしょう?2年前から、変わってない・・・って」
「・・・・・・・・・」
「そういう事、だ」
「・・・・・・・・・だ」
「?どうした夏?」
「・・・やだ」
「え?」
「いやだ!!!謡にぃと暮らせないなんて!嫌だ嫌だ嫌だ!」
私は、涙をボロボロこぼしながら、叫ぶように言い続けた。
離れるのは、嫌だと。
「紫さん・・・」
「何かしら?」
次の瞬間、謡真は私に向かってこう言った。
「・・・全部捨てて、こっちに来ないか?」
一応続編ではありますが前作を見なくても楽しめるように努力していくつもりです。
前作は短いし文もなんかアレだなーって思っていたので今回は頑張ろうと思います。
前書きにも書きましたが更新頻度はどんなに遅くても2週間に1話は書こうと思います。
なるべく早く出せるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。