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平凡すぎる僕は主人公らしい

作者: ふがし

こんにちは。

今日も冴えない見た目の僕です。

あ、本名は『田中光輝』です。はい。

どこにでもいる普通の男子高校生です。

勉強はできないわけじゃないけど、頭がいいわけでもなく。運動もできないわけじゃないけど、身体能力が高いわけでもなく。

ごくごく普通の毎日です。

良くいえば平和、悪くいえば暇な人生を十数年間歩んできました。

恋というのもした事はしたんですが、呆気なく終わりました。

友達には困ってませんし、願い事があるとすれば...刺激的なことがあるといいなくらいでしょうか。

で、なんで僕がここで皆様の時間を使って自己紹介しているのかと言いますとね...。

ほんと、どうでもいいんですが、主人公(一応)なので自己紹介ぐらいしろと、先輩に言われましてね...。


え、先輩ですか?

あぁ、先輩っていうのは学校の人とかじゃなくて、小説での先輩のことです。

多分、現実世界ではこんな事はないでしょうから一応説明しときますと、この小説世界と呼ばれる世界では、作者やジャンルを問わず色んなキャラクターたちが生活しているんです。

その中でも、主人公っていうのはお話の中心人物ですから、そりゃあ目立ちます。

どんなにお話の中では普通で目立たない人でも、主人公ですからちやほやされます。普通は...。

でも、僕は平凡な主人公の中でもダメな方らしくて、空気みたいな存在です。


主人公になるって決まったのに、誰も見向きもしてくれなかったので悔しくなった僕は、昨日その先輩の所に行って、助言をしてもらいました。

で、今こうしているわけです。

助言というより、基礎を教えてもらったといった方がいいでしょうか。


............。

...なにもすることがありませんね。

結局先輩に言われたのはあれだけだったし...。


てか、おかしいと思うんですよ。

そりゃあ先輩は数々の敵と戦った英雄ですけど、僕だって主人公な訳ですし、認めて欲しいです!

もしかしたら、僕がこんなに地味なのは悪の組織のせいなのでは?!

そしたら色々と納得が行きます。


<臨時ニュースです。先程都心で大きな揺れがありましたが、あれは地震ではないことが発覚しました。>


あれ?いきなりチャンスかも知れません。

地震ではない大きな揺れ。

これはもしかしたら、もしかするかもしれません!

やっと主人公としてのお仕事が回ってきたんですね...

長年待ち続けた甲斐がありましたよ。


<あ、あれは...?!怪獣のようなものがこちらへ向かってきます...キャアッ!!>


うわぁ、アナウンサーさんが怪獣らしきものに攫われてしまいましたね。

でも!

僕がいるからには絶対大丈夫です!

さぁて、どんな力が使えるのかな?

やっぱり腕力とか脚力とか超人的なパワー??

それとも、頭脳で戦う感じかな???


<ぁ...おいっ!あれを見ろ!!

ヒーローがっ、ヒーローが助けに来てくれたんだっ...!>


え?


<ヒーロー!頑張れぇーー!!>


嘘でしょ?


<負けないでぇ!!>


ダメだよ、そこは僕が...


<やったぁー!ありがとうヒーロー!!>


ダメだってばぁ!!


<あなたのお名前は?>


また僕はダメなのか...


<いやぁ、名乗るほどのものではないですよ...それでは!>


そんなぁ...



゜:。* ゜.゜:。* ゜.゜:。* ゜.゜:。* ゜.


「...っ...き...ぅき...」


「光輝!!」

「ひゃあいっ!」


「いつまで寝てんの!?遅刻するって言ってるでしょう...」


「は、はぃ...」


おはようございます...

嫌な夢を見ました。

僕は夢の中まで主人公ではいられないんですね...


でも、これだけは覚えておいてください!

僕は一応、この小説の主人公ですからね?!

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