表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もののけの嫁として売り飛ばされました!  作者: 元々猫舌
もののけの嫁になりました!
48/75

第四十七話

 ……ん。

ふぁ~、まだ眠いな……何だか温かいし二度寝しちゃおうかな……


「美子ちゃん、おはよう♪」


チュッ♪


「きゃぁ~~!!」


バチン!

いきなりキスされた感覚に、思いっきり平手打ちっ!


「美子ちゃん……そろそろ馴れて欲しいんだけど……」

「そ、颯!」


目の前には片側で私を腕枕して、片側で頬を押さえている颯がいる。


「あれ?何で?……確か神社で仮眠してたような……何で私、お城に戻ってんの?」

「右京が連れて帰ってくれたんだよ。美子ちゃんには充分手伝ってもらったからって。」

「そうだったんだ……」


私は大晦日の昨夜から人間界の神社で、参拝者のピークが過ぎる元旦の明け方まで初詣の手伝いをしていたのだ。


「美子ちゃん、明けましておめでとう!そろそろお昼になるけど、どうする?もうちょっと寝る?」

「ん……あけおめ……起きる……思いっきり寝正月になったかも……」

「城下町も三箇日は賑やかだから、後でお出かけしようね♪」

「へぇ~!そうなんだ♪」


それから遅めのお昼ご飯を頂いて、城下町へ出掛ける事になった。二人ともマフラーを巻いて、寒さ対策の準備万端だ。


「ふふ!このマフラー、温かいね♪美子ちゃんの愛情たっぷり詰まってるもんね♪」

「べ、別に!そんなもの詰めた覚え無いしっ!マフラーだから温かくて当たり前じゃん!」

「ぷっ!やっぱり美子ちゃんは雪妖族の血を引いてるね!」

「……どういう意味だよ……」




 城下町へ向かって歩いている時、前から気になっていた事を聞いてみた。


「そう言えば鬼ヶ島にいる時、雪女の雰囲気が強くなってるって言ってたけど、どんな感じなの?」

「う~ん……何となく惹き付ける感じかな?妖力があれば自分で隠す事が出来るんだけど、美子ちゃんには無理だもんね……」

「そっか……」


って事は、また鬼の大王みたいな変な輩に絡まれやすいって事か……


「大丈夫!手付けをすれば、僕の気配の方が強くなるよ♪」

「ば、馬鹿言わないでよっ!」

「ふふ!今は手を繋ぐだけで我慢しとくよ♪」

「そうしておいて……」


私の右手を握って、嬉しそうに微笑みかけてくる。


やっぱ颯の温もりは安心するな……


「見つけた~!俺の仲間だ!」


ほっこりとしている時、いきなり二人の前に小さなおっさんが叫びながら飛び出してきた!


「えっ?仲間って?君は天邪鬼だよね?」


颯も不思議そうに尋ねている。


「お前じゃぁ無い!そっちの女だ!」


へっ?わ、私の事?!って、明らかに私を指差してるじゃん!


「な、何でよ!私は人間だから!」

「嘘つけ!お前、俺と同じ天邪鬼だろ!」

「はぁ?!ち、違うもん!」


颯は肩を震わせながら笑っている。


「美子ちゃんは天邪鬼じゃぁ無くて、可愛いツンデレだよ♪」

「誰がツンデレよっ!」


天邪鬼はどや顔している。


「ほら、やっぱり天邪鬼だ!」

「だから、天邪鬼でもツンデレでも無いっ!」

「ふ~ん……なら、心の声が駄々漏れでも構わないな!」


天邪鬼はいきなり飛び上がって、私の頭をポン!と叩いた。


「ちょっと!何すんのよ!」

「はは!性格の悪さはそのままか!今からお前は本音を勝手に喋るようになるからな!」

「はぁ?!何言ってんのよ!」

「そこの犬、試しに何か女に聞いてみろ!」


颯はちょっと半信半疑な顔をしなから、私に向き直った。


「美子ちゃん、僕の事、好き?」

『好きだよ。』


はっ!な、何で?!私、勝手に喋ってるっ!


急いで両手で口を塞ぐ!


「美子ちゃんが初めて好きって言ってくれた……」


颯は目をうるうるさせて、感動に浸っている。


じ、冗談じゃぁ無いっ!恥ずかし過ぎだってば!


「ちょっ、ちょっと!元に戻しなさいよ!」


天邪鬼に掴みかかろうとすると、サッ!とかわされた!


「心配しなくても、一晩寝れば元通りさ!それまでたっぷりと反省しろよ!」


そして、スキップでもしそうな軽い足取りで、去っていった。


「もうっ!一体何なのよ!」


憤慨しながら天邪鬼の後ろ姿を見送っていると、肩に颯の手が乗せられた。


「まぁまぁ、美子ちゃん、そんなに怒らないで。聞きたい事は沢山あるしね♪」


うっ!満面の笑みだ!嫌な予感……


「美子ちゃん、僕と手を繋ぐのは?」

『安心する。』


うわっ!急いで口を押さえたけど、時すでに遅し……


「へぇ~!安心するんだ♪」

「も、もう恥ずかしいから何も聞かないで!」

「嫌だよ~!こんな機会、逃す訳無いじゃん♪」


ま、マズい……颯から一歩後退る……


「美子ちゃん、僕にギュッ!とされるのは?」

『落ち着く。』

「ふ~ん、落ち着くんだ♪」


だ、誰か助けて~!


「僕と、ちゅ~♪するのは?」

『幸せ。』

「でも、ちゅ~♪すると殴るのはどうして?」

『不意打ちでびっくりするから。』

「そっか!これからは予告すればいいんだ♪」

「もう嫌だ~!お城に帰って寝るっ!!」

「あっ!美子ちゃん、待って!」


颯の引き留めも振り切り、ダッシュでお城の部屋に駆け込んで、急いで布団を敷いた。


「美子ちゃん、もう寝るの?」


追いかけてきた颯が寂しそうに尋ねてくる。


「だって、一晩寝たら元に戻るんでしょ!」

「まだデートの途中なのに……」

「違う意味でしか楽しんで無いじゃん!」

「ふふ!だって、美子ちゃんの本音が聞けて嬉しいんだもん♪」

「もうこれ以上は何も喋らないからっ!おやすみ!」


布団を身体に掛けて、目を閉じた。


「美子ちゃん、添い寝されるのは?」


ブルブル!っと頭を横に振って、拒否をアピール!


『温かい。』


も、もうっ!勝手に口が喋るのを止められ無いじゃん!


「ぷっ!言ってる事とやってる事が違うよ~♪」


そう言いながら、颯も布団に潜り込んでくる。


「ね、眠たいんだから、何も話し掛けないでよ!」


ガバッ!と布団を被って頭まですっぽりと潜り込んだ。


「美子ちゃん、最後に一つ聞かせて。」

「な、何よ!まだあるの?!」

「……僕に手付けされるの、嫌?」

『それは……』


あれ?勝手に言葉が出てこない……って事は、自分でもわからないんだ……


「やっぱ嫁になって貰えないの?」


颯のシュン……と落ち込んだ声に、おずおずと布団から顔を出した。


「それは……」

「それは?」

「私の中でも、まだ答えが出ていない……かも……」

「かも、なの?」

「だって勝手に言葉が出てこないんだもん……」

「そっか……」


颯はちょっとだけ微笑んで、ふんわりと抱きしめてきた。


「嫌な訳じゃぁ無くて、安心したよ♪覚悟がいる事だし、美子ちゃんの答えが出るまで待ってるね!」

「……うん。」

「ふふ!おやすみ♪」


背中を規則的にトントンされるうちに、段々と瞼が重くなってくる。


「おやすみ……」


そのまま眠りに入っていった。




 翌朝には元に戻っていた。颯は残念がっていたけど、平穏な日常が過ごせるって、幸せだな~♪と実感。

だけどその日の夜、お風呂から上がって部屋へ戻ると、布団が一組しか敷いていなかった。しかも、広めの布団に枕が二つだ!


「颯!ちょ、ちょっとこれは何よ~~!!」

「うん……女中さんがこの布団を敷いていったんだ……」

「……まさか、そう指示したんじゃぁ……」

「ち、違うよ!誤解だよ!」

「じゃぁ、何でよっ!」

「昨日の夕方からご飯も食べずに寝てたでしょ?たぶん誰かが呼びに来た時、一緒の布団に寝てたのを見られたんだと思うよ。」

「そ~ゆ~事かぁ……」


ったく、厄介な事になったなぁ……


溜め息をつきながらもう一組布団を出そうとすると、颯に止められた。


「せっかくの好意を無駄にしたら駄目だよ♪」

「いや、そう言われても……」

「だって、僕にギュッ!とされると落ち着くんだよね♪今日もギュッ!として寝てあげるからさっ♪」

「何だか弱味を握られた気分……」

「ツンデレさんが彼女だと苦労するよ♪」


結局、腕を引っ張られるまま、また同じ布団で寝る事になった。そして腕枕をしながら、ギュッ!と抱きしめてくる。


うぅ……心臓がもたないかも……これが毎日かぁ……


「ふふ!美子ちゃん、ドキドキし過ぎ!」

「も、もう!いちいち言わなくてもいいってば!」

「美子ちゃんが中々口に出してくれない分、正直な心臓に聞くしか無いんだもん♪」

「はぁ……寝不足が続きそう……お肌の大敵なのに……」


その呟きに、颯はまた私の背中をトントンし始めた。


「僕、美子ちゃんを寝かしつけるの、上手いと思うよ♪」

「よろしく……」


そのうち心臓も落ち着いて、ウトウトとし始める。


「美子ちゃん、大好きだよ……」


眠りに入る前、颯の優しい声が聞こえてきた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ