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第3章:閉ざされた世界




「ついに動き出してしまったか。止まっていた歯車が」


 その声の主は、狭く暗い部屋の中で佇んでいた。1m先が目視できないほどの暗闇なので、主の姿は判然としない。ただその声と体の輪郭、雰囲気から男だろうと予想ができる。ただしその声は子供の声にも大人の声にも聞こえ、善人でもあり悪人でもあるような口調だったので、年までは分からない。

 

「あの者がこの世に生を受けてから、もうすぐ十六年。十六年。そう十六年。それは世界が今の形を形成してからの時間と比較すれば一瞬のようなもの。だがそのたった一瞬の間に、世界は今までにない揺れを見せた。そしてその揺れはこれからいっそう激しくなるだろう」


 悲しむような、哀れむような、憂いのような声。あるいはそれらすべてか。


「やはり、あの者は戦わなければいけない運命なのか。例え本人が望まぬとも、世界はシナリオ通りに回る。それは変えられぬ運命。避けられぬ宿命。それをどうにかすることはこの我にも適わぬこと」


 静寂な空間に奥歯をかみ締める音が響く。



 この世の誰よりも優れた力を持っているくせに。

 この世の誰よりも深い知識を有しているくせに。

 この世の誰よりも全知全能な存在のくせに。


 哀れな少年の物語を、変えてやることすらできない。



「我はお主らを恨むぞ。“ヴィオタールの民”よ」


 次の瞬間、男の姿は虚空へと掻き消えていた。






◇◇◇







「………なんだったんだ? 今の感覚?」


 どう考えても公園に飛び込むときに感じる感触ではなかった。この感じを言葉にするのは難しい。とにかくさっきまでの忘却マジックのような奇妙な感覚。

 和輝は後ろを振り返ってみた。



 そこに、神々しい光を放つ聖壁が存在した。



「こいつは……」


 その光の壁は、どうやら公園全体を覆っているらしかった。形はドーム状。おわんを被された状態と言えば分かりやすいか。

 それのせいかどうかは判然としないが、和輝の視界に移る公園の景色は夕方のそれとは違っていた。なんだか寒気がすると言うか、どうにも落ち着かない感じがして、けれどもそれは幻想的な光景を生み出していると言えなくもないという、どう説明すればいいのか分からない配色で彩られた世界が広がっている。太陽の光がまるで遮断されてしまったように差し込まないので変な感じがするのが否めない。


 もちろん和輝はそのことに疑問を感じたが、今はそれどころではない。


「今は加代姉を探すのが先決だ。この変な空間の詮索はその後でいい」


 和輝の足はいろんな所へと向いた。

 遊具広場。林の茂み。ちょっとした森と言えなくもない木々が大量に生い茂る緑地。屋根つきのベンチ。

 だがなにぶんこの公園はやたらと広い。注意深く見渡しながら探すとなると当然時間もかかり、中々加代の姿は見つからなかった。


「ハァ、ハァ、くそ。もしかしてここに加代姉はいないのか?」


 さすがに息を荒くして和輝はそんな弱気なことを言う。もしかしたら姉の身に何かが? という不安が押し寄せそれが和輝に自信をなくさせているのだった。


「……とりあえず、もっかい連絡入れとくか。今度は繋がるかもだしな」


 あまり期待はしていない。けれども一縷の望みを持ちたかった。和輝は慣れた手つきで携帯を取り出して――――目を剥いた。


「圏外だって?」


 んなバカな、と和輝は混乱する。深い森の中とかそういう辺鄙(へんぴ)な所ならそれも納得できるが、ここはどこにでもある日常の一角にある公園のはず。確かに今は妙な壁があって普通とは言えないが、圏外ではないだろう。

 

 と、その時和輝の頭に閃くものがあった。


「待てよ。確かさっき加代姉の携帯に電話かけた時、電波の届かない場所とか言ってなかったか?」


 さっきは焦っていて気づかなかったが、和輝と加代が別れてからまだ一時間弱。そんな短い間でいける電波の届かない場所なんてこの近所には存在しない。


「ここを除けば、な」


 和輝は確信した。


「やっぱ加代姉、この中にいやがんな」


 はっきり言ってここには長居したくなかった。さっきから走り回っているがやはりここは異常だ、と和輝は思う。夕暮れ時だっていうのに加代姉どころか子供一人いやしない。それどころか、さっきから何の音もしない。まるで世界の時が止まってしまったのではないかと思うほどの静寂。そこに心地よさは存在しない。ただ気味が悪いだけだ。


「加代姉――――――――――ッ!!」


 息をめいいっぱい吸い、言葉と共に吐き出す。公園の中心で大声を出すのが恥ずかしかったので声にするのを控えていたが、今はそんなことを言ってられる状況でも心境でもない。とにかく早く姉を見つけて家に帰りたかった。


 でなければ、何か悪いことに巻き込まれそうな気がする。


「ちっ。返事なしか」


 数秒待ったが返答はなかった。だが加代がここにいるのは確かだ。諦めるわけにはいかない。和輝は再び足を動かした。


 その時、後ろから聞こえる足音に和輝は気づいた。


「加代姉っ!?」


 安堵と一緒に和輝は振り返ろうとした。


 が、しかし。


 その足音が、地面を振動させるほどの大きなものだと気づいて、体が中途半端に止まる。


 なんだよ、これ。

 和輝は体が震えるのを感じた。

 後ろから近づいてくる、どしんどしんとしか聞こえない音。こんな威圧的な音を放つのがあのおっとりした姉のはずがない。何よりこの獣に睨まれたような圧迫感。これが加代のものであろうはずがない。

 

 じゃあ、こいつは一体誰なんだ?


 和輝は振り返ってその姿を確かめたかった。しかし和輝の体はバグの発生したパソコンみたいにフリーズしたままで動かない。動くことを拒否している。その存在を目に入れることを本能的に恐怖している。

 それでも、和輝は無理矢理に体を動かして、振り返り、見た。そこに、その場所に――――





 化け物が、いた。





「――――――――ッッ!!!」





 和輝は驚きと恐怖のあまり腰が抜けるかと思った。



 一言で言えば、そこにいるのは巨大な『鬼』だった。



 架空の物語に出てくる角を生やした想像上の巨人を想像してもらって構わない。あれを本の中から取り出しリアルな姿にすれば目の前の化け物が出来上がる。

 全長は和輝の背丈の二倍近い。体格で言えばゆうに五倍は違う。その身の丈から発せられる威圧感は尋常ではない。鬼との距離はまだそれなりに離れているはずなのに、首にナイフを突きつけられた以上の絶望感が和輝を包み込む。冷や汗でシャツが濡れるのを感じた。


 獣のように涎を垂らして巨人が向かってくる。


「じょ……うだんじゃねえ!」


 なんでこんなとこに鬼がいるんだ? とか俺は夢でも見てるのか? という疑問はとりあえず後回しだ。それを今気にしている余裕はない。


 腕に自信はある。だが相手が悪すぎる。こんな人外の化け物を相手にするなんて、自殺行為もいいところだ。

 和輝は急いでここから逃げるか、あるいは鬼から距離を取るかしようとして、震える足に活を入れて背を向けようとして


 見た。


 その巨人の手に生える大きく鋭利な爪に、見慣れた制服の切れ端が引っかかっているのを。


 和輝の世界から、一瞬だけ音が消え去った。

 圧倒的な威圧感も絶望感も、この時ばかりはまとめて吹き飛んだ。


「そ、んな……バカなことがあるかっ!!」


 和輝の脳裏に最悪のバッドエンドが繰り広げられる。

 あれは間違いなく和輝の高校の制服。それも女子のもの。そしてこの場に来たであろう愛染高校所属の女子生徒の名を和輝は知っている。


 神代加代。

 神代和輝の、大切な姉。

 

「……嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!」


 なんだよあれ。なんで加代姉の服の切れ端があんなとこにあんだよ。加代姉自身はどこにいんだよ。加代姉はどうなったんだよ!


「くそっ! 加代姉、加代姉っ! どっかその辺にいんだろ!? 返事しろよ!」


 迫り来る化け物にも構わず和輝は姉の姿を探す。しかしいない。影も形もない。


 冗談じゃない。加代姉は無事だ。そのはずだ。くそ、考えるな俺。最悪を考えるな! それが現実になる。現実にしてたまるか。でもそれが違うなら加代姉はどこにいる? まさか、まさか加代姉はもう―――――。


 その時。

 それは、和輝の目の錯覚だったのかもしれない。

 混乱し困惑し焦る和輝が勘違いしただけなのかもしれない。

 けれど。


 和輝には、目の前の巨人が不気味に笑ったような気がした。


「テ――――――――――――メェッッ!!」


 和輝の中で爆発した怒りが握り締める拳に力を与える。鉄をも貫く豪傑の拳。それを振り上げ、最速で最強の拳を繰り出さんと最初の一歩を踏み出し―――



 咆哮。



「グゥオオオオオオオォォォオオオォオオオオオオオッッ!!」


 人では決してあげることのできない叫び。空気に存在する分子そのものを震わせているのではないかと錯覚させるほどの迫力。

 その咆哮に、和輝の中で爆発した怒りは鎮圧された。

 

 なに、言葉で表せばそれほど難しいことではない。

 神代和輝の最大限の怒りよりも、化け物の咆哮により植え付けられた恐怖と絶望の方が上だったという、たったそれだけのこと。


「く、そぉ………。ちくしょうっ!!」


 泣きそうな声で和輝は叫んだ。せめて、せめてあいつのどてっぱらに一撃を加えてやろうと一歩を踏み出そうとする。しかし動かない。ピクリとも動かない。それはさっき感じた妙な感覚と似ていたが、明らかに違う。未熟で情けない己に対して和輝は憎悪に似た感情を感じた。


 そうしている間にも、鬼はいたぶるようにゆっくりと、距離を縮めてくる。


「………っ!」


 もはや和輝は声すら出せなかった。腰を抜かさず立っているのがやっとなのだ。

 ほんの一瞬でも気を緩めれば気絶してしまいそうな張り詰めた空気。

 化け物の口から覗く鋭い牙を見たとき、和輝は己が死ぬ情景しかイメージできなかった。



 刹那。


 

 なんの兆候もなく、それまで動きの緩かった鬼が獣のように飛び掛ってきた。


 すべてを諦め和輝は目を固く閉じた。

 すると。


 バチバチという音と、鬼の絶叫が和輝の耳に突き刺さった。


 慌てて和輝は目を開けた。今度は違った意味で腰を抜かしかける。


 

 ファンシーな衣装に身を包む少女が、その細い足から放たれる『蹴り』で鬼をふっ飛ばしていた。



「間違えてもらっちゃ困るわ」


 優雅といえる動きで地面に降り立った少女は静かに告げる。


「あなたの相手は、この雷神の巫女<雷雨(らいう)>よ」


 耐え切れず、和輝は腰を抜かした。







◇◇◇

 






「大丈夫? 怪我、してない?」


 角の生えた化け物を10m近く吹き飛ばしたさらなる化け物に声をかけられて、和輝はビクリとしながらも敵意がないことを感じ取って声を絞り出す。


「あ、ああ」


 未だに事の次第が理解できない和輝にはそんなことしか言えなかった。と、その時になってようやく和輝は少女の肩に担がれている人間の存在に気がついた。


「加代姉っ!」


 砕けた腰を無理矢理に奮い立たせ立ち上がる。間違いない。それは誰がどう見ても和輝の姉、神代加代であった。


「この子、君のお姉さん? 大丈夫よ。気絶してるだけだから、特に外傷はないわ」


 担いだ加代をゆっくりと地面に寝そべらせる少女。和輝は姉の上体を抱き起こしその顔を覗き込んだ。


「って、寝てるし!」


 なんとも場違いなことに、加代はぐぅぐぅと寝息を立てていた。和輝は呆れたが、しかしそれは加代が無事であることを意味していることに思い至り顔を歪ませた。安堵のあまり涙が零れそうだった。


 現れた少女の言う通り、加代に外傷らしきものは見当たらなかった。所々制服が切り裂かれているが、どれも掠った程度のもので生身には至っていないようだ。しかし、和輝は一箇所血がべったりとついているのを見つけた。慌てて加代の体を探ってみたが、傷らしいものは見当たらなかった。


 とりあえず姉に怪我がないことに安心し、周りを見る余裕を得た和輝は直立する少女を見上げた。


 この世のものとは思えないほどさらさらなブロンドの髪。瞳は輝く黄金のようであり、体躯は無駄なものをそっくりそり落としたような細身だった。


 和輝は今でも信じられない。こんな細い体をした女の子がどうやったらあの巨体をあれだけ吹き飛ばすことができるのかと。


 しかし、そんな考えも、彼女の左腕から流れる血の問題に比べれば些細なものだった。


「おいお前! 怪我してるじゃねえか!」


「あ、これ?」


 少女はさも今気づいたかのように左腕を見た。


「大丈夫よ。この程度の傷、日常茶飯事だし、放っておけばその内治るわ」


「んなわけあるかっ!」


 人の怪我を気にしたくせに、自分のことにはとことん無頓着な少女に怒りを感じて和輝は怒鳴る。強引に少女の腕を引き寄せ傷を見て、顔をしかめた。かなりざっくり切られている。おそらく加代の服についていた血は彼女のものだろう。


「待ってろよ。今止血してやる」


 和輝はポケットに手を突っ込み当然のように包帯を取り出して少女の腕に巻き始めた。諸々の事情があり和輝は常に包帯を所持しているのであった。


「……君、逃げないの?」


「うるさい黙れ。つか座れ。巻きにくい」


 思いの他素直に少女はすとんと座った。しかし口だけは閉じない。


「君、恐かったんじゃないの? あんな化け物目の前にして、逃げ出したかったんじゃないの?」


「ああそうさ」


「なら、雷雨の怪我なんて気にしてる暇、ないんじゃない? 今はまだ、あいつ倒れてるけど、すぐ起き上がるわ。そうなったら、今度も雷雨が君を守れるとは限らないわよ?」


「そうかい」


「……君、変だよ」


「はん。俺にしてみれば世界の方がイカレてるね。ついでにお前もな」


 これでよし、と和輝は止血を終えた。


「一応応急処置はしたけど、傷は浅くない。すぐに病院に行った方がいい。さ、行くぞ」


 和輝は急いで加代を背負うと、少女の手を掴んで引っ張ろうとした。だが少女はその手を払い拒絶する。


「ダメ。あなた達だけ逃げて」


「な……っ! ふざけんな! お前も逃げるんだよ!」


「どうして?」


「どうしてじゃねえ! あんな化け物、お前一人で倒せるわけないだろ! お前が何者かは知んねえけど、ここでお前を見捨てるわけにいくか。こちとら命を救われた身なんだぞ」


 そう言うと少女は、場違いにも穏やかに笑った。


「ありがとう。でも心配しないで。これは雷雨の役目。雷雨が望んだ運命。雷雨はあいつを倒さなくちゃいけないの」


「んなの、お前の傷治してからでもいいだろ! それに、あんなもん自衛隊とかに任せとけばなんとかしてくれる」


「それは無理だわ」


「なんでだよ!」


「あれは“人間”には決して倒せない。いかな兵器を多用しようとも根源を殺すことはできない。それができるのは、雷雨達<魂の使者(ペルセウス)>だけ」


「なに、言ってんだ、お前?」


「理解できないなら、その方がいいわ。雷雨には分かる。君の魂は、とても大きくて、暖かくて、そして優しい。君はこちら側に来てはいけない人間。だから、逃げて」


「そんなわけいくか! なら俺も一緒に戦う!」


「足手まといだと言っているの。分からない?」


 和輝はそのまっすぐな言葉に、声を詰まらせた。


 分かってる。分かってるさ。俺は化け物を前にして震えてた人間。今だってまだ足が震えてる。正直恐い。すげえ恐い。いつも通りの動きができるのか、自信がない。足手まといになるのは、目に見えている。


 奥歯をかみ締める和輝の手を、少女は握り締めた。


「大丈夫。これはべつに恥じるべきことでも悔しがることでもないわ。それが当然なの。恐くて堪らないのが普通なの。君は何も悪くない」


「で、でも……!」


「もう時間がないみたい」


 少女は振り返った。和輝もそっちに視線を向けた。顔を蹴られて吹き飛んだ鬼がのっそりと立ち上がっている。その瞳に宿るのは純粋な殺意。心へ直接届く『殺す』の二文字。和輝は息を呑んだ。


「どっちにしろ、逃げたところで追いつかれるのがオチだわ。雷雨が戦って時間を稼ぐから、その内に結界の中から脱出して。力は弱めておくから、たぶん抜けられるはず」


「そ、そんなわけに」


「早くっ!!」



「…………ッ!!」



 和輝は背を向けて駆け出した。固く、現実から目を背けるように目を閉じて。






◇◇◇







 いつの間にか、和輝は公園の外へ出ていた。


 どう走ったのか、何回転びそうになったのか、まるで覚えていない。ただ、背後で少女の覇気と鬼の殺気が何度も衝突していたのが、記憶に残っている。


 荒い息とアップテンポを刻む心臓を鬱陶しく感じながら、和輝は道端に放置された学生カバンと、鍋の食材が入ったビニール袋を見つけた。その近くに加代の体を下ろし、振り返る。


 そこには、入る前と何も変わらない、どこにでもある公園の風景が広がっていた。


 だが、和輝は知ってしまった。壁一枚を隔てた先で、自分の命を救ってくれた少女と化け物が、予想もつかない死闘が繰り広げていることを。


「どーすんだよ、俺」


 和輝は自分に向かって問いかける。


「このまま、逃げ出すのかよ、神代和輝。命の恩人見捨てて、しっぽ巻いて逃げ出すのか。冗談じゃねえ。俺は今まで、なんのために鍛錬を積んできたんだ」


 でも、と和輝の中にあるもう一つの答えが口を挟む。


「助けに行ったところで、俺に何ができる? ビビッて身動き一つ出来なかった俺が、あの子と一緒に戦うなんて、できんのかよ? それどころか、あの子に迷惑かけて逆に危険に晒しちまうこともあり得る。それこそ冗談じゃねえ」


 運命を決める選択だと、和輝は無意識の内に感じていた。


 光の壁の向こうへ飛び込み、死地へと再び舞い戻る道。

 あるいは、このまま姉を連れて家に帰り、今日の出来事はすっぱり頭から忘却する道。


 そのどちらを選んだとしても、誰も責めはしない。


 和輝はトレードマークであるリストバンドに意識を向けた。とある少女の言葉が、和輝の心で響く。


『和輝……。わたしはいつでも、あなたを信じています』


 知らず知らず、和輝は笑みを浮かべていた。


 勝気で意地悪く自慢げな微笑。


「神代家家訓新たに追加。発案者俺」


 犬歯をむき出しにし、荒れ狂う獣のように雄雄しく、和輝は吼える。


「やる前に悔やむな。やって後悔しない道を選べ!!」


 和輝は走り出す。

 もう二度と、後悔なんてしないために。






〜次回予告〜

死地へと飛び込んだ和輝。待ち受けるのはこの世に存在するはずのない化け物と、困惑の少女。そこで和輝は、人ならざる力を手にすることとなる。


よーやく戦闘シーン入ります。つまらなくても最後まで読んでください。

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