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第27章:擬似デート


最近生きる気力なくしてきた。そうだ、天国へ行こう。

※もちろん冗談です(笑)




 時雨町のほぼ中心地にある商店街は、人で溢れていた。


 休日、というのも理由の一つだろうが、この時雨町という町はそれなりに近代的であるし自然も豊富なので暮らしやすい反面、規模が小さいため娯楽施設等の暇を潰せる場所が限られているのだ。そのため遊びに出る者は大抵町の外に出るのだが、金に余裕がなかったり電車を使うのが煩わしかったりする人達が近場で済まそうとする思考は当然のものと言える。


 そんなわけで大勢の人で賑わう商店街で、しかし、その人物が歩く周囲には一種の結界のように人がいなかった。いや、無意識の内に人々が道を譲っているのだ。


 恐ろしいほどに整った容姿に、誰もが羨むほどのすらっとした体。歩く姿はどこか凛としていて、小さな仕草にも一部の隙もない。なにより目立つのは、神々しいまでの艶やかさを見せる、長い紅色の髪。


 それは、日本でも五指に入るほどの大企業、紅グループ本家の一人娘、紅美夏に他ならなかった。


 彼女とすれ違うものは例外なく彼女に視線を奪われ、しばしその神がかりなまでの美しさに時を忘れる。彼女はまさに、この地に舞い降りた天使に違いなかった。


 だがそんなことを当人は露知らず、ここ何日かですっかり染み付いてしまった溜息をつく。


「……結局、あれから神代くんと一回も話せて、ない」


 うぅ、と美夏は果てしない自己嫌悪に頭を抱えたくなる。


 今でもはっきりと思い出す。突然大浴場に現れた想い人。驚愕した顔にある瞳が映した生まれたままに近い姿の自分。つい口をついて出てしまった罵倒に、手加減なしのビンタ。……うん、あれは、まさしく本気の一撃だった。遠慮なしに好きな人をぶっ叩いてしまった。


 だって、しょうがないじゃない! いきなりだよ!? いきなり自分の好きな人がお風呂に現れて、あまつさえ親以外の異性に見せたことのない素肌を目に焼き付けられて、そんなの、そんなの……!


 ボンッ、と美夏の顔が漫画みたいに赤くなって湯気が出る。今まで男性経験がほとんどなかった初心な少女にとって、すきなひとににゅうよくしーんをもくげきされる、というのは地球の地軸がズレることぐらい大変なことらしい。……まあ、些かこの少女は度が過ぎている感が否めないが。


 兎にも角にも、道行く人々の心を奪っていく美少女は、しかしたった一人の少年のために苦悩していた。彼女の苦しみは、同じく恋する乙女にしか分からないのだろう。


(どうしよう……このまま先送りにしてちゃ、いつかほんとに取り返しがつかないかもってアキが言ってたし。……やだ。やだよぉ…。やっと、やっと神代くんと接点が持て始めたのに、こんな気まずいまま終わっちゃうなんて……!)


 でも、と美夏は思う。


 こちらから言葉をかける、という気が、起きなかった。



 ―――恥ずかしいから、怒っているから、というわけではない。羞恥心は確かにあるが、それよりも彼と話をしたいという気持ちの方が大きいし、冷静に考えれば、彼が下心であんな破廉恥な行動に及んだとはどうしても思えない。何か事情があった、というのは聞かなくとも分かる。問題はそこではない。美夏にとって、あの出来事はショッキングな事件に変わりはないが、そこまで執着することではないのだ。


 彼女が今拘っているのは、不良に襲われた際の彼の行動。


 彼女にとって、どうしようもないほどの『矛盾』。



 紅美夏は、争いごとがもっとも嫌いだ。



 体に怪我をするし、下手をすると血を見ることにもなりかねない。なにより、争った後には笑顔がない。みんな、辛そうな顔をする。当然だ、殴られれば痛いし、殴った方も痛いのだから。拳も、心も。


 人は最初から誰かを恨んで生まれてきたわけじゃない。初めは敵なんていなかったはずなのだ。なのに、人は成長するにつれて闘争心を築き上げ、敵ではなかったはずの人を敵と認識して戦う。それはとても、悲しいことだった。悲しいことであると、教えてもらった。


 ―――美夏は思い出す。


 あの時、彼はいつも通りだった。“いつも通り”の様子で敵を倒し、“いつも通り”振る舞っていた。まるで、ああなることは当然であり必然であるかのような顔で。


 それが、許せなかった。


 ―――一番好きな人が自分の理想に当てはまらなかったことが、とても悲しくて、失望した。


 なんという勝手。なんたるわがまま。意味不明。これでは愛想を尽かされても当然かもしれない。


 嫌われたくは、ない。


 でも、認めることは出来ない。


「うぅ……ホントにどうしよう……」


 そして、また美夏は悩ましげに溜息をつくのだった。




 美夏が和輝の姿を見かけたのはその少し後だった。




「―――ッ!?」


 反射的に物陰に隠れる美夏。って、なんで隠れてるんだろう私。美夏は自分自身にツッコミながらそっと和輝の様子を伺う。


 間違いなかった。彼のトレードマークであるリストバンドが両腕に装着されていたし、なにより自分が彼を見間違うことなどありえない。あの入学式の日からずっと、自分は彼のことを追いかけていたのだから。


 和輝は何かを探しているのか、しきりに視線をさまよわせている。なにしてるのかな、と思いながら、美夏は気づかれていないのをいいことにさらに和輝を凝視する。


 何度見ても思う。神代くんはカッコイイ。美形とは言えないけど、磨けば二枚目にはなると思うし、それほど大柄ではない体は無駄のない筋肉で覆われていて、思わず見惚れてしまう。……神代くんって脱いだらすごそう……って、なに考えてるの私!? そ、そんな、神代くんの裸なんて、半裸なんて、ふ、不潔で、その、なんというか……こっちも見られたんだし、お願いしたら上ぐらい脱いでくれるかもって違うーっ! 私そんなこと思ってないーっ!


 意外に妄想癖があるという新たな一面を垣間見せる美夏。通行人はそんな美夏を見て見ぬフリをしていた。誰しも直視したくない現実というものがあるのだ。進んで夢を砕く物好きもそうは居るまい。


 ―――が、そんな美夏の幸せな妄想も長くは続かなかった。


「あ、和輝こんなとこにいたー。もうどこ行ってたんだよー探しちゃったよ雷雨」


「ふざけろテメェ! ふらふらとそこらへん徘徊しだしたのはお前だお前! こちとらこの人混みの中お前を探すのに必死だったんだぞ!? 素直に礼を言って感謝の意思を行動で示しなさいっ!」


「おおっ! 見て見て和輝ー! あっちにおっきなリスがいるよー!」


「人の話し聞けよ! いい加減にしないとワタクシも怒りますですことよ!? って待て待て待てそれ本物じゃないから着ぐるみだから仕事だから子供の夢だからその頭を取っちゃらめぇーっ!」


 バキィッ!!


「え? なに今の音? 今なんかすっげえ音したぞ? あ? 聞こえなかった? 嘘つけ。絶対したって。なんつーか怒りに身を狂わせた女が物に八つ当たりしたみたいな音? え? ちょっと待ってなにその痛い人を見る目は? おかしいの俺なのか? 間違ってるのは俺なのか!? そしてチャックに手をかけるな空想破壊神(ドリームブレイカー)!!」


 ちなみに、和輝は間違ってなどいなかった。


「……これは、一体どういうことなんでしょうねぇ……」


 ピクピクとこめかみを痙攣させながら美夏は身を忍ばせていた看板に亀裂を生じさせていた。一体その小さな手のどこにそれだけの握力があるのか。通行人はモーゼの如く彼女に道を譲った。というか、避けた。誰しも直視(以下略)。


「……ふふふ、なんででしょうねぇ。私には、あの二人が仲睦まじい恋人のように見えるんですけどねぇ……うふふふふふ、なんででしょうねぇ……」


 後に和輝は語る。


 この時背中に突き刺さった殺気にはマジで小便ちびりそうだったと。






◇◇◇






「うーん。なんかさっきからやばげな気配を感じるんだが、気のせいなのか……?」


「なに一人でぶつぶつ言ってるの? きもいよ?」


「俺、ここまで女を殴りたいと思ったのマジ初めてだわ」


「あ、すいませーん! デラックスジャンボパフェ追加でー!」


「もう怒る気力も失せてきたわ……」


 ふぅ、と和輝は年に似つかわしくない本当に疲れた溜息をついた。時折感じる背筋を這い登る悪寒も気になるが、こいつに比べたら野良犬に吼えられているのと同じぐらいの些細な問題だ。


 そう、目の前にいるこの女―――それはまさしく和輝の相棒である雷雨だった。しかも常人にも見えるように“実体化”している。姿形があるから物理的に振り回されるし、こうしてデザートパラダイスで俺のお財布経済を衰退に陥れているのである。

 ちなみに今雷雨が来ている服は一旦家に帰って加代の部屋から拝借してきたものだ。普段のように誰にも見られないのなら問題ないが、実体化する以上あの奇抜な衣装を人目にさらすわけにはいかなかったからだ。胸元が少し余るとは雷雨談。なんとなく雷雨の自己主張する胸を見て、それ以上のモノを想像すると、正直な話、少し鼻血出かけました。


 そもそもこんな状況になってしまったのは和輝の不用意な愚痴が原因だった。


『くそ。なんで彼女がいるわけでもない俺が一人で女が喜びそうなもん探してうろつかなきゃなんねーんだ。程度は違えど女性下着専門店に特攻かけろってのと同義じゃねーか。あん? なんでそんなに顔が赤いかって? 恥ずいんだよ悪いかチクショー!』


『じゃあ、一緒に回ってくれる女の子がいれば大丈夫なのよね?』


『………は?』


『実は前から試したかったことがあるんだー。ちょっとセレスを消費しちゃうけど、ま、大丈夫でしょ』


 で、親切にも和輝を哀れに思った雷雨様が一肌脱いでこの世に顕現されたということだ。


「感謝してよね、ヘタレ」


「なんかお前最近冷たくね? そして微妙に言い返せなくてとても悔しい」


 つーか俺の金で一番高いパフェ食ってるお前にどう感謝しろと?


 和輝の溜息は総数を増やすばかりだった。


「それにしても、もうずいぶんと時間経ったけど、未だにめぼしい物見つからないね」


「そりゃそうだろ。どっかの誰かさんがなんの関係もなくつまんねーモンに興味引かれていちいち反応して、そこらじゅうの食べ物ばかすか食ってるんだから、ろくに進展なんてあるはずねーだろバカ」


「だ、だってすっごく新鮮だったんだもん! 和輝に会うまではケガレを倒したり逃げたりであんまりこういうところには来る機会なんてなかったし、今まで見たことはあっても顕現できなかったから触れなかったし、とにかく楽しいんだもん!」


 和輝はまた溜息をつく。が、それだけだった。

 

 今まで雷雨は生き延びることだけで精一杯で世間を“楽しむ”ということができなかった。いつもいつも、指を加えて“日常の外”から見ていることしかできなかった。それが今、雷雨はその“日常の中”にいる。はしゃぎたくなるのも分からないではない。自分でできる範囲でなら、好きなことをさせてやりたいとも思う。


「でもなあ、今は一応緊急事態だからなあ……」


 今はこうしてカフェテラスでパフェなんぞつついているが、和輝の内心はだいぶ焦っている。携帯のディスプレイを見ると時刻はもう4時。あまり時間はない。にもかかわらず、和輝は未だに目ぼしいプレゼントを見つけていなかった。


「確かにね、雷雨がわがまま言ってるせいで時間がなくなっていくっていうのは分かってるよ。でもね、プレゼントを見つけていないっていうのは和輝の問題だと思うよ? ちゃんと探す気あるの?」


「あるにはあるけどさ……」


 雷雨に連れまわされている間にも和輝はいろんなところに目を光らせた。でも、これだ、というものが見つからなかった。美夏がどんなものに興味を示すかも知らないのでそっちで攻めるのも無理。結果何を渡せばいいんだとうんうん唸ってるだけでこの数時間は過ぎてしまった。


「なあ雷雨ー。お前も一応生物学的には女だろー? 女がどんなもん欲しがるのか教えてくれよー」


「……気に入らない言葉がそこはかとなく聞こえてきた気がするけど、まあそれは置いとくとして……寝言は寝てから言えやカス」


 ひでぇ。


「あのね和輝。あなたの言う通り雷雨は誰がどう見ても非の打ち所のない乙女だよ? でも雷雨は女である前に戦士なの。俗世ごとに興味はあるけど詳しくはないの。そんなこと雷雨に言われても答えられないよ。

 それに、美夏ちゃんにプレゼントを渡すのは和輝なんだよ? そりゃあこれでスベッたら友好関係の改善は致命的になるから必死になるのは分かるけど、だからって誰かが選んだものをそのまま相手にプレゼントするのは失礼よ。雷雨だったらそんなの許せない。例えどんなに変でもその人自身が必死に考えて選んだプレゼントをもらった方が雷雨は嬉しいな」


 正直、和輝は少し驚いた。


 雷雨にとって、今のこの時間はよく言えば息抜き、悪く言えば無駄な時間のはずである。彼女の本質はこの世にはびこる魔を滅することであり、自分達はケガレを滅ぼすことを共通の目的として手を組んでいる。つまりこうして彼女が付き合う理由なんてないのだ。雷雨がここにいるのは彼女の気まぐれに他ならない。俗世に興味があった。本当にただそれだけの理由でわざわざ実体化してまで付き合ってくれているのだろう。


 そう、思っていた。


(……バカだなぁ、俺)


 最近もしやと思っていたことが確信に変わった。こいつ、かなりのお節介だ。


(じゃなきゃ、ここまで真剣になれねえよなぁ)


 思わず和輝はくすりと笑ってしまった。こいつとパートナーになれてよかった、と改めて思った。


「どうしたの和輝? 急に笑い出して」


「いや、乙女とかあまりにも無茶のある表現したからおかしくておかしくて」


 当然の如くぶん殴られました。






◇◇◇






「あ、あの、お客様?」


「……………」


「その……当店では器物破損はそのまま弁償させていただくことになっておりまして……あの、それ以上力を込めるとグラスが……」


 ビキィ!


「ひいっ!」


「……あら、すみません」


「い、いいいいいいいいえいえいえとんでもございませんですはい!」


「あの」


「は、ははははははははいなんでしょう!?」


「コーヒー、お替りお願いします」


「少々お待ちをっ!!」


 にこりと美夏が微笑むと、店員は逃げるように去っていった。無理もない。今の美夏と正面から対峙して平静を保っていられる人間などそうは居まい。


「ぶつぶつ……なんなんですかあの人。どうして神代くんとあんなに親密なんですかあの女。私なんて、私なんて、まともに話しかけるのに二週間もかかったって言うのに……! しかも、今だってすごく仲良さげにじゃれあって……ぶつぶつ」


 美夏は丁寧な言葉使いの中に邪悪な念を込めながらじゃれ合う二人(美夏の座る席からは角度的にそう見える)を観察していた。人を寄せ付けない拡散力場でも発生させているのか、例によって彼女の周りには客が一人も居なかった。


 と、一通り呪詛の念をつぶやき終えると、美夏はふと寂しげな顔になって、


「私、なにしてるんだろう」


 それはまるで、大事な何かが壊れていくのを見ているかのようだった。



 ―――そもそも、私に彼のことをどうこう言う権利があるんだろうか。



 私は彼のことが好き。間違いなく初恋。夢にも度々出てくるし、アキにも内緒で財布に彼の写真を入れているし、彼の笑顔を見るたびに私も笑顔になれる。


 でも、彼は?


 彼はそんな風に私を想ってくれている?


 彼にとって、紅美夏ってどんな娘なの?


 ……それを問う勇気を、私は持っていない。


 だから、美夏は人知れず呟くことにした。


「ねえ、“和輝”くん」



 ―――私は、あなたにとってただのクラスメイトなんですか?






◇◇◇






 つけ回すような気配が消えたのに気づいたのは、カフェテラスを出てしばらく経ってからだった。


(……やけにあっさり引いたな。また例の奴らが俺に用があるのかと思ったけど。いや、気配をぜんぜん隠せてなかったし素人だったのか? 一般人に狙われるような恨みは買ってないと思うけど)


 なんだか少し釈然としない。


「あっ、和輝! 次はここ入ろうよっ!」


 シリアスモードに突入していた和輝の思考が一発で現実に引き戻された。和輝の返事も待たずに雷雨が飛び込んでいったのは、何度か訪れたこともあるゲームセンターだった。……前言を撤回しよう。やっぱこいつはただ遊びたいだけだ。


「ゲーセンねぇ。俺は武谷がやってるのを見てるのが大半だったからなぁ。あんまし得意じゃないんだよな……まあ、エアホッケーぐらいなら相手してやれるか」


 やれやれ、とすっかり保護者気分で和輝は雷雨に続いた。


 ―――その足が、不意に止まる。


「……これ……」


 “それ”を何気なく見たとき、和輝の頭がちくりと痛んだ。何故だろう。前に来てこれを見たときはなんとも思わなかったはずなのに。

 ……前にも、今と同じような状況があったような気がする……。そう、あの時の視線はもっと下で、硬貨を握る手も小さくて……。


 ―――ダメだ、思い出せない。


「くそっ、なんだよこの靄は。鬱陶しい!」


 思い出さなくちゃいけないことのような気がする。忘れていてはいけない思い出のような気がする。

 それなのに、脳はそれを拒絶するかのように靄の密度を深くしてゆく。


「――き。和輝! ちょっと、聞こえてる!?」


「あ……」


 雷雨に揺さぶられて我に返った。

 ……今、一瞬だけ、夕暮れの公園で遊ぶ二人の子供が見えた気がした。


「どうしたの和輝? 最近ボーっとしてること多すぎるよ。まったく、しっかりしてよね」


「悪い…」


「もう。ホントにしっかりしなくちゃダメよ? プレゼント選ぶ時間もあんまりないんだし、ボーっとして約束に間に合わなかったら雷雨知らないよ?」


「……そう、だな。今はボーっとしてる場合じゃないな」


 和輝は己の頭に活を入れる。危うく本来の目的を忘れるところだった。この記憶の正体も気になるが、今はそれよりも―――


「雷雨、この札全部両替機で小銭に換えてくれ」


「え、なになに!? これだけのお金全部遊んで使っていいーの!?」


「蹴り飛ばすぞバカたれ。それは紅へのプレゼントのための金だ」


「え? 何買うか決めたの?」


「ああ、たった今見つけた」


 さてと、と和輝は腕まくりする。


「下手したら長期戦になるが、迷ってる暇はないな」


 今の高揚感に何故か懐かしさ覚えながら、和輝はコインを投入した。






初っ端の前書きから意味不明なこと口走って本当にすみません。なんとなく頭に浮かんできたフレーズがこれだったんです。まあそのなんだ……ワタクシとてたまーにすべてを捨てて楽になりたいと思っちゃうことがあるんですよ。あ、ここ笑うとこね。ははは。


とまあ少しダークな話はここまでで。ではお馴染みの奴行っときましょう。


〜次話予告〜

少女の誕生日は二つあった。堅苦しく愛想笑いを常に浮かべていなければならないパーティ。親友の家でささやかながらも暖かさを実感して素の自分をさらけ出せる誕生会。少女にとって後者は、一年の中でもっとも笑顔で溢れる日となるはずだった。そう、少女の想い人が現れるまでは。

すれ違ってしまった少年と少女。二人の進む道は、再び一本の道となるのだろうか。

第28章「変わるモノと変わらないモノ」乞うご期待。


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