なぜ、見えないんでしょう?
「お名前を伺ってよろしいですか?」
いやいやいや、おじいさん。
ほんっとに何ごともなかったかのように進めないでくださいよ。
「私は林 優奈ですが…あの、今のは何だったんですか?」
他にも聞かなきゃいけないことは山ほど有るけど、さっき目の前で起きた事が気になった。
まだ頭の中がパニックだしね。
「そうですか。林優奈さま。いくつかお答え頂きたい事が…」
ええー。私の質問はスルーですか?
どう返すべきか悩んでジッとおじいさんを見ていると、
「む? あぁ…これは失礼した。言語が違うようでしたので『意思疎通翻訳魔法』を使用したのです。もしかして魔法を見るのは初めてでしたか?」
………。
当たり前みたいに魔法の話しが出て来たけど。少なくとも私の常識の中では魔法はあり得ない物のはずだ。
「これは…?」
自分の頭の上に浮かぶ妖精を確認しながらもう一つ質問をしてみる。
「無駄だと思うわよ。この人らには見えて無いもの。」
透き通るような、高めのハッキリした声。
「見えないことにした方がいいんじゃない?」
私はまた、目が合ってしまった。
その小さな口を動かす頭の上の妖精と。
「これ?」
おじいさんは怪訝そうな顔で、私の視線の先を探っている。
「あ…いえ。なんでも無いデス。」
何だか面倒なことになりそうだったし助言にも従いごまかしてしまう。
しかし…おじいさん達は
なぜ、見えないんでしょう?
物語が!
すーすーまーなーいー⁉