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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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颯が意識を取り戻すとそこは鬱蒼とした森林の中だった。

大きな木の根元に蹲るようになっている体を起こし立ち上がると空を見上げ、木々の間から差し込む日の光に何故か少しだけ安心する。


「定番だな。そんでこの森は魔の森とか言っていきなり強敵が現れたりするんだろ。まったくあの女神(仮)もやっぱりろくなもんじゃねえな」


「女神フォルトゥナ様です(仮)ではありません」


「うぉぉっ」


颯はいきなりの反論に驚き思わず飛び退り、声のした方を見ればそこにはハロウィンのドラキュラコウモリを風船にして膨らませたような奇妙な生物がいた。


見ようによっては黒と紫のコウモリの羽を持つ黒猫をまん丸くしたぬいぐるみみたいにも見える。


「初めまして颯様。これからよろしくお願いします」


「あぁ、フォルトゥナが言ってたナビってお前のことか。それにしても奇妙な見た目だな」


目の前の奇妙なナビの登場により、取り敢えず女神(仮)が最低限言ったことは守ったのだと認め、颯は女神(仮)呼びをやめあの美女が女神フォルトゥナだと認めることにした。

それにナビ相手に取り繕った話し方も必要ないだろうと考えた。


「魔法使いの使い魔は古くよりカラスか黒猫と決まっています」


「それが何でその姿になるんだ?」


「カラスか黒猫か迷いに迷った上のことです。黒猫は飛べませんしカラスは夜目も利かず狭い場所での行動も難しいかと」


「それで両方の良いとこ取りしたってことか」


「そう思っていただければ幸いです」


「どんな行動を想定してんだよ。俺は平凡で普通なんだ。平穏で平和な生活を望んでるのにそんな心配は必要ないと思うよ」


颯はおもいっきり溜息を吐いたが、ナビは何処吹く風でフヨフヨと暢気に疾風の周りを浮遊している。まるで颯のことを細かく確認するかのように。


「颯様はご自分のことを平凡で普通だと仰るのですか?」


「ああ」


「まったくご冗談を。颯様はフォルトゥナ様の加護と貴重なスキルをお持ちなだけでも普通ではあり得ません」


「さっきから言ってるその颯様って言うのは止めてくれないか。それにその変な敬語もちょっと気色悪い。なんだか背中がムズムズする」


颯は今まで颯様などと呼ばれたこともなければ敬語など使われたことがない。どちらもモブには絶対にあり得ないものだと思っていた。


「ではなんとお呼びすれば?」


「普通に颯で良いよ。颯で。それよりお前は何と呼べば良いんだ? お前呼びじゃ気分悪いだろう」


「ナビで良いですよ。以後よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくな。それで早速だけどここって何処だ? これからどうすれば良いんだ?」


颯はゲームでは躊躇無く攻略サイトを参考にする派だ。そしてマイペースに冒険し収集コンプリートを楽しむタイプ。

だからMMOゲームはした事が無く、パソコンやゲーム機のソロで楽しめるゲーム中心だ。


異世界に来たこととナビの登場にちょっとだけゲームの世界にでも転移したような気分になっていた颯は早速行動する気満々だった。


「ここは腐界と呼ばれる魔素が充満した場所です。こういう魔素が充満する場所には魔物が現れるのでこの世界の人間はあまり寄りつきません」


「こういう場所って珍しいのか?」


「そうでもありません。それにいずれこの場所もダンジョンとなるでしょう」


「ダンジョンが作られるのか! この場所に」


「はい。一定の魔素量を超えるとその場所はダンジョン化します。ダンジョンとなれば冒険者達も探索を始めるでしょう」


「ダンジョンになるのを待ってるってことか? 何でまた」


「高濃度の魔素が充満しているので生身の人間の体にはあまり良い影響がありません。ダンジョンと化せばこの魔素はすべてダンジョンが吸収し魔物を作り出す元としますので人間でも活動が可能になります」


「ちょっと待て、俺生身の人間だけどここに居て大丈夫なのか」


生身の人間の体に良い影響がないと聞いて颯は慌てる。そして何でそんな場所に転移させたのかとフォルトゥナを恨みがましく思う。


「フォルトゥナ様の加護がございます。それに颯様には状態異常無効のスキルもございます」


「さっき颯って呼べといったと思うんだけど、ひょっとして無視してる? 了承したんじゃないの?」


「はい。プログラムに無い事には慣れません」


じゃあ何故聞いたというツッコミを入れたかったが、いずれは颯と呼ぶ日が来るかも知れないと取り敢えず納得し飲み込んだ。


「プ、プログラムゥ~! ナビって生物じゃないのか!?」


「女神フォルトゥナ様が颯様のために御自らお作りになった僕とご理解ください」


どこからどう見ても奇妙な生物にしか見えないナビがフォルトゥナが作った物だと聞き、それは結局生物なのか機械なのか、はたまた錬金術で言うところのホムンクルスなのかと颯は頭を悩ませる。


「それに颯様以外が私を認識し奇妙に感じることはありません。そのように存在しております」


「それって他人から見たら限りなく存在の薄いモブってことか?」


「モブがなんなのかは分かりませんが、私を認識できる人間はいないと思われます」


やっぱりモブじゃないかと颯は思う。そしてモブのお伴のナビもやっぱり同じモブならこの先目立つこともないと颯は心から安心するのだった。



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