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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅の終わり?

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まだできたばかりのはぐれメタルダンジョンの攻略にすっかり慣れてしまったリックとロッテの引率は、今では甥っ子姪っ子を公園に連れて行って遊ばせているようなそんな状況だった。


ダンジョン内に冒険者の数も増え、はぐれメタル(仮)とあまり多く戦えなくなり、何時間と掛からずにダンジョンマスターを倒し戻ってこられるようになってしまった二人には物足りなさしかないようだ。


ただ幸いだったのはその引率が毎日ではなかったことで、颯も一応自分なりの活動ができたことだった。

取り敢えず颯のドロップ品を選択できるスキルはまだ二人には秘密にしていたので、独りでダンジョンに出向いてはドロップ品をコンプリートさせたり、新たに醤油や味噌の仕込みをしたり、マリンと編み物談義をしたりと颯は颯なりに忙しくしていた。


そしてそんな日常が落ち着いたと安心していたある日、リックとロッテは不満を解消するためにグランにダンジョンマスターを自分達で倒せるようになったことを告白し、別のダンジョンへ行くことを了承させるのに成功する。双子の十歳の誕生日でのことだった。


颯も十歳の時に泊まりがけで冒険者の仕事をしていたという事もあり、マリンも心配しながらも了承していた。


「やったー! これで他のダンジョンへも行ける!!」


「油断は禁物よリック。はしゃぎすぎて失敗しないでよね。それよりもハヤテお兄ちゃんこれからもよろしくね」


もう既に颯の意思などまるで関係ないようだった。

しかし最近颯は思う、自分がこの世界に来た理由を。運命論的に考えるならきっとこの二人を導くために呼ばれたのではないかと。


だとしたらただのモブでしかなかった自分の人生にも何か役割ができたようで、それはそれでやり甲斐があるのではないかと。

きっと本当にこの世界でやがて英雄となるリックと賢者として多大な功績を残すだろうロッテを少しでも導くことができるなら颯も悪い気はしないし、それも一つの功績になるだろうと。


「ああ、よろしくな」


そうして颯はリックをリーダーとしてロッテと三人で冒険者ギルドにパーティー登録をした。

颯はあくまでも引率者に過ぎず主要メンバーはリックとロッテなので当然なのだが、不思議と誰もその事に疑問を持つことはなかった。


その後の活躍としてまだ正常化させていなかったダンジョンを正常化させては次々と踏破して行った。時にはかなり遠出をしても。


そして今ではダンジョン踏破もそれほど珍しくもなくなったとは言え、その圧倒的早さと数の多さにリックやロッテが望んだようにパーティーの名前はどんどん知れ渡っていった。


今ではリックもロッテもジョブのお陰かだいぶスキルの数も増えたらしく、もしかしたら颯よりも余程強くなっているかもしれないと思えた。


そもそも颯と双子とはステータスの仕様が違うのか、二人がどんどんと強くなって行く様子は端で見ていても面白いほどだった。


二人でじゃれるようにしてステータスの報告や話し合いをしていても颯はけしてそこに混じることはしなかった。

なぜなら颯のステータスをすべて話してはいないのだから自分も聞く権利は無いだろうと思っていたからだ。ステータスに関しては完全に二人との間に壁ができていた。


そうして双子が十五歳の誕生日を無事迎え。成人となったその晩に颯はある決意をした。


「ナビ、俺もうこの姿なら日本に戻っても問題ないと思うんだ。フォルトゥナに少し早いが帰りたいと申請してくれないか」


「本当によろしいのですか?」


「ああ、頼む」


もっと別にしたかった事はないのかと聞かれるとすぐには答えられないが、この世界に来て十八年。ソロであれこれ悩みながら思うままに活動した十一年。双子に付き合って活動した七年。まだ約束の時間まで二年残っているが、既にもうやれることはやり尽くした気分だった。


人生を五十年も経験するとたとえ体がまだ若くても精神的に達観してしまうところがあるのか、最近はとにかく日本が懐かしくて仕方ない思いの方が強かった。


いずれ帰れるんだと思えば今まで我慢もしてきたが、それでももう自分の役目は終わったと思うと他に新たな目的など考えられないほどに帰りたくて仕方なかった。


何よりなぜか家族に会いたくて仕方なかった。

次に家族に会ったなら、きっと以前とは違った目で見ることもできるだろうし、自分から関わって行く事もできるだろうと思えた。

それに今までとは違った家族関係をきっと築けると颯には確信めいたものがあった。


「申請は了承されました。すぐに実行に移りますか」


颯は少しだけ悩んだがやはり即座に戻ることを決意する。きっと颯の姿がなくなっていれば、グランも双子も颯が日本に戻ったと察してくれるだろう。それに何より別れの挨拶は苦手だし辛い。


それに別れのイベントはきっと引き留めてくれるだろうマリンや双子を必要以上に辛くさせる気がしてならないし、なんと言って戻ったら良いのか颯にはうまい言葉も浮かばない。


「…。ナビ本当に今までありがとうな。ナビがいてくれたから俺はこの世界でも自分でいることができた。正直別れるのは寂しいが悪いなそれでも帰りたいんだ」


「颯様は何か勘違いをしているようです。私はこれからも颯様とご一緒します」


「…?」


「フォルトゥナ様が異世界攻略特典として私を颯様にお与えになったようです。その代わりステータスは初期化されてしまいますが問題ありません。颯様の肉体は以前とは比べものにならないほど基礎能力が向上してますので」


「……!?」


「では参ります」


ナビのかけ声と共に颯は眩しい光に包まれ視界が遮られる。そして視界が戻り意識がはっきりするとそこは異世界へ転移させられた時に居た奇妙な部屋の中だった。

本当に戻って来られたようだ。


「さぁ颯様、これからもナビがご一緒しますので、ここ日本のダンジョンでも活躍していきましょう」


時差ボケ(?)状態であまり頭が働かない颯にナビはどこか喜々とした表情で告げるのだった。



本来ならもう少し詳しいエピソードのあとここから日本でのダンジョン無双を書いていく予定でしたが他に書きたいものができたのでここで完結とさせていただきます。

ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

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