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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅の終わり?

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「「「はぐれメタル!」だ!」じゃないのよ!」


「!?」


ダンジョンに入ってすぐに見かけたモンスターはドラクエでお馴染みのはぐれメタルをそのまま黒っぽくしたモンスターだった。


颯が期待していた丸いフォルムのスライムではなかったが、もしかして本当にはぐれメタルだったとしたらと考えると颯のテンションは一気に上がった。


が、しかし同時にリックとロッテも同じ言葉を叫んだことにかなり驚いてしまう。どうしてはぐれメタルを知っているのか。考えるまでもなく疑いようのない事実に颯は二人を交互に見詰める。


「「…」」


バツが悪そうに下を向き視線を逸らすリックとは逆にマジマジと見詰め返してくるロッテ。


「もしかしてハヤテお兄ちゃんも転生者なの?」


「いや、俺は転移者だ」


颯はまず自分がこの世界に転移させられた状況をリックとロッテに詳しく話して聞かせた。それはもうフォルトゥナに対し恨みを抱いたままありのままに。


「ふ~ん、でも帰れるんだな。なんか羨ましい気がする」


「そうね。できることなら私も帰りたいです」


二人にそう言われてしまうと颯は途端に申し訳ないような気がしてなんと言って良いか分からなくなってしまう。


「まぁでも、できないことをいつまで考えてもしょうがないからな。俺はこの世界でチート無双して英雄になるんだ!」


「私は誰も逆らえないくらいの地位と名声を得てこの窮屈な世界を変えてみせます」


颯は二人の熱い決意表明を聞き、なんだか少し感動してしまう。そしてこのやる気の違いはいずれ日本に帰れる転移者の自分と転生してきた二人との違いなのだろうかと。


「ところでさぁ、元々記憶はあったの?」


三歳の誕生日に別れるまでは二人が転生者などと疑うこともなかったので少し不思議に思う。そしてその片鱗を見逃していたのだとしたら自分はどれだけ二人に関心がなかったのかと反省もしていた。


「思い出したのは七歳の時だ」


「そうなんです。七歳の誕生日にまるで封印が解かれたように突然思い出したんです」


「二人同時にか?」


「ええ、女神様のお慈悲のようですよ」


「あのフォルトゥナの慈悲? ホントかよ」


ロッテは生まれたときから前世の記憶を持っているのは今世の家族との関係構築上不都合だろう、また前世の家族を思い出し辛いだろうというフォルトゥナの配慮だと考えているようだったが、颯はフォルトゥナの慈悲と聞いて懐疑の念を抱いていた。もしかしたら記憶を持たせるのをうっかり忘れていて慌てて思い出させたとかそんなところなんじゃないかと。


「本当です。それにフォルトゥナ様は私にとても素敵な能力を授けてくれました」


「俺も貰った」


「ちなみにどんな能力か聞いても大丈夫か?」


「俺は異空間収納と剣術適正と剣聖と言うジョブだ」


「私は異空間収納と魔法適正と賢者というジョブです」


「ジョブだと!?」


颯はフォルトゥナがこの世界にジョブを取り入れたのだと知りかなり驚いた。モンスターの導入には時間が掛かっていたのにジョブの導入は早すぎるだろうと。


もっともこの世界の人全員がジョブを手に入れているかは定かではないし、今現在颯もジョブなど持っていない。なのでもしかしたらジョブはこの二人だけの言わば転生チートみたいなものなのかとも思う。


自分がフォルトゥナの加護や貴重なスキルを貰ったように、この二人だけの特別な転生者特典のようなものなのかと。それにそもそもこの世界の人達は自分のステータスを確認することもできないのだから。


「ハヤテ兄ちゃんの能力も教えてよ」


「俺はフォルトゥナの加護と魔法適正だな。ジョブなんて持って持ってないけどナビを付けて貰えた」


颯はとても貴重なスキルに無尽蔵の魔力量や鑑定に探知に状態異常無効まで持っているとは敢えて口にせずにナビの存在を明かすことにした。


「ナビですか?」


「ナビ、二人に姿を見せられるか」


「お初にお目に掛かります。颯様のサポートをしておりますナビです」


ナビは二人にも姿が見えるようにするとその目の前でとても丁寧な挨拶をした。


「…」


「やだぁ、可愛いぃ~~。ハヤテお兄ちゃんだけズルいですぅ」


リックはその現実離れした姿に言葉を失い、ロッテはナビに抱きついていた。

そして抱きつかれたナビはと言えば案外嬉しそうにしているので、思わず颯はそれはダメだろうと思ってしまう。けして嫉妬ではない。


「ナビが可愛いかどうかは別としてかなり役に立ってくれているありがたい俺の相棒だ。ペットじゃないんだからな扱いに気をつけてくれ」


颯はロッテからナビを取り上げると相棒である事を強調し、ペット扱いをしないようにと告げる。


「ええ~~~、少しくらいいいじゃないですかぁ」


「絶対にダメだ。できないというなら今後もナビはずっとステルスモードだしロッテと一緒に行動することも無くなる。俺は他の人にナビの存在を知られたくはない」


颯は異空間収納以上にナビの存在は誰にも知られたくなかったし大事にしたかった。


「……分かりました。でも他に誰も居ないところでならナビと話すくらいはいいでしょう?」


「ナビが了承するなら構わない」


「やったーーー。ナビこれからは私ともよろしくね」


「俺も俺も!」


「はい、お手柔らかにお願いします」


二人の勢いに負けたのかナビが案外簡単に了承しているのを見て、颯は本当に大丈夫なのかと少し不安になるのだった。



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