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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
序章

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「そんなに簡単に安心できる訳ないじゃないですか。もう少し詳しく教えてください」


「はぁ・・・。まぁ、今さら何時間か急いでも仕方ないわね。分かったわ、知りたいことにはすべて答えるから何でも聞いて」


諦めて溜息を吐く女神(仮)に颯は要望が通った嬉しさからうんうんと頷くと思う存分質問をぶつけるこにした。


「それではまず私のこの幼くなった体でいったいどうやったらそちらの世界で生活できるのかお聞かせください」


「それは大丈夫よ。こっちの世界では八歳にはみんな普通に仕事をしているわ。それに十歳になれば冒険者ギルドに登録もできるのよ。冒険者ギルドよ。どう、ワクワクしてきたでしょう」


「いえ、全然まったく。それで冒険者ギルドって何処にでもあるんですか? 私が考えているような組織なんでしょうか? 十歳で登録って簡単にできるんですか? 私はそちらの世界のお金も何も持ってませんが、本当に大丈夫でしょうね。それに十歳で登録したとして普通に一人で生活するくらいには稼げるんですか? 絶対に危険は無いんですよね?」


そう、颯がもう少し若かったならもしかしたら女神(仮)が言うようにワクワクしたかも知れない、しかし三十路を越えた今となっては夢よりも現金の心配をするのは当然だ。


それに既に颯は冒険するよりも平穏で平凡な変わらない毎日の生活を望んでいる。

危ないことに首を突っ込むことなく安心して安定した生活を過ごしたいのだ。

それは異世界へ行ってもきっと変わらないだろう。


「変わってるのね君。能力の心配よりお金の心配をするのね」


「別に私は変わってませんよ。それに特別な能力なんて望んでません。普通で十分です。でもお金は大事ですよ。お金がなくては何処の世界だろうと生活できませんからね」


「そ、そうね」


女神(仮)は颯のあまりもな迫力に一瞬押されそうになり正直少しビビっていた。


「安心して安定した生活を送れる保証ってあるんですよね?」


「そりゃぁ私も折角送り込んだ君に簡単に死なれたり挫折されても困るわ。そうよね。でも安心して安定した生活って・・・」


「例えば最近のはやりはスローライフです。ゆったりとまったりとした生活が送れるなら私も休暇をいただいたつもりで異世界を楽しめるかも知れません」


「何その曖昧な表現。ゆったりとかまったりとか人によって捉え方が違いすぎるものを基準に私にいったい何をしろというのよ。折角体が若くなったというのに言うことがジジくさいのよ」


「ジジくさいって・・・」


颯が異世界へ行くと決めたことでさっきまで多少余裕を見せていた女神(仮)が見せたイライラより颯はジジくさいと言われたのがショックだった。

最近は体力の衰えを感じ少々薄くなり始めた頭髪を気にしだした颯にははっきり言って禁句だ。女神(仮)の一言は思った以上に颯にダメージを与えていた。


「ああぁぁ~、もう面倒くさいわね君って! 分かったわ。君にはナビを付けるからここから先は異世界へ行ってからそのナビに何でも聞いて。それときっと欲しがるだろうと思っていた能力も授けておくから安心して異世界を楽しんで頂戴。良いわね。質問タイムは終わり。意義は認めません!」


「あっちょっと待ってください。まだ他にも聞きたいことが・・・」


颯の言葉をまったく無視して女神(仮)が颯の頭に手を置くと颯の意識はスーッと遠のいて行くのだった。



「最近颯から連絡が来ないけど何してるのかしら」


「連絡が無いってことは元気でやってるんだろう」


「そりゃそうよあの颯なんだから人様に迷惑を掛けるようなことは無いでしょうが、でもあの子は一つの事に夢中になると他が見えなくなるから心配だわ」


「何かあったら連絡してくるだろ」


颯は自分の事をモブだと信じて疑っていなかったが実はそうではなかった。

寧ろ周りの人が迂闊に話しかけられないような強者のオーラを放つ異様さを持っていた。


その上自分が興味を持ったことややらなければならないことにはとことん夢中になる事が多く、その間の行動力集中力は凄まじいものでうっかりにでも近寄ることもできないほどであった。


そう、誰も彼も颯を無視していた訳でもモブ扱いしていた訳でもなく、ただ近寄りがたかっただけなのだ。


ただ颯が自分の事をモブだと信じて疑わなかったことで今まで何の問題も揉め事も起きることはなかった。

だから颯の両親は今でも颯のことをまったく手を焼かせないできた子共として信頼し放任主義でいられた。

が、やはり親としては颯のことを思わない日はなくこうして心配することもあるのだった。


しかしそんな親の心配など考えることなく、颯が異世界へ行ってどんな冒険をし、かの世界にどんな影響を及ぼすのか、女神フォルトゥナはただただ楽しみにするのだった。



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