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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
王都にて

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ユージーンから正常化を頼まれたダンジョンは王都近郊とは言ってもリザードマンダンジョンのように本当に歩いてすぐの場所にあるダンジョンばかりではなく、歩いたら移動に優に二日から五日はかかる距離にあるダンジョンが多かった。


そしてダンジョン内は相変わらず洞窟や蟻の巣風なのに出現するモンスターがキノコや樹木だったときは颯もさすがに驚いた。


キノコはなんとなくまぁシチュエーションとしてあり得るかもしれないが、さすがに洞窟内をうろつく顔のある樹木は違和感がハンパなかく逆に怖かった。


それにダンジョンマスターもキノコ風の人型モンスターに木目調の体に頭が木の葉の人型モンスターはさすがにちょっと気味が悪くて笑ってしまった。瞬殺だったけれど。


しかしウサギ系モンスターや猫系モンスターのダンジョンマスターはもしかして獣人かと少しテンションを上げたが、やはり颯が期待したような事にはならず、中途半端な黒っぽい見ようによっては獣人風といった感じで、もういったい何なんだと叫びたくなった。


そして今のところダンジョンモンスターは一度も被っていない。なのにいまだにスライムに出会えていないのが颯としては本当に残念だった。


そしてまた颯はユージーンと約束した王都近郊のダンジョンすべてを正常化させるのに一年以上掛かってしまっていた。


その理由は階層の浅いダンジョンが一つも無かったからで、浅くても第十階層はあり、最も深いところだと第三十七階層もあったので、踏破するのにそれなりに日数が掛かってしまったのだ。


これでも颯なりにかなり急いだつもりなのだが、まぁなんというか正直王都でまったりすることも多かったで仕方ないだろう。ユージーンもけして無理はするなと言っていたし許して欲しい。


それとその間二度ほど山脈にある露天商の村へとチーズとバターを仕入れに行っていた。

村の雰囲気はそのまんまハイジの世界に迷い込んだかのようで、颯はその雄大な風景に日々のストレスだけでなく魂まで癒やされ、機会があればここに長く滞在したいと考えていた。


チーズとバターの作り方をバッチリ教わったので、あとは牛か山羊を飼う準備をすれば理想のスローライフのようで悪くないと思っている。

珍しく公衆浴場は無いが颯には浴槽があるし、その気になれば颯の足なら王都まで十日と掛からない。


颯はクリームシチューにクロワッサンというこの世界の人達ではけして味わうことの無いだろう昼食を取りながら今後の目的を考えていた。


ユージーンに頼まれたダンジョンの正常化は終わった。そして王都にある公衆浴場は完全に制覇しているし、商店もほぼすべて覗いて歩いた。なので心残りがあるとしたら冷蔵技術の完成くらいのものだ。


しかしそれもかなりいい感じの所まで開発が進んでいるらしいので。完成は間近だと考えても良いだろう。


だとしたらこの王都で颯のやることは既にもう何も無い。そろそろ次の目的を決めて旅立とうと思いながらつい切っ掛けがなくてダラダラとしてしまっていた。


多分王都での生活に随分と馴れてしまったせいで変化を望まなくなったか、この世界に来てもうすぐ十年になるので腰が重くなったかだろう。


疾風の中にあった小説のような体験に興奮していた気持ちもゲーム脳もすっかりと和らいでしまったようだった。


しかしそんな平穏な生活を送る颯の元にまたもグランから便りが届く。颯が転移してきた場所。あの腐界がダンジョン化したと。


ダンジョンの中には見たこともない気持ち悪い魔物が徘徊し、剣も魔法も効かないので攻略に困っている、もし良ければ何か攻略法を見つけてくれないかという頼みだった。


颯はグランの手紙を読んで咄嗟にテンションが上がる。その気持ち悪い魔物はスライムではないかと期待したからだ。


スライムは最弱という設定が有名であるがまた一方で物理が利かないとか魔法に耐性があり倒しづらいモンスターという設定である事も多い。


それにできたてホヤホヤのダンジョンなので一切の魔物が出ない珍しいダンジョンでもある。それに颯はフォルトゥナがモンスターを導入してからできたばかりのダンジョンにはまだ一度も入ったことが無い。

なので颯の期待はどんどんと膨らんでいく。もうフォルトゥナには絶対期待しないと決めていたのに。


颯は手紙を読み終わると逸る気持ちのまま即座に旅支度を始め、グランの居た街へ戻ることを決めていた。

そして引き留めるユージーンと寂しがるマルクにいつもと変わらない反応のトルストに別れの挨拶をその日のうちに済ませ、颯は意気揚々と王都を出るのだった。



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