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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
序章

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颯の体に纏わり付いた光の粒はまるで全身に吸収されるように次々とその輝きを無くし徐々に静まっていく。

それに伴い焦り慌てていた颯も体をはたくのを止め冷静さを取り戻す。


(何だったんだよまったく。慌てさせんなよ)


「あら、以外に可愛いじゃないの」


女神(仮)の言葉に颯は何がだよと内心で舌打ちをした。


「それじゃぁ早速異世界へと行って貰おうかしら」


「いきなり何を仰るのでしょう。私は異世界には興味が無いといいませんでしたか」


「フフ、君はその姿になってもまだ地球に戻れると思っているの? きっと色んな意味で無理よ」


颯は女神(仮)の言葉に改めて自分の姿を確認する。

全身を移す姿見がないのではっきりとは確認できないが、さっきまで着ていたシャツとブレザーとパンツがだいぶだぶついている。


(なんだなんだ、まさかこれって、もしかして・・・)


明らかに自分の体が縮んでいるのを認めるしかない状況に、颯は焦りを覚え思わず自分の顔を両手で触る。

触った感じくたびれた中年臭漂う弛んだ感じのまったく無いスベスベモチモチ。それにいつもの髭の感触もまったく無い。

まさかとは思いながらも自分が若返るを通り越し少年の体に戻ったとしか思えなかった。


「俺にいったい何をした!」


颯は他人に対してはいつもモブ臭漂わせ温厚に接しているつもりだが、そんな取り繕いさえもできないほどに混乱していた。怒っていたと言っても良いだろう。


「慣れていない君の体を魔素に上手く適合できるようにしたのよ。これで君も思う存分異世界で魔法が使えるわよ」


ウフッと笑う女神(仮)を殴りつけたくなる衝動を抑え、颯はゴクリと唾を飲み込み乾いた口の中を潤し気持ちを落ち着けた。


「私は頼んでいませんが元に戻せるのですよね?」


「無理に決まってるじゃない」


「・・・・・・」


(無理って、無理って、無理って・・・)


多少若返った程度なら誤魔化しは利いただろう。しかし若返ったでは誤魔化しきれないほど幼くなってしまい、さらに元に戻れないとなると親兄弟知人友人に会うこともできない。会って気付いて貰えたとしても何と説明したら良いのか。


(っていうか仕事はどうするよ? 今現在勤めている職場に行っても相手にして貰えないだろうし、他に仕事を探すにしても年齢詐称どころじゃなく幼いとなると雇ってくれるところはないだろう)


颯は案外冷静に色々と考えていた。


「だから異世界へ行けばいいのよ。簡単でしょう。多少若返った程度に成長するまで異世界で過ごして戻ってくれば問題ないでしょう。そうね二十年異世界で過ごして頂戴」


(それに住む場所もか。子供一人で住んでるなんて知られたら騒ぎになるだろうしな・・・。こんな事なら十年は働かずに暮らせるくらいの貯金をしておけば良かったな。あっでもそうか、誰も知らない山奥で自給自足ってのは・・・。やっぱりどう考えても無理かぁ)


「何を無視してるのよ。君がそのつもりなら強制的に送るまでよ!」


「ちょっ、待って待ってそれは勘弁してください」


颯はこれ以上女神(仮)に自分の了承無く勝手なことをされたくはなくて慌てて止めた。


「大人しく異世界へ行ってくれるわね」


「何でそんなに私を異世界へ行かせたいのですか?」


「私が管理する世界はまだ幼いのよ。折角あれこれ面白くなりそうだと思っていたのに魔法も文明も全然発展しないの。ずっと停滞したままなの。変化がなさ過ぎるの。これはもう想像力と発想力の発達した君のようなオタク種を少しでも送り込んで世界をかき混ぜて貰おうと思ったのよ」


「オ、オタクって・・・」


颯はまさか自分が女神(仮)にオタク認定されるとは思わなかった。


確かにゲームもアニメも好きだし異世界転生の小説もかなり読んでいる。しかしそのどれもこれも趣味程度のことであってけしてオタク認定されるほどではないと自分では思っている。


「ぶっちゃけ私は地球のことなんてどうでもいいのよ。私にも見返りがあると思って魔素の供給の助力をしたのに今のままじゃ私の望みが叶うかも危ぶまれるのよね」


「それで強硬手段にでたと?」


「まあそんなところね」


「でも例えば二十年後に今と状況が変わってしまっている地球に戻っても私には意味が無いですよ。職場に迷惑を掛けることになるし、親兄弟にもしかしたら心配させるかも知れない。異世界に行くっていうのは今の生活全部を捨てることになるんです。分かってます?」


「それなら大丈夫よ。今この時間軸のこの場所に戻すわ。この私フォルトゥナの名にかけて絶対に」


「まぁそれなら・・・」


颯はどう足掻いても異世界行きが決定されているのなら、今現在に戻れる保証を貰えただけでも良いかと納得しかけたが慌てて頭を振る。


「いやいやいやちょっと待って。今から行く異世界ってどんな所なんです? まさかとは思いますけど、転移した場所にいきなり強い魔物が居たりして行った途端に簡単に死んでしまいましたってことはないですよね?」


それに世界がまだ幼いと言うからには司法も進んでいないだろうし盗賊や無頼漢もゴロゴロいるかも知れない。そんな世界で本当に何事もなく二十年平穏に平凡に暮らせるのか本気で心配になった。


これが王族や貴族に転生ならともかくこの幼くなった体での転移だ。若い体で神様にチート能力貰って俺TUEEEの転移とは訳が違う。まだ幼い少年の体で転移していったい何ができるというのだろう。


ここはしっかりと情報収集してちゃんとした人生設計を立ててからでなくては安心して異世界になんか行けない。


「安心して君達がよく知る剣と魔法の世界よ。魔物も居るけどきっと君なら大丈夫だから」


ニッコリと微笑む女神(仮)に安心できる要素など微塵も感じられない颯だった。



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