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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
王都にて

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「おい兄ちゃん達、ダンジョンはそんなふざけた格好で入れるほど甘い場所じゃねえぞ。俺らが荷物持ちとして連れてってやるよ」


颯が少年を引き連れダンジョン入り口へ向かって歩いていると、髭もじゃのまるでドワーフを思わせる冒険者が声を掛けてきた。他にも二人の男が一緒なので三人組パーティーなのだろう。


確かに今の颯はマントを羽織っているとは言え唯一持っていた鞄を少年に奪われたままのいつもの軽装だ。少年の方も颯の鞄を手にしているとは言え颯よりもっと軽装のボロ服だけ。そして二人とも武器らしい武器を手にしてはいない。


「お気遣いありがとうございます。でも大丈夫なんで」


颯は歩みを止めることなく冒険者に軽く手を上げてお礼を言って立ち去ろうとしたが冒険者にはそれが気に食わなかったようだ。


「折角声を掛けてやったんだ、大人しく付いてくればいいんだよ」


髭もじゃ冒険者が一反木綿グルグル巻きにされていた少年の肩に手を掛けようとしてその手を弾かれ怪訝そうな顔をした。

颯の魔力で作られた一反木綿グルグル巻き魔法は他の人の目には見えないらしいので当然そうなる。


「ヤロウなんかふざけたことしやがったな。この俺らに逆らってタダで済むと思うなよ」


比較的人がまばらとは言えこのダンジョン入り口は他にも冒険者の姿はある。そこでの騒ぎに一瞬辺りはざわつくが全員が目を逸らし一斉に見て見ない振りをするところをみると、こういう騒ぎはいつものことなのだろう。

颯はやはり面倒くさいことになったと内心で溜息を吐く。


「そんなに僕と一緒に行きたいのですか。仕方ないですね、ではご一緒しましょう」


颯はこんな所で下手に揉めるのも無駄だと考え、三人の冒険者達も新たに問答無用で一反木綿グルグル巻きで拘束し、少年と一緒に引き連れてダンジョンへと入る。


「やはり他の冒険者の多い場所では不満がありますよね。安心してください他に冒険者が誰も居ない場所まで連れて行ってあげますから」


颯は冒険者達と少年に行き先くらいは教えておこうと思い立ち声を掛ける。端から見たら一応颯達もパーティーに見えるだろうし、そうなると臨時の仲間ってことになると考えたからだ。


ダンジョンに足を踏み入れたことで颯はこのダンジョンに湧く新たなモンスターが何なのかに興味が一気に持って行かれ、少年への罰なんて考えはすっかりどうでも良くなり別のテンションが上がり始めていた。


「知ってます? ダンジョンって人類未到達の階層の魔物を一掃すると新たなモンスターが湧くんですよ。僕はそのモンスターと出会いたくてダンジョンに入っているようなものです。楽しみですよねここのダンジョンにどんなモンスターが湧くのか」


颯には珍しく饒舌だった。誰かと仲間のようにして一緒に歩くなど漁師街以来なので喋りたかったのかもしれないし、誰か他の冒険者にダンジョンの秘密を話したかったのかもしれない。


最短で下層を目指しながら颯はさらに話続ける。勿論出会う魔物はことごとく瞬殺だ。


「ここまで来たのです。折角ですからあなた達にもこのダンジョンに湧く新たなモンスターの目撃者になって貰いますね。モンスターは見慣れた魔物と比べるとちょっと異形に思うかもしれませんが、大丈夫ですよ魔物とそうたいして強さは変わりませんから」


既に少年も冒険者達も顔を真っ青にして震えていることなど颯はお構いなしに第二階層三階層と急いで先に進む。

そして第六階層へ降りる階段付近で足止めをされた。


「ここから先はおまえ達では無理だ。今すぐ戻れ!」


お揃いの装備で身を包んでいる者達を見て、颯はこれがもしかしたらユージーンの言っていた部下達かと察する。そう言えば入り口付近をウロウロしていると言っていた。


きっと交代で下に降りて攻略しているのか、それとも下に降りる者と見張りとで役割分担しているのか分からないが、人数が多いからと妙に偉そうな態度なのが颯の気に障る。ダンジョンは誰の物でも無いし、中での行動は冒険者の自由なはずなのに。


「もしかしてユージーンさんのお知り合いですか? 僕なら大丈夫です。ユージーンさんに頼まれて来たので通してください」


「何ふざけたことを…」


ユージーンの名前を出しても引く様子がないのを確認し、颯はここで言い合うのも時間の無駄だと考えて威圧を放つ。ここまで来て争うのも足止めされるのもいがみ合うのも実に面倒だ。


目論み通りユージーンの部下達は一斉に尻餅をつきガタガタと震えだしたので、颯はその間を縫って下層へと続く階段を降りていく。


するとファイヤーボールやスプラッシュといった下級魔法で懸命に魔物と戦う人影が多数あった。全部で六人ほどだろうか。


肩を並べ一カ所に固まり魔法を放つのに夢中になっていて、颯が降りてきたのにも気付かない。これではこの階段をバックにしていないと魔物に不意打ちを受けることになるだろうし、囲まれたら一気に不利になる。しかしここなら逃げるのには便利そうだ。


颯は魔法を放つのに夢中になっている者達の隣に並び、スーパーノヴァで前面にいた魔物を一瞬で一掃させる。


「お疲れ様です。すみませんがここを通していただきますね」


何が起こったのか理解できずに呆然とするユージーンの部下達に挨拶をして颯はさらに下層を目指す。

何しろこの階層には新たなモンスターが湧かないのは確定だ。こんな所でグズグズしている時間はまったくの無駄だ。


「少し急ぎますね。あなた達も踏ん張ってください」


颯は逸る気持ちを抑えられず、一反木綿グルグル巻きで拘束し強制ジョギングさせていたツレ達を無理矢理に全力疾走させるのだった。



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