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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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「ゴブリンしか出ないのかよ!」


第四階層を超え第五階層第六階層と順調に魔物を一掃させ、次なるファンタジーなモンスターの出現を期待したが、ゴブリン以外のモンスターが出現することはなかった。


確かにただの最弱ゴブリンだけではなく、ホブゴブリンやゴブリンウォーリアにゴブリンウィザードといった武器を持つゴブリンや魔法を使うゴブリンなども出現し種類は豊富だ。

しかしそれでもゴブリンしか出現しないのは飽きる。ゴブリン王国にでも迷い込んだ気分である。


それにどいつもこいつも弱すぎて戦い飽きた。颯が本当に望んでいたのはコレじゃないという思いが強くなる。


そしてゴブリンしか出ないと分かっていても、新たな階層の魔物を一掃させると悲しいかな出現するモンスターを確認せずにはいられない。もしかしたらという期待を捨てきれない自分が恨めしい。


期待しては裏切られを繰り返し第八階層を一掃させ颯がモンスターの出現を待っていると、そのすぐ目の前で魔素が渦を巻きいつもより大きな影を作る。


今までとは違う大きさと雰囲気に颯の期待も膨らんでいく。そして集まった魔素が段々とその姿を形作り全貌を露わにする。


「やっぱりゴブリンかよ!!」


颯はガッカリする気持ちのまま八つ当たりのように速攻で解体魔法を放ち即座に消滅させた。


ゴブリンが多少サイズが大きくなり強そうに見えてもやっぱりゴブリンはゴブリンだ。キングだろうがジェネラルだろうがちょっと名前が偉そうになっただけのゴブリンを颯は瞬殺させる。


「キングとかジェネラルって普通一匹じゃねえの? こんなに出るとなんだか威厳も何も無いな。フォルトゥナは何か勘違いしてるんじゃないのか?」


普通はゴブリンキングやゴブリンジェネラルと言えばボスだ。

確かに色々と引き連れて徒党を組んでは居るが、そこら中で見かけると一国の主ではなくただのグループリーダーにしか思えない。


フォルトゥナはキングやジェネラルという言葉の意味をちゃんと理解しているのかと疑いたくなる。というか、そもそもフォルトゥナに期待した自分がバカだったのだと深く反省するしかない。


颯はそこから先は期待半分以下でサクサクと攻略を進めていく。そして第十階層にボスフロアを見つける。


「ゴブリンキングやジェネラルがあれだけウヨウヨ湧いたんだ。まさかボスもゴブリンジェネラルってことは無いよな?」


颯は殆どやけくそ状態でボスフロアの中を覗いた。


「おっ、見たことないヤツだ!」


ボスフロアの中央に佇んでいたのは颯の知識には無い妙な雰囲気のモンスターだった。

一番近いので例えるとSF映画で見た宇宙人のような。もしくはゴブリンを進化させ超絶イケメンにしましたみたいな人型だけど人間には思えない姿。


颯は興味津々にボスフロアに足を踏み入れる。


「よくここまで来た。我が相手になろう」


「喋った!!」


初の人語を喋るモンスターに颯のテンションは一気に上がる。それもなぜかとても偉そうなのがまた良い。


「フン、我を愚弄するか」


問答無用で戦闘を始めようとするモンスター(?)に颯は慌てて待ったを掛ける。


「ちょっと待ってよ。君もゴブリンなのか?」


颯にとってはとても重要な事だったので聞かずにはいられなかった。


「我はこのダンジョンマスターだ」


「ダンジョンマスター!」


今までに無いダンジョンマスターの登場に、颯はフォルトゥナが一気に色々な知識を仕入れさっそく導入したのだとちょっとだけ感動した。


「このゴブリンダンジョンのマスターである」


ダンジョンマスターは大事なことなので二回言ったようだ。


「ゴブリンダンジョン! っていうかダンジョンに名前があったのか」


「我の誕生と共に付けられた」


「ちょっと聞きたいんだけど元々ここに居たボスはどうなったの?」


階層に居る魔物を一掃させないと新たなモンスターが出現しないと言っていた。新たには作り替えられないと。だとしたら元々ここに居たボスがコイツだったとしたら実に妙な話になってくる。


フォルトゥナはコレまでファンタジーなモンスターの導入をしてなかったのに名前だけ取り入れていたというのだろうか?


「当然我が倒した」


「倒したってどうしてよ! いったいどんな魔物だったの? ドロップ品はなんだった!!」


フフンと自慢気にしているように見えるダンジョンマスターに颯は飛びかからん勢いで質問をする。もう二度とお目にかかれない魔物だったら絶対に許せないという思いを抱きながら。


「ゴーレムだ。ドロップ品が欲しいなら我を倒せば良かろう。それくらいくれてやるわ」


「ゴーレムかぁ。ならまぁいいか。それより大事なことなので確認しておきたいんだけどいいか?」


「なんだ」


「他のダンジョンもまさかゴブリンってことは無いよな?」


「他のダンジョンのことは我は知らぬ」


「知らないのかぁ。じゃもういいや」


颯はもうこのダンジョンマスターに用はないとばかりに即座にレインボーアローを発動させる。初めて発動させた時はかなり太く矢というよりは七色が纏まった極太の槍だった。


しかし今は練達したのか細く鋭い矢のように洗練され威力もそうとうなものになっている。


シュン!!


早さも威力も銃弾より速いようにも感じる。そして当然回避されることも弾かれることも無く軽々とその体を貫いたまま爆発を起こし、ダンジョンマスターは声を発する間もなく消滅していった。


「さてさてドロップ品はなんだ」


颯がドロップ品選択のウインドウを開き確認すると、現金が無くなっていて、魔石とエクストラポーションとゴブリンの鎧とゴブリンの剣とあった。


「なんだよコレ! 魔石とエクストラポーションはともかくゴブリンの鎧だの剣だのはいらねぇよ。誰が欲しがるんだよ!!」


颯はイメージとして名前にゴブリンと付いているだけで絶対に優良装備には思えなかった。それに装備したいとも思えない。なんだか臭そうだ。


「まぁ手に入れるけどさ」


約束通りゴーレムのドロップ品らしい魔石をいただき、ダンジョンマスターからも魔石を貰った。


そしてあと三戦しなくてはならないが颯は取り敢えず転移魔方陣を使いダンジョンの外に出る。新たにエレベーターのような転移魔方陣ができたことで、ダンジョン内に泊まり込む必要が無くなったとこの時の颯は思っていたからだ。


しかし次の日颯はフォルトゥナに怒りを覚える事になる。エレベーターだと思っていた転移魔方陣はまさかの一方通行。そう、帰りしか発動しなかったのだ。


「これじゃぁエレベーターじゃなくてエスカレーターじゃんか。またボスフロアまで行かなくちゃダメなのかよ。喜ばせておいてこれかよ。あの女神もう絶対信用しねえ!!」


「……」


颯の怒りの雄叫びにナビはまったく反応を見せないのだった。



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