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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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颯は放逐した盗賊冒険者のために上層へ向かう道順に居る魔物の間引きをしていく。万が一戦闘で命を落とすことがあっては後悔することになるからだ。


とは言ってもそれは颯が無理やり連れてきたこの第六階層だけの話で、上の第五階層からは普通に他の冒険者の気配があるからそこまで気遣うつもりはない。


この階層にたどり着き疲れ果てていて戦えなかったとしても、他の冒険者に助けて貰えなかったとしても颯はそこまでは責任は持ちきれないと思っていた。


《ナビ、一応アイツらの様子はチェックしておいてくれ。命を落としそうなら助けに行く》


《お任せください》


そうして颯が盗賊冒険者捜しに戻るとすぐに他の冒険者を襲っている盗賊冒険者を見つけた。

さっきのヤツらより少しばかり強そうな気配がある。颯は自分で戦えるのならなぜ他人の魔石を奪うのかと不思議に思うしかなかった。


「お兄さん達何をしているのですか?」


他人の揉め事に首を突っ込む真似など今まで一度もしたことがなかった颯だったが、これは犯罪が行われている現場だとかなり前のめりになって声を掛けていた。自分でも不思議だが自然と声が出せていた。


「た、助けてください」


襲われていた冒険者が希望を持って颯を見るが、颯がソロだと知ると途端に絶望の表情を浮かべる。


「丁度いい。こんな所をウロウロできるならそれなりに戦えるんだろう? 手に入れた魔石を置いていきな。そうすれば命だけは助けてやる」


颯はダンジョン上層をウロウロしていたことを今少しだけ後悔していた。そうこの盗賊冒険者が言うように少しは戦えると判断された方が襲われやすかったのだ。

やはり慣れないことはしないに限る。勝手が違うというか颯の考えが全然足りない。


「お兄さん達も他の人が手に入れた魔石を奪うなんてせずに自分達で魔石を手に入れましょうよ」


「うるせえ。俺らもできるならそうするわ。だがなここより下の階層には足を踏み入れられねえんだから仕方ねえだろう。湧いてくる魔物の奪い合いじゃたいした稼ぎにもなんねえんだよ。冒険者の数を減らすか冒険者から奪うかしかねえだろうが」


颯の宥めるような言い方が良かったのか悪かったのか、盗賊冒険者は愚痴を吐くように自分の胸に溜まっていた思いを吐き出したようだった。


颯はここでなるほどと合点がいく。冒険者が足を踏み入れない階層はモンスターハウスのように魔物の数が多くなるのは確かだ。そして彼らはそんな階層に入りたくても入れずにいるという悪循環だ。

そして彼らはダンジョン内の場所取りではなく他の冒険者の魔石を奪うという手段を選んだのだろうと。


「ってことは、下の階層へ行けるようになれば問題は解決するってことですか」


「そうだな、せめてこの階層くらいには魔物の数が落ち着いてくれるなら俺らも人から奪うんじゃなくて下に潜るよ」


「分かりましたお任せください。ではあなた方も一緒に行きましょう」


颯は盗賊冒険者達を一反木綿グルグル巻きで拘束すると問答無用で下の階へと案内した。勿論先程送り届けた盗賊冒険者達と同じ場所へ。


「命が惜しければしばらくは協力して戦ってください。僕はここから先の階層を正常に戻してきます」


颯はそう言うと下の階層に向かう方向にスーパーノヴァを放ち魔物を一掃させる。モンスターハウス化した階層はその階層の魔物を全滅させれば正常化すると颯は既に経験済みだった。

何度か繰り返したら下手したら上階層より魔物の数が少なくなる事も。


だからダンジョンを正常化させれば冒険者同士争うことも奪い合うことも無くなるというなら話は簡単だ。いつものように颯がダンジョン攻略すれば問題は何も無くなる。


そうして颯は盗賊冒険者達が上の階層へと向かうのを見届け、まずはこの階層の魔物の全滅を目指すのだった。



「なんかの見間違いじゃねえよな。あんなに居た魔物が一瞬で消えたぞ」


「ああ、驚いたな。あれは魔法か?」


「魔法じゃなきゃなんだって言うんだよ」


盗賊冒険者達は今目の前で起こった事がいまだに信じられずにいた。

魔法の存在は知っていたが実際に目にする魔法などたいした事はなく、魔物を倒せるほどの威力があるとは到底思えないものばかりだ。


それが今見た光景は一瞬で数え切れないほどの魔物を消し去ったのだ。眩しい光に目を瞑っている間の出来事だった。

それをまだ年若いだろう青年が行なったのだというのは信じられないが疑いようがなかった。


「正常に戻してきますって言ってたな」


「まぁどう見てもこの階層は正常じゃねぇけど戻せるもんなのか?」


「その前にヤツは一人だったぞ…」


「そんな訳ねえだろう。姿を見せねかっただけだ」


「何でそう思うよ」


「俺らを拘束した妙な力は魔法じゃねぇだろう。きっと何か不思議な力を使えるヤツが一緒だったんだ」


「そんな話こそ信じられねぇ」


「なんにしたって常識じゃ考えられねえ。正常ってなんだよな」


盗賊冒険者達は正常の意味も常識も良く分からなくなっていた。しかしこれが自分達の転換期である事は肌で感じ取ってはいた。


「俺らもたまには頑張ってみるか。おまえらもしっかりと手を貸せよ」


「ドロップ品は当然ちゃんと当分してくれるんだろうな」


「あぁ奪ったりしねえよ。ヤツが言うとおり。せいぜい協力して稼がせて貰おうぜ」


「そうだな。そうしよう」


盗賊冒険者達は協力して戦うと決め、魔物の居なくなった方角ではなく上層に向かい魔物を探し始めるのだった。



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