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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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「今回は未発見素材を探しながらなるべく王都までの最短ルートを選定してくれ。くれぐれも言っておくが盗賊退治とかは無しだからな」


颯はギャビンやドットそれに子供達にかなり引き留められ少し心が揺らいだが、正直颯が居なくなっても醤油とみりん作りそして稲作も何も問題ないと判断していたので決意は変わらなかった。

それよりも冷蔵冷凍技術が開発されることの重大さを解き納得させた。


そして醤油にみりんと米が流通すれば颯も助かると言うと、世界中に広めてみせると張り切ってくれたのが嬉しかった。是非実現させて欲しい。


ギャビンとドットにだけは異空間収納の秘密を打ち明けてある。

それでもその事を大げさに捉えず便利で羨ましい程度にしか思われなかったので颯は二人を心から信頼した。

だから冷凍冷蔵技術が本当に開発されたら是非進呈したいと考えている。


旅立つにあたりドットから浴槽とベッドを布団付きで餞別に貰った。ベッドは小さめだが布団はお貴族様仕様のかなり高級な物なのでこれには本当に喜んだ。


しかし考えようによってはもう帰って来ないと思われているのか、それとも帰ってくるなという事なのかと正直かなり悩んだ。


ギャビンは陸を行くより船の方が移動が早いという理由で船をくれると言ったが、さすがに船の操縦はできないし船員はどうするって話だ。


手漕ぎボートの大きい版の漁船だから魔法で簡単に操縦できるとでも思ったのだろうか。颯は使い込まれた漁船を貰っても使い道が無いとはっきりきっぱりと断った。


そうして颯は手紙が届いた次の日にはもう街を出発していた。別れの準備はどうも苦手だ。

それに決めた事はすぐに実行したい派だ。予定を立てて準備を楽しむなんて事はあまりしない。


そして今朝も晴天。誰に見送られることなく颯は出発を果たす。断じて夜逃げではない。挨拶は昨日のうちに済ませているからそれで十分だろう。


「ダンジョンへは寄らなくて良いのですか」


「途中にダンジョンがあるのか?」


「いくつかありますね」


颯は悩んだ。正直一刻も早くユージーンを訪ねたいという思いはあるが、冒険を再開させるとなるとダンジョンは外せないという思いが強くなる。

またあとで訪れればいいと今を見逃したらきっともう訪れることはない気がした。


「寄っていくか…」


異空間収納にあった魔石は漁師町に滞在中に折を見て小出しに処分してきたのでそれなりに減っている。

それに王都に行けば全部処分できるのだと思うと遠慮する必要も無く、ダンジョンでおもいっきりまた派手な魔法をぶっ放せると思うと気分も上がっていく。


「うん、ダンジョンに寄る! 今さら少しくらい遅れても変わらないだろう」


既にユージーンには王都へ向かうと返事は書いてある。いつとはっきりと明記していないので少し遅れてもきっと大丈夫だと颯は判断した。


「了承しました。ではルートを表示させます」


「じゃぁ張り切って行くか!」


颯とナビは王都へ向かって(?)久しぶりに冒険の旅を再開させるのだった。



「ドット様、ハヤテ君の姿が見えません」


専属の使用人を颯は断ったがドットは颯に不自由がないようにと特に優秀な使用人を専属にして、颯の目に留まらないよう気付かれないようサポートさせていた。


そのお陰もあってのベッドに風呂だったのを颯は知らないがナビは気付いていた。だから誰も居ないと安心してナビと会話をする颯をナビは敢えて止めはせずに自分の声を抑えた。


専属使用人の方はといえば颯の『独り言』を自分に聞かせているのだと解釈していたので、色々と勘違いしては颯と一方的に絆を深めていた。


例えば絶対に颯に悟られるなというドットからの指示を颯が悟り自分を庇って敢えて気付かないフリをしてくれているとか、ナビという架空の名前を使って自分を気遣ってくれているとかそれはもう色々だった。


そして今朝いつものように颯に朝の挨拶をしに小屋を覗きに行って、そこに颯の姿がない事に専属使用人は慌てた。ベッドも浴槽もなくなっているのだから嫌でも出て行ったのだと気付く。


「なんだって!?」


ドットは既に颯が王都に向けて旅だったことを察し愕然とした。王都に行くと話を聞いたのは昨日のことだ。


当然密かに別れのパーティーは盛大にと予定を立てていたし、最後に聞いておきたいリストを考えていて夕べはろくに眠れてもいない。


普段はあまりしつこくしては嫌われると遠慮していたので、まだまだ聞きたいことが山ほどあった。他の街の様子や冒険の中での体験談にダンジョンのことなどを主に。


ドットは元々体が丈夫な方ではないので冒険者には憧れがあった。しかし貴族の三男ということもあり比較的自由にさせて貰えてはいたが、さすがに冒険者への道は家族から許されなかった。


だから尚更にドットは颯に憧れていた。平民だというのに物怖じしない雰囲気。どこで学んだか知らない幅広い知識と経験。自分より若い彼がどれほどの努力と苦労をすればそうなれるのか想像もできなかった。


ドットはもっともっと颯と話していたかった。できることなら王都まで同行し一緒に冒険したいくらいに。


「ハヤテ君のことです。きっと私が一緒に行きたいと言い出すのが分かっていたのでしょうね…」


ドットは深い溜息を吐くと颯は今頃は何をしているのかと思いを馳せるのだった。



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