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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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海に潜ることでアワビにサザエだけでなく伊勢エビとカニとタコもゲットしていた。巣穴というかねぐらを発見できたのだ。これで銛があれば魚もゲットできたのにと颯は残念で仕方なかった。

さすがに泳いでいる魚のゲットは颯でも無理がある。


そしてそんな残念な気持ちを抱えながら漁を続けているとナビから突然提案があった。


《私の方で颯様の異空間収納の中へ移動させますか?》


《……できるの?》


《いつもしているではありませんか。お忘れですか》


言われてみれば魔物のドロップ品をナビがいつも自動回収し颯の異空間収納の中入れてくれていた。

ちょっと考えればできて当然なのだが、颯はそんなことを思いつきもしなかった。


《できるなら何で始めからしてくれなかったんだよ》


《漁を楽しんでいるのだと思ってました》


確かに漁も素材採取に似ていてかなり楽しんで夢中になってはいたけれど、今まで無理だと諦めて見逃してきた魚達が実は簡単に手に入ったのだと思うと少し悔しさを感じる。


《分かった。じゃあこれからは俺の頼んだ物の収納を頼めるか》


《お任せください》


こうして颯の水中での漁はかなり楽になり、あの漁師のおやじとの交渉の必要もないくらいに色々な海鮮をゲットできたのだった。


《さすがにマグロはこの辺にはいないか…》


沖と言っても何キロも何十キロもの沖合ではないので大型の回遊魚を見かけることはなかった。しかし無理だと思うと余計に手に入れたくなる。やはり海鮮丼にマグロは必須だ。


欲を言えばイクラやホタテに甘エビも欲しいがこの海には居そうもないので諦めるしかない。


《マグロも諦めるかぁ…。まあいずれ絶対に手に入れてやるけどな》


颯は今回の漁の成果だけで満足することにした。

魚もアジ、カサゴ、スズキ、カレイ、カマス、ヒラメにイカを手に入れている。これだけの種類が揃っていれば十分に充実した海鮮丼になるはずだ。それに乗せようと思えば伊勢エビもあるしウニもある。


あとはアワビとサザエを足して浜焼きも楽しめるし、後でハマグリとアサリも手に入れる予定なので成果としては十分過ぎるだろう。


《そろそろ上がるか》


颯は時間も忘れ夢中になっていたがだいぶ暗くなってきている。泳ぎには自信はあるがやはり夜の真っ暗な海を泳ぐのはなんとなく怖い。安全第一だ。


海から上がると颯は自分が思っていた以上に疲れていることに気が付いた。体中に重りを付けたように怠い。既に料理をする気力もないほどだ。


仕方なくウォーターで体を洗いクリーンで仕上げると異空間収納から出来合の料理を取りだしがっついて食べ、そのままその場で野宿を決行した。


そして翌朝早くに目が覚めると颯は念願の海鮮丼を作り始める。颯は魚を捌くのも何気に得意としていたので、昨日捕った魚を次々と手早く刺身にしていく。


伊勢エビは生きていると捌くのにコツがいるが異空間収納に入ったことで息を引き取っているので問題なし。タコは茹でている時間がないので皮を剥いで薄造りにしていく。


捌いた全種類をご飯に乗せると思った以上に豪華な仕上がりになった。海鮮丼のタレを作っていないので今回はわさび醤油を掛けて仕上げる。


「どうよ俺特製海鮮丼のできあがりだ!」


「これが海鮮丼ですか」


「まぁ食ってみろって。旨いぞ」


「はいいただきます」


颯はナビと心ゆくまで念願の海鮮丼を楽しみ、存分に満足したところでハマグリとアサリを探して砂浜を歩き、漁師のおやじとの約束まで時間を潰すことにした。


ナビに頼んで自動回収も考えたがやり過ぎは良くない。颯とナビが偶に楽しめる程度で十分だろう。それに潮干狩りは自分で探して捕るから楽しいのだ。


颯は踵を重心にしてグリグリとその場で足を回し砂を掻き貝を探していく。と、即座にゴロゴロと足の裏に貝が当たる感触がある。


「おっ、なんだこれ」


まるで砂利が大量にまかれた庭を裸足で歩いているような感触だ。

感触のあった場所に手を入れ拾っていくと少し小ぶりなハマグリが密集していて面白いほど捕れる。もしかしたらハマグリも大繁殖しているのかも知れない。


そう思うと颯は小ぶりな物より大ぶりなハマグリが欲しくなり、腰の辺りまで海水に浸かり同じ方法で探してみる。


ザリザリザリザリザリ


少し深くまで掻いたところに思った通り大ぶりなハマグリも大量にいた。なので颯は思いの外ハマグリ掻きに夢中になってしまう。


「大漁大漁! 面白いほど捕れたな」


「百キロを超えた量を収納しました」


「そんなに捕ったか?」


かなり大ぶりな特大ハマグリがゴロゴロとあったので思った以上の収穫だったようだ。あの大きさなら浜焼きにしてもアワビにも負けないだろう。楽しみだ。


「あっ、そうだ。なあナビ、貝の中の砂だけ取り出すってできるか?」


「お任せください」


なんとナビは貝の砂抜きまでできるそうだ。何事も言ってみるものだ。

もしナビに無理だったなら大漁に捕ったハマグリの砂抜きに時間が掛かっただろう。


「いつもありがとうな。本当に助かってる」


「颯様をお助けするのが私の役目ですから」


颯のお礼の言葉になぜか言葉は堅いがナビは照れているらしいと颯はなんとなく感じるのだった。



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