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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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《おぉぉ、やっぱりウニだった》


次の日颯は早朝から入り江に入り海の厄介者退治を始めていた。

泳ぎは比較的得意な颯が入り江の浅瀬に潜ってみるとすぐにその光景が目に入る。

ムラサキウニが大繁殖していたが確認してみるとアカウニとバフンウニも岩陰に引っ付いていて颯のテンションは爆上がりだ。


颯個人の感想としてはバフンウニが一番旨いと思っていたのでその存在を確認できただけでも本当に嬉しかった。


《このウニを異空間収納に入れられないかな。そうすれば作業も少しは楽なんだけど》


泳ぎは得意だがそう長くは海に潜っていられない颯はナビに確認してみる。


《可能ですが死んでしまいますよ》


ナビは海中でも息ができるのかそれとも必要無いのかまったく平気そうだった。


《傷む訳じゃないんだろう。食べられるなら別に構わないよ》


問題は鮮度が維持されるかどうかなので別にウニが死んでしまっても颯は問題なしと判断する。


そして息が続く限り潜ってはウニを捕り異空間収納に収納していく。結構強く岩に引っ付いているので岩から剥がすナイフのような道具を自作し、念のために颯の両手はナビに結界を掛けて貰ってある。手袋がないのでウニのトゲを刺さないための工夫だ。


そして休憩で浜に上がった時にふと思う事があり颯は作業を中断する。


《あのおやじにどのくらい捕ったか見せなくちゃならないよな》


《証明は必要ですね》


《それじゃダメじゃん》


颯は実際に食べるときまで異空間収納の中に入れておくつもりでいたが、見せなくちゃならないとなると浜に放置しておく必要がある。そうなると当然鮮度が落ち食べられなくなってしまうだろう。


《剥いて中身だけ収納しとくか》


《それが良いと思われます》


颯は自作したウニを剥がす道具でウニを割ると海水で洗ってから中身を取り出し異空間収納へと収納していき、その殻だけを捕った証拠として一カ所にまとめて置いていく。


既にかなりの数のウニを捕っていたので中身を取り出す作業もなかなか時間が掛かるが颯は食べたい一心で夢中になっていた。


「痛っ、何すんだよ!」


声を掛けられていたのに気付かなかった颯はナビにおもいっきり頭を叩かれ作業を中断させられる。


「何してるんだ?」


頭を抑える颯は昨日の漁師のおやじに何やら可哀想な者でも見るような目を向けられていた。


「折角なんで身を取り出してたんです」


「そんな物取り出してどうするんだ?」


「これが旨いんですよ。食べてみます?」


「そんな物が本当に食べられるのか?」


颯は言葉より実物とばかりに目の前でウニを割り身を取り出して見せ、それを漁師のおやじの掌の上に乗せる。


「まあ欺されたと思って食べてみてください」


「欺されるのは勘弁なんだがな…」


面倒なので颯は自分の分も剥いて先に口にしてみせる。うん、旨い。海水で洗っているからか醤油を掛けなくてもほどよい塩気でウニの旨味がダイレクトに口に広がる。


漁師のおやじは颯のそんな様子を見ていて意を決したようにウニを口にした。


「……旨いな」


「でしょう」


「悪いもっと食わせてくれ」


「はいはい」


言葉での表現は薄いが漁師のおやじが感動をしているのはその表情で分かり、颯はなぜか嬉しくなってしまい求められるままに剥いてやる。


「あの海の厄介者がこんなに旨いとは知らなかった。これはいい。新しい漁の始まりになるかも知れんぞ」


「海女漁ですね。もう少し深いところに行けばアワビやサザエもあるかも知れませんよ」


「アワビにサザエってのはまた聞かない名前だな」


「貝ですよ。それも美味しいんです」


「そうなのか? それはまた良いことを聞いた。できれば現物が欲しいな。用意できるか?」


「探してみます」


「頼んだ。他のヤツらにも食べさせて驚かせてやろう」


漁師のおやじは何やら悪巧みでもしているようなニヤついた表情で颯にさらに要望を出す。

まぁ情報を与えたのは颯でもあるし、颯自身も手に入れたいと考えていたので不満はないがその前に確認しておきたいことがあった。


「約束は忘れてないですよね? 僕に間違いなく優先で魚を選ばせてくださいよ」


「分かってるって、なんなら俺の船で捕った魚全部くれてやるから安心しろ」


「絶対ですよ。その言葉忘れないでくださいね」


次の日にまたここで落ち合う約束をして漁師のおやじと別れ颯は漁を再開させる。明日漁師達に食べさせる分を確保してあればウニをどれだけ捕ったかの確認はもう必要無いらしい。


しかしどうせなら捕ったウニはこの場で剥いてしまう方が美味しいまま保存できるだろうと判断していたので、ウニ漁は取り敢えずそこそこに考えていた。


《アワビとサザエか。息が続くと良いな》


《私にお任せください》


颯が息継ぎの心配をしているとナビが突然そんなことを言い出した。


《何か考えがあるのか?》


《結界を応用します》


《結界の応用?》


《まあ見ていてください》


颯はどのように結界を応用するのかと考えながらナビの言うとおり実際に試してみることにして少し沖まで泳いで行きさっそく潜ってみる。

するとまるで潜水服を着たような格好で結界が張られた。それも頭の部分だけやたらと大きい。


《この結界内の空気が持つ間は潜れるってことか》


颯はどっちにしてもあまり長くは潜れないのだと少しだけガッカリした。しかしそれでも素潜りよりは断然長く潜れるのは確かなのでナビには感謝しかない。


《ナビありがとう。凄く助かる》


《颯様は少し勘違いしてます。結界内の空気は私が絶えず入れ換えますので息継ぎの心配は無用です》


《…そんなことまでできるの?》


颯はここしばらくナビの機能の進化で驚くことはなかったが、久しぶりの驚きになんとも言えない気分だった。

そして同時になぜ始めからそうしてくれなかったのかと思うのだった。



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