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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
旅立ち

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颯はいまだにダンジョン攻略はステルスモードだ。そしてなるべく他の冒険者には近づかないと決めていた。


しかしこのダンジョンはやたらと人が多い。というかここでは五人から六人のパーティーが一般的らしく、多いと八人以上で徒党を組むパーティーもいる。


颯から見るといちいち動きづらそうだし攻撃に支障がでるとしか思えなかった。

それに余程統率が取れたパーティーでもなければただ人数が多いだけの集まりでしかないし、色々と揉め事も多そうだと颯は人事ながら溜息を吐いた。


(なんだか人間関係も面倒くさそうだな)


颯にはまったく関係ないことではあるが想像しただけで憂鬱になりそうな気分を引き締める。


《今日もよろしくな。ナビ》


《お任せください》


そして颯はいつも通りナビを頼りにしての殆どソロ行動だ。すべて自分の思った通り自由に探索できる。集中して取り組みたいことで他人を気遣ったり気遣われたるするのは颯は苦手にしていた。


しかしナビは絶対に邪魔してこないし、つい時間を忘れ夢中になってうっかり放置していても拗ねたり責めたりしない。そういう点が本当に気楽で親しめるしとても信頼できる。


本当にナビには色んな意味で助かっているし助けられている。今では颯にとってナビは必要不可欠な大事な相棒だ。


《この階層は目新しい魔物も見当たらないし最速で進むよ》


《了承しました》


魔物を袋叩きにしている冒険者を避けながら、颯は未発見の魔物と素材を探しサクサクと最短距離を意識してダンジョン内を移動する。


そして二層三層と進むにつれ颯はある事に気付く。どうもダンジョン内にも縄張りがあるらしいと。

パーティーの人数が多かったのは派閥争いのようなものなのか、狩りのしやすい場所を確保するためだったようだ。


「ここは俺らの狩り場だ。お前らは別の場所へ行け」


「誰が決めたんだ。俺らは七人いるぞ。逆らえると思うのか」


「ふん、数がどうした。俺らは実力でここをずっと狩り場にしてるんだ」


七人対五人の言い争い。数で勝負しようとする新グループと実力を主張する元からここに居るグループは今にも実力行使とばかりに睨みあう。


(ウザっ)


颯はそんな場所取り争いに呆れ、急いでいた足をつい止めてしまった。

他人の言い争いに興味を持ったからではない。急激に現れつつある強い魔物の気配を感じたからだ。


ここには十二人もの冒険者が居るのに誰一人としてその気配に気付かないことに颯は呆れたのだ。

人間同士で争っていて魔物に不意を突かれるとか絶対にダメだろう。


ここがダンジョン内で危険な場所だというのを忘れている冒険者達などまったくどうでも良かったが、もし新たに湧いた魔物が未発見の魔物ならいち早く気付いた颯の権利としていただいてしまおうと考えていた。


この世界のダンジョンも下層ほど強い魔物が出るお決まりのルールは一応あるが、リポップの魔物はランダム湧きの要素が強いらしくたとえ上層だろうと油断できない。確立が低いとは言え突然強い魔物が湧くこともあるからだ。


颯が身構えて様子を窺っていると、思った通りこの場には現れるはずのない強い威圧を放つ魔物が現れた。


鋭く大きな角と太く力強い尾を持った一見すると牛に似た雰囲気の魔物だった。


《おっ、ベヒーモスは初めてだ!》


颯の期待通りまだ未発見の魔物だった。

この世界に来て数々のダンジョンに潜ったが、ファンタジー要素の強い魔物にはまだあまりであったことが無く、ダンジョンボス以外は殆どが獣と似た雰囲気のものばかりだったので颯は一気にテンションが上がる。


グアァォォォーーー!!


近距離でのベヒーモスの突然の咆哮に十二人も居る冒険者達が一斉に驚き尻餅をつき恐れ戦いていた。


颯はそんな冒険者など一切無視していつもの解体魔法をサクサクと放つ。

解体魔法もかなり熟練度が上がったのか、以前のダンジョンボスゴーレムの時のように苦労することは少なくなった。


このベヒーモスもちょっと大きいサイズではあるが、それでもいつもよりは時間が掛かると言った程度のことだった。


《いっちょ上がりってか》


《お見事です》


颯は問題なく倒せたことに満足しきり。そして急いでドロップ品の選択をする。


《おっ、ベヒーモスは肉が食えるらしい》


ドロップ品の中に肉があるのを見つけ迷うこと無く肉を選択する。魔素でできた魔物の肉とはいったいどんな物なのか少し怖い気もしたが興味の方が強かった。

フォルトゥナのことだから日本の小説情報を仕入れたのだろう。だとしたら美味しい肉に仕上げてくれていると信じたい。


そうしてドロップ品は冒険者達の目に留まる前にナビが回収し颯の異空間収納に移動させてくれたので颯は何事もなかったかのようにさっさとその場を移動する。


冒険者達は突然現れそして突然姿を消したベヒーモスに驚き言葉もなく固まったままだったが、我に返ると状況を整理し始める。


「いったいなんだったんだ今の…」


「見たこともない魔物が今ここに居たよな」


「居たな…」


「何処へ行ったんだ?」


「消えたな…」


「やべぇ、まさか幽霊か…」


「魔物の幽霊なんて聞いたことねぇよ」


「じゃぁ今のはいったい何だったんだよ!」


「まさかとは思うけど女神様の啓示か? ダンジョン内で争うなっていう」


「そんなバカな…」


「いや考えられる。次は本当に襲わせるという警告かも知れんぞ」


「まさか…」


「あんな魔物今度現れたらどうやって倒すんだよ」


「ハ、ハハハ……」


「なぁ争うのは止めようや。それよりダンジョン内は危険も多い。助け合うのが大事だよな」


「そうだな。そうしよう」


これがきっかけでこの後このダンジョン内で場所取りがされることも冒険者同士が争うことも無くなったのを颯が知ることはなかった。



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