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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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盗賊達は諦めたのかナビの結界を外しても騒ぐことがなかったので、颯は思った以上に小屋で安眠できた。


もっとも盗賊達は姿の見えない何かに襲われ穴に埋められたことを怪奇現象だと捉えているようで何かを恐れているようでもあった。

色々と悪事を働くと後ろ暗いことも多いのか自分達は呪われたとでも考えたのだろう。


そして颯は朝起きて隣町へ行くのは諦めることにした。

一刻も早く盗賊達のことをギルド長に報告したいのもあったが、マリンに森で手に入れたお土産を渡すのを今回は諦めると案外簡単に決断できたからだ。


やはり適当に自分から誤魔化すのはどう考えても無理だ。マリンのあの瞳で追求されたら颯の秘密まで打ち明けてしまう自信がある。


しかしそれだけはまだダメだとギルド長に堅く言われている。どうもマリンが颯のことを子共だと信じて接している気持ちを壊したくはないようだ。


それにギルド長もマリンと颯の親子ごっこを見て癒やされている節があるので意外にマリンのためだけではないように思える。


なんにしてもハーブや調味料の類いはギルドの報酬で商人から買ったことにすれば良いかとも考えていた。そうすればお土産で渡せなくても料理の改善はできるだろう。


《急いで帰るぞ》


《了承しました》


会話は盗賊達に聞こえないとは思うが、ステルスモードの時は念話に徹する癖は付けておきたい。


そうして颯は小屋を出ると寄り道はせずに最短距離を意識し急いで街へと戻った。そして馬で一時間の距離を颯はそれより早く到着できた。


「思ったより早く付いたな」


颯は街へ入るとステルスモードを解除し冒険者ギルドへと入りギルド長の執務室へと向かう。


トントントン

颯はノックを忘れない。


「入れ」


「ただいま帰りました」


颯がドアを開け中に入ると思ったより早い帰りにギルド長は驚いたような表情を見せる。


「随分と早かったな」


「急いで知らせたいことができました」


「また何かしたのか?」


ギルド長は何かを警戒したのか途端に表情を歪めた。完全に冤罪である。

颯はそんなギルド長の反応を無視して小屋で捕らえた盗賊達の話をした。どうやって捕らえたかまで詳しい説明付きで。


「穴に埋めてあるので逃げられるとは思えませんが、もしかしたら衰弱しているかも知れません」


「はぁ……」


ギルド長は長い長い溜息を吐くと諦めたように肩を落とした。


「場所を詳しく教えてくれ。すぐに街の警備兵を向かわせる」


「お願いします。後、頼まれていた魔石です」


颯は応接セットのローテーブルの上に今回手に入れた魔石を異空間収納から取り出して置いていく。


「こ、こんなにか? それにこれはなんだ。色も大きさも他のと違うが、まさか…」


「あのダンジョン最下層にいたボスゴーレムの物です」


「ボスだと!!」


ギルド長は大声を張り上げた後絶句したように黙り込んでしまう。


「何か不味かったですか?」


颯は少し不安になりつい尋ねていた。

まさかとは思うがあのダンジョンのボスを倒しちゃいけない決まりがあるとか、隣町と何か協定があるとか颯の考えも付かないルールが存在するかも知れないと考えていた。


日本の法律で考えるなら、颯が素材を採取した森やあのダンジョンも誰かの所有するもので、そこには利益に関し何かしらの取り決めがあってもけして不思議ではない。


一般の冒険者達が自由に出入りしているとは言え、颯はこの世界の法律もルールも熟知してはいないので知らずに何かやらかしてしまうこともあるだろう。


「いや、大丈夫だ。まさか颯がここまでやれるとは思ってもいなかったから驚いただけだ。俺もまだ認識が甘かったようだ」


「なるほど」


ギルド長はまさか颯が最下層まで到達しボスゴーレムを倒すと考えてもいなかったらしい。


「それであのダンジョンのボスはゴーレムだったんだな?」


「そうですけど、ご存じではなかったのですか?」


「そもそも最下層に到達した冒険者はいない。今回の情報はありがたい。後でもう少し詳しく聞かせてくれ」


最下層まで到達した冒険者がいないと聞いて颯はこの世界の冒険者は案外記録には拘らないのだろうかと思ってしまう。

普通だったら最強と言われる名の知れた冒険者の一人や二人はいて、最高到達記録を自慢していても良さそうなものだ。

この世界の冒険者は魔物から現金がドロップすることで、未知への挑戦より確実にコンスタントに手に入る現金の方を優先させているのだろうか。


颯が物思いにふけっていると、ギルド長は魔石をしまい盗賊の件もありこの後忙しいというので颯は取り敢えず家に帰ることにした。

颯はソファーから立ち上がり退出しようとドアノブに手をかけると後ろから声を掛けられた。


「ハヤテ、礼を言い忘れた。今回はご苦労だった。ありがとうな」


「いえ…」


面と向かってこんなにはっきり誰かに感謝されるなど初めてだった。

勿論家事を手伝って『ありがとう』と言われたこともあるし、見ず知らずの人に親切にしてお礼を言われたこともあるが、なんだかそれとは重さが違う感じがした。


そしてどうしてか颯はギルド長の『ありがとうな』がとても印象深く心に刻まれたような気がして、何故か無性に嬉しくなり頬が自然と緩むのを抑えられなかった。



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