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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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「良いこと。くれぐれも森に入ってはいけないわよ。分かってるわね」


「はい」


ギルド長はマリンには颯はギルドの簡単な依頼で隣町へ行くということにしたらしい。

渋々ではあったがこの世界で十歳といえば大人を手伝い仕事をしている子共も多く、ギルドに登録している以上仕事を覚えさせたいと言われてしまえばマリンも強く反対はできなかったようだ。


「それに一人で勝手に行動しちゃだめよ」


他の冒険者何人かと一緒に行動することにもなっている。

颯はマリンを欺しているようで、マリンがあれこれ心配し何かを言う度に後ろ暗くなり落ち込んでいく。


「行ってきます」


本当なら元気に家を出たいところなのに、今にも溜息を吐きそうになる。


「これお弁当。途中で食べなさい」


「!?」


マリンがお弁当を作ってくれたことが嬉しかった。というより颯が気付かない間に作ってくれたのだと驚き感動していた。


「本当に気をつけるのよ。あなたはまだ子共なんですから絶対に無理はしないのよ」


もう何度目か分からない事を言われるが、それだけ心配してくれているのだと颯は大人しく頷き素直に受け入れる。


「ありがとうございます」


颯は踊り出したくなる気持ちを抑えマリンの手作り弁当をありがたく受け取った。

そして玄関先で手を振り見送るマリンを何度も振り返っては同じく手を振り返しギルドへと向かう路を歩く。

しかしマリンが見えなくなると颯は物陰に潜みナビにステルスモードを発動して貰い街の外へ出た。


「ダンジョンへ急ぎますか?」


「いや、この辺の変わった素材の採取と獣も討伐していこうと思う」


「それでは有効素材が採取できる場所をマップの方に載せます」


「おお、そうだった。助かる。ありがとうなナビ」


颯はマップを開きナビが示してくれた採取場所と獣の場所を確認しながらダンジョンのある方向へと進む。当然隣町への街道を外れ森の中へと足を踏み入れることになる。


これが思った以上に大変だったが意外に面白い。下草は結構綺麗に刈られていて木も薪のために適度に伐採されているらしく森の中は案外歩きやすい。


なのでマップに印があると採取せずにはいられずについあっちこっちと時間も忘れ採取に励む。

薬草の類いからハーブ香辛料の類いが多く、木の実やキノコに食べられる草や根や虫などその種類も数も多くキリがない。


本当ならアイテムリストに載った時点で別に採取しなくても良いかとも思うが、食べられると思うと勿体ないと言うより欲が湧くのかつい採取してしまう。まぁ虫は別だが。


それに獣の討伐も颯の解体魔法があっけなく成功し、颯は血を見ることもなく簡単に素材を入手できていた。


「マリンさんへのお土産もこれでいいかもな」


颯は手に入れた素材の数々を確認しながらほくそ笑む。なかなか手に入らない香辛料が多数手に入ったのだ。中にはまだ知られていない物もあるかも知れない。それに木の実や獣の肉も間違いなく喜ばれるだろう。


「どこでどうやって手に入れたか説明できるのですか?」


マリンに森に入ってはいけないと言われていたのをすっかり忘れていた。

森は腐界やダンジョンほどでは無いにしても、人間に危害を加える害虫や獣が多く方角も見失いがちなので危険な場所との認識が強いようだ。毒を持つ蛇も居るしね。


颯を普通の子共としか思っていないマリンの心配する気持ちを思いだし、森でしか手に入らないこれらをお土産にはできそうもないと気づき颯は一瞬愕然とした。


「みんなで入ったってことにすればいいんじゃないかな」


「私に解決できる問題ではありません」


ナビの冷たい反応に颯はどうにかなるかと深く考えるのは止めた。

叱られるのを覚悟のすればいい。嘘を吐くのは心が痛むが、それよりもマリンの料理がもっと美味しくなる方が良いに決まっている。


ハーブや香辛料の使い方は颯が教えればいいしと、颯はマリンと一緒に料理をする場面を想像しながら既にお土産は決定づけられた。


そうして颯は後の事など気にせずに変わらずに素材の採取をしながら先に進んだ。勿論人の気配を避けて。

腐界では他人の気配など皆無だったのに、この森の中には案外人が入っているのか結構そこかしこに気配がある。

とはいっても混雑しているというほどではない。避けているはずなのに気付くと颯の察知の中に人が居るといった感じだ。


「まぁ当然か…」


恵みの森とも言うし、これだけあれこれ採れるのなら誰だって放っておかないだろう。それに人の出入りが多いから森の中も歩きやすくなっているのだ。


颯はとにかく他の人とあまり近づき過ぎないように気をつけ森を歩いていると突然人の争う声が響いた。

関わり合いたくはないが何が起きているのか気になる颯は逡巡し声のする方へと急いだ。


ステルスモードで相手には姿は見えていない。だから確認するだけなら大丈夫だろうと颯は興味が抑えられず既に体は動いていた。



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