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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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「ダ、ダメです。これ以上はちょっと辛い、です…」


「そうだな。一度ここから出るぞ」


気付けばギルド長もユージーンもなんだか少し辛そうで具合が悪そうに見える。


《ダンジョン化されていない腐界の高濃度魔素にあてられたようです》


ナビからの念話に、そう言えばそんな説明をナビから聞いていたことを思い出した。

颯は状態異常無効のスキルもあるしフォルトゥナの加護もある。それにナビが結界で守ってもくれるからすっかり忘れていた。


それで二人は魔法を披露する場所として敢えて他の人間が誰も近づかないこの腐界を選んだと知り、颯は申し訳なさを感じていた。


「ハヤテは大丈夫なのか?」


颯の歩くスピードを確認し気遣いながらユージーンを支え腐界の外に向かうギルド長。


「ありがとうございます。僕は大丈夫です」


「そうか。だが俺が辛い少し急ぐぞ」


ギルド長は口にするほど大変そうでもない。寧ろユージーンを気遣っているように颯には思えた。


《なあナビ。これって治癒魔法で治るのか?》


颯は本当に辛そうなユージーンを見てナビに確認する。


《高濃度の魔素にあてられているだけなので少し休めば自然と抜けるはずです。それよりも上手く魔素を魔力として取り込めるように循環させればもっと早く楽になると思います》


颯はナビの助言を二人に伝えるかどうか少し悩んだが、颯の説明で上手く二人が納得してくれるとは思えずにやめた。


そもそも颯がその魔素を魔力として取り込み循環させるなんてしたことが無いので説明のしようが無い。だから少し休めば自然と回復するというナビの言葉を信じる事にした。


馬車まで戻るとユージーンは荷台に倒れ込み、ギルド長はそれを心配そうに見守っている。ギルド長は案外平気そう。屈強なのは見た目だけでは無いようだ。


「情けないですね。具合を悪くしたのは私だけですか」


しばらくするとナビが言ったようにユージーンの体調はだいぶ回復したがその様子はかなり落ち込んでいるようだった。


「こればかりは個人差もある仕方ないことだ」


「僕はここへは魔物を倒しに来たのだとばかり思っていました。でも僕のことを考えくれたのですよね。無理をさせてしまってすみませんでした」


颯はギルド長とユージーンに深々と頭を下げた。


「だから子共がそんな風に気を回すな」


ギルド長は颯の頭をまたガシガシと撫でた。

颯は子供扱いされるのにはまったく全然慣れないが、ギルド長の大きな手をなんだか心地よく感じてしまう。不思議だ。


「それにしても本当にハヤテ君の使う魔法は想像以上でした。魔法を使えるのを自慢にしている貴族でもあれ程では無いでしょう」


「そうだな俺も聞いたことも無い。そうなるとやはりハヤテのことがバレないように気をつなくてはならん。かといって折角のチャンスだ冒険者に魔法を広めたい」


「それなら希望者を募り講習会を開けばよいのです。ハヤテ君が我々にしてくれたようにまずは生活魔法を習得させ、その後はそれぞれ研鑽を積ませるのです。魔法に興味のある者ならハヤテ君のように結果を見せてくれるでしょう。もしかしたら我々では考えも付かない魔法を考え出す者が現れるかも知れませんね」


さっきまで苦しそうにしていたユージーンは今はキラキラとした瞳で夢を語っている。この人もけして悪い人ではなさそうだ。


「そうとなったらユージーン、当然お前が魔法の講師を務めるのだろうな」


「勿論そうさせていただきます。しかしそうなると魔法の先頭を行くのは我々でなくてはなりません。ですからギルド長も研鑽に励んでください。それにこれからはそう簡単に仕事をサボれないと思っていただかないと」


「何を言う、俺は仕事をサボったことなど一度も無いわ」


すっかり元気を取り戻し楽しそうに語り始めた二人の話を颯もどこか楽しく思い黙って聞いていた。まるっきり他人事のようにハヤテの考えも付かない魔法の誕生を想像しながら。


「ってことでハヤテ、お前にはこれからも俺の魔法の練習に付き合って貰うぞ。そうだな週に二日午後の時間を空けてくれ。勿論魔法の講師としての依頼だ、金は出す」


「それなら当然私も週に二回ギルド長とは別でお願いします」


二人の様子は真剣だった。本気で魔法を習得したいらしい。颯はそんな二人に対して首を横に振るなんて事ができるはずも無く引き受けることにした。


「分かりました。でも僕がどこまで教えられるか分かりませんよ」


「構わない。ハヤテのことは他にはバレないように注意するからよろしく頼む」


そうして颯は二人の魔法の講師として雇われることになり、当然のようにギルド長の家に下宿する事になった。


そして話し合いの結果それ以外の時間は颯の自由に過ごして良いことになり、冒険者ギルドに用があるときは受付に並ぶのでは無くギルド長の客として執務室での対応となった。


ギルド長は少なくとも颯が成人するまではその対応を続けるつもりらしい。颯は今まで経験の無い過保護っぷりに戸惑っていた。


それでもすべてを禁止された訳ではないので、アイテム図鑑と魔物図鑑コンプリートのための活動は続けるつもりでいるのだった。



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