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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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颯は魔法は魔法だというナビの言葉を信じ、属性意識を捨て、今まで培った色んな知識を総動員してイメージできる限りの魔法を早速使ってみた。


ファイヤーボールに始まって火・水・土・風・氷・雷・闇に光そしてそれぞれを混合させた攻撃魔法など。殆ど、いやその全部ゲームとアニメがもたらしてくれたものだ。


ナビが言うようにかなり簡単に魔法を発動でき、颯はいつしかその検証にすっかり夢中になり集中していた。


(同じファイヤーボールでも凝縮具合を変えると炎の色が変わるんだな。なんだこれちょっと面白いかも。炎の大きさを小さくした方が温度が高くなるってことか?)


颯は青い炎を纏うパチンコ玉サイズの炎の玉を掌の上五㎝空中に待機させたまましげしげと眺めていた。

炎の色は高温になると青いとは知っているが今現在颯がその温度を感じることはなく、実際にその青いファイヤーボールにどれほどの威力があるのか想像もつかなかった。


(確かめるしかないよな)


颯は意を決して魔法の練習場と化し、その姿がボロボロになりつつある目の前の森林の一角に思い切って投げる。


ドゴーーーン!!


一際大きな樹木にそのファイヤーボールが当たった瞬間轟音を轟かせ樹木を一瞬で溶かした。

燃え上がったのではない。広い範囲をドロドロに溶かし始め、それはまるでマグマが広がっていくようだった。


(ヤバいヤバいヤバいヤバい)


颯は咄嗟に絶対零度の氷魔法を放とうとしたその瞬間、水蒸気爆発の危険が頭を過る。

魔法で水蒸気爆発が起こるかどうかなど分からないが、もし水蒸気爆発がここで起これば自分にも危険を及ぼすだろう。


実際青いファイヤーボールの効果は颯にも迫りつつありこの辺りの気温を上昇させ始めている。

颯は氷魔法を使うのは止め、土魔法を使いどんどんとマグマに土を被せていく。


この方法は間違ってはいなかったようでやがて徐々にマグマのようなソレは収束していき、辺りをゴツゴツとした岩場にした。


「この魔法は絶対に使っちゃダメなやつだな」


颯は額に浮かんだ汗を拭いながら青いファイヤーボールの封印を誓う。


「私も一瞬どうなるのかと慌てました。対処が遅れ申し訳ございません」


「対処?」


「はい。颯様の身の安全を確保するのも私の役目です」


「何かあったら守ってくれるって事?」


「はい。一応結界を張らせていただきました。事前に危険を察知しお知らせすることもできます」


「それは是非お願いします」


颯はナビが颯の身を守ってくれると知り心から安心した。これで不意打ちを食らった攻撃への心配が減ると。

しかし同時に思う。あのファイヤーボールの危険を知らせてくれても良かったと。まぁナビが危険を察知できないほど未知のモノだったのかも知れないのでそこはツッコまないが、まだ絶対的に安心できないと颯は心に留めた。


「ではドロップ品の選定をお願いします」


「ドロップ品?」


「はい。颯様の魔法の検証によりかなりの数の魔物が消滅しております。何度か話しかけお願いしたのですが気付いて貰えなかったのでそのままにしてあります」


「選ぶまでドロップしないって事? 時間経過で消えたりしないの?」


「颯様のスキルの効果特典です」


「それはいいな。じゃぁ早速選ばせて貰うか」


颯がそう言うと目の前にステータスを表示させた時のような透明なウインドウが現れ、倒した魔物の名前と選べるドロップ品が表示される。

そして四つある選択肢の一番上の300Zの表示がなんなのか分からずにナビに聞いてみる。


「この300Zってなんだ? なんかスゴい栄養剤か何かか?」


「それはこの世界共通の現金です。300ゼニーの略です。ちなみに日本円で三百円の価値になります」


「現金! 魔物を倒すと現金が手に入るのか。まるでゲームだな」


「魔物の強さにより金額が変わります」


「知ってる」


(一番上に表示されているという事は現金が出やすいって事なんだろうけど、フォルトゥナさんそれってどうなの? 貨幣価値の崩壊とか心配しなくていいの? まあ俺には関係ないけど)


颯はこの世界の事が少しだけ心配になるがフォルトゥナもデキる女神ならば何か考えがあるのだろうと深く追求するのを止める。

そして次がポーション、ハイポーションと続き、力の腕輪と表示されているのを確認する。


「どれも一通り欲しい。っていうかこの世界にもポーションがあるんだな」


「今のところドロップされる物しか存在しませんが売るのも可能です」


「作れるヤツは居ないの? じゃぁ錬金術も存在しないのか?」


「今はまだ存在していません。魔法で物が作り出せるという発想自体がありません」


「ほうほう、それじゃ俺がこの世界初の錬金術師になることも可能なのか」


(まぁそんな目立つことしないけどな)


「可能ですね」


なんだか期待が籠もっているようなナビの返事を無視して颯はウインドウをスクロールさせながら倒した魔物のドロップ品を次々と選択していく。

そしてそのすべての選択を終えてガックリと疲れ果てた。


「これって一体ずつ毎回やらないとダメなのか? スッゴく面倒なんだけど。それに選択したアイテムなんかはいったいいつどこに現れるんだ?」


「ドロップアイテムは颯様の異空間収納の中に私が移動させました」


「異空間収納!! それってアイテムボックスとかインペントリと同じなのか?」


「そのように考えていただいて構いません。何でしたら私の方でお預かりすることもできます」


「ナビに預けると何か変わるのか?」


「変わることはありませんが、アイテムリストが埋まります」


「アイテムリストだと!」


颯はゲームでは魔物図鑑やアイテムリストと聞くとコンプリートさせないことには気が済まない質だった。


「そのアイテムリストってどこにあるんだ?」


「ステータスウインドウの別ページに表示されます。同じく魔物図鑑も表示されますのでそこで魔物のドロップ品を選別固定する事もできます」


「おぉ、用のない雑魚のドロップ品を固定させておけば無駄な手間が省けるな」


颯は異空間収納の中を確認するより先にアイテムリストと魔物図鑑を確認し、これを全部埋めた時のことを考えワクワクするのを止められなかった。



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― 新着の感想 ―
何だかんだ言って立派なゲーム脳オタクだw
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