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女神の加護って 最高かよ! でも良いことばかりじゃないんだろ それな。  作者: 橘可憐
異世界にて

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それにしてもあの女神フォルトゥナは意外に凄いのかも知れないとナビを目の前にしながら颯は思った。


地球に神が居るかは知らないが魔素の提供の交渉とか、あの形成中のダンジョンでの颯への干渉とか、こうして颯を実際に異世界に転移せたことから考えても女神フォルトゥナは結局すべて自分の思うとおりの結果を得ているのだ。


案外計算ずくでなんだかんだ言って颯はフォルトゥナの掌の上で踊らされているだけなのかも知れない。


それでもそんな凄い女神が言うのなら、二十年後にはあの場所に帰してくれるという言葉を信じても良いだろう。


ものは考えようだ。今までまったく後悔がない人生だとは言えない。もっとやりたいこともあった。


だから自分の人生をもう一度小学生からやり直せると思えばいい。親に認めて欲しいとかなんだかんだと兄や妹と比べることのない人生。本当に思うままに自分の好きなことだけをできると思えば二十年はちょっと長い休暇みたいなものだろう。


「うん、案外悪くないかも」


颯はすっかり腹を括ることができた。


「何がでしょう?」


颯の呟きにナビが疑問を投げかける。


「何でもない。それよりこのまま街へ行って冒険者ギルドに登録するにしても現金がないと何も食べられないし宿にも泊まれないだろう。取り敢えず手っ取り早く現金を得るにはどうしたら良い?」


「ここの魔物を消滅させてドロップ品を得るのが良いでしょう」


「ドロップ品があるのか!」


颯はあのダンジョンで倒した髑髏にドロップ品なかったことを思いだし、もしかしたら気付かずに拾い忘れたのかもと少し後悔した。


「はい。それに颯様がお持ちのティケと言うスキルはドロップ品の指定ができるとても珍しいスキルです」


「ドロップ品の指定ってなんだそれ」


「魔物を消滅させると確立で何種類かの中から一つドロップ品を得られます」


「確立でドロップ品が変わるって事か」


「フォルトゥナ様が作られたシステムで魔物の強さに合わせたご褒美だとお考えください。ものは試しです早速魔物を消滅させてみてください」


(ご褒美にしてはドロップ品が一つだけってちょっとショボい気もするけどな)


「チュートリアルってことだな。でも魔物を消滅させるって簡単に言うけど俺には攻撃手段がないぞ」


あのダンジョンで髑髏を倒した刀は持っていない。と言うか着ていたものも持ち物もすべてなくなっていて、着心地の悪いTシャツと中途半端な丈のパンツに履き心地の悪いサンダル姿。

それをナビに尋ねると帰った時のためにあの空間に保存してあるという回答があった。


どうせこの世界に合わせフォルトゥナが用意したのならもう少し上等な物が良かったと思うが、きっとこれが一般的な平民の基準なのだろうと思い直し諦めた。

そう、目立つのは良くない。普通で平凡なのが一番だ。


「颯様は魔法が使えます。魔物は魔法に耐性がありませんから颯様には簡単すぎるかも知れませんね」


「そうなの? でもほら魔法っていきなり簡単に使えるものなの? それに相性の良い属性とか強力な攻撃魔法とか色々あるだろうしもう少し魔法の勉強をさせてよ」


「魔法に属性などありません。魔法は魔法です。それに颯様は既に魔法に対しての適性を得た体になっていますので念じるだけで魔法を使えるかと」


「無いの? 属性・・・。それに念じるだけって言われても・・・」


(まあ、確かに魔法はイメージだとよく言うし、結局現象でしかないってことなのか?)


「魔法が属性分けされるほど発達してはいません。すべて不思議な現象扱いです。この世界では一部の貴族が魔法を継承し続けているために情報も知識も秘匿されています」


「良く分からないけど貴族しか魔法を使っちゃダメってこと?」


「いえ、そうではなくて、そもそも魔法を使えるかどうかなど平民が気付くことが少ない状況です。そして魔法を使える平民は貴族に取り込まれるか消されることが多いというだけです」


「なんだそれ。じゃあ俺が魔法を使ってたら最悪貴族に消されるかも知れないってことじゃないか」


「颯様なら大丈夫だと思います」


ナビは簡単に言うが颯はそう簡単に納得できはしなかった。そもそも何を根拠に大丈夫だというのかまったく理解できない。


それに要するに平民は生活するのに精一杯で魔法に対して知識も情報も無いから自分が使えるかどうかを知る術もないと言うことなのだろう。

そりゃ魔法が発展も発達もする訳がない。貴族が既得権益を守る為に必死なのが笑える。


しかし颯はそうは考えても平民が魔法を使えない理由に納得することはできなかった。魔法ってもっと自由で便利なものじゃないのかと。


「じゃあ一般の冒険者は魔物をどうやって倒してるんだ?」


「普通に武器でですよ。そもそも魔物は心臓に値する核を持っていますのでそれを壊せば消滅させられます」


「じゃあ俺も普通に武器での攻撃にするよ」


颯の納得できない思いは思いとして、やはり目立ったことをするのには慣れていない。平穏で平凡に過ごすのが一番だ。


「でも今現在武器を所持していませんので無理ですね」


「はあぁーーー」


フォルトゥナはどうやっても颯に魔法を使わせたいようだと知り、颯は溜息にもならない諦めの声を吐き出していた。


(まぁ正直俺も実は魔法を使ってみたかったから別に良いけどな)


颯は人前で魔法を使わなければ大丈夫だろうと納得し、魔法を使う口実ができたのを内心喜んでいた。



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