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1%のひらめき

【15歳】

将来の夢


ある日の個人面談でそんなものを先生に聞かれた。まだ高校1年生になったばかりの青年とも呼べない児童がそんなことをはっきり答えられるだろうか。


否。答えられない。

俺でなければ


「安楽死……ですかね………」


〜パァン〜


ひっぱたくこたぁねえだろ…今の元号は何だ?令和だぞ。こんな体罰許されるのか。……まあ俺は寛容な人間なのでこのことは問題にしないでおいてやろう

それはさておき何故俺の夢が安楽死なのかお前たちに説明してやろう。その辺りの何の変哲もない小童どもは、やれ医者になりたいです、教師になりたいですとありきたりな夢を語りおって。人生の経過点をそのように彩ったところで人類はみな平等な苦難、兼結末が待っているのだ。


そう死である。


一生をかけて働き何を為したといってもその後には何も残らない。ならば俺は人生の途中経過で利益をちまちま拾い集めるのではなく、死という最大の不利益を抑制しようではないか。

では日本でどう安楽死をするのかという話だが……今の俺が考えるものでは無い。必ず未来の俺が確実な方法をひらめいているのだ。ならば今やるべきことは数少ない男友達と遊ぶか、数多のネッ友たちと遊戯(誹謗中傷合戦)を行うかだ。


って誰に説明してんだか笑


【18歳】

この学力ではまともな大学に入れないと言われた。


由々しき問題である…と言いたいところだがそんなことは無い。大学に行けないから何だ。働く方法はいくらでもある。YouTuberになるか?オーディションに応募して芸能人の仲間入りか?それともしがないバイト生活で食いつないでいくか?何だっていい。どれだけ綺麗に生きようが無様に生きようが死は平等に訪れるのだ。

さらに言えば働かなければならないのか?実家暮らし、盗み、自給自足、何だって生きる方法はある。

俺は死までの短い期間を自分の生きたいように生きるのだ。


【20歳】

生きるのが辛い。


最近はVtuberなんてものが流行っていると聞いて……というか昔から視聴していたのだが……そのオーディションに応募して何度も落ちた。あいつらのやっていることと俺の応募用動画の何に差があるというのだ。むしろ俺の方が面白い。あいつらはつまらないことばかりさぞ面白いように話しやがって。俺を落としやがってクソ運営が。


【25歳】

いつまでこの肉体労働を続けなければならない。


働かなければ家を追い出されるからしぶしぶ始めたものの3年間ずっと仕事をし美味くもない飯を食い寝るの繰り返しだ。辛い。死にたい。


【30歳】

俺の(似非)哲学的な性格のせいか最近は意味のわからない事ばかり考えている。


働くとは一体何なのだ?よく見る会社に通勤するサラリーマンたち。彼らは上司に媚びへつらいブルースクリーンと見つめ合い何を生産しているのだ?何故あいつらが俺より良い待遇を受け理想と呼ばれている?そもそもこの世の全ての仕事に意味はあるのだろうか?この空虚な思考に意味はあるのか?


これはただ自分が常に頭脳をフル回転していると思い込みたいが為の意味の無い思考だと分かっている。だがやはりこうでもしないと自分を抑えられないのだ。そしてその内分からなくなる…


俺は一体何なのだ?

分からない。怖い。死にたい。辛い。嫌だ。嫌いだ。死するべし。訳が分からない。人のじ


「おじいさん!お昼ご飯ですよ!気づいてください!」


「………は?誰がおじいさんだ。俺はお兄さんだ!」

「何ボケてるんですかおじいさん。【73歳】のどこがお兄さんですか。もう立派なおじいさんですよ。」


そうか…気づかない内に、心は成長しない内に、こんなに歳だけとってしまったか………ははは………

「ところでおじいさん、安楽死の方法見つかりました?」

「……いや…どうしたらいいのかな………」


「未来の自分はひらめいてるんじゃなかったんですか?馬鹿なんですか?本当に救いようのないゴミですね。さっきは立派なおじいさんと言いましたが立派でも何でもないじゃないですか。さっさと苦しんで死んだ方がいんじゃないですか?みんなそう思ってますよ。死ね穀潰しが。決めた今日の昼飯は抜きだ。腹を鳴らしながらみっともなく虚ろの目を開けてな。ぎゃははははははははははははははは


「はっ!…………………ゆめ、、そうだゆめ、これ夢だ。はは………」


ようやく悪夢から目覚めた。大丈夫だ。俺はこんな惨めな人生は送らない。意味の無い人生を送るくらいなら死ぬつもりだ。いざとなればなんだってやってやれるんだ。


それにしても辺りが暗い。まだ目が冴えていないようだ。


「あなた、大丈夫ですか?」


誰の声だ、聞き覚えが無い。


「誰だ………」

「私は女神。幸運ですねあなたは。なんとあなたの来世は異世界でのチート無双生活に決定致しましたあ!」


【享年77歳】

俺の目の前には自らを女神と名乗る謎の存在がいる。普段ならこんな奴異常者と一蹴するとこだがそれは出来なかった。こいつの存在がはっきり掴めない。人型のように感じるが、その姿を知覚できないし、出来たとして人の持つ語彙で説明できるとは思えない。


「転生?なにを言ってるんだ?俺はゲーム又は漫画or小説のイベントに来たわけじゃないぞ?」


「あなたは死にました。この事実を認めてください。これは紛れもない現実……いや、死後の世界に現実という言葉は相応しくありませんね。」


俺が………死んだだと…?……まだ1487文字分しか生きてないんだぞ?こんな人生しか俺は送れなかったといいたいのか?俺の回想シーンがこんなとこで終わっていいのか?


「こら!なろう系主人公ともあろう者がメタ発言で文字数を稼ぐんじゃありません!こういう時主人公は異常なまでの理解力で死と転生を受け入れチート能力を受け取り即刻新しい世界へ旅立つものです!」


おれが…主人公………?


そこには俺が憧れてやまない三文字があった。


主 人 公


俺は何かと理由をつけて周りのヤツを見下してばかりだった。それは自分の無力さと平凡さを自分が一番理解していた故なのだろう。

だが今の俺はそんな平凡人間では無い。いや、無くなるのだ。ならば無理に大人ぶる必要は無い。


「すみません全ステータスMAXチート能力複数持ち顔立ち最高美女美少女ハーレムで毎日○○○○○○○+○○○○○○×○○×○○生活お願いします。」



「わあお兄さん適応がはや〜い♡でもすみません、私に出来ることはチートスキルをひとつ付与するだけなんです。」

「どうしてだよ!ちょっとくらいサービスしてくれてもいいだろ!」

「後ろを見てください。」


後ろを振り返るとそこには途方もない闇が広がっている。天界すなわち女神が立つ場はもっと煌びやかで神々しい輝きを放っているものではないのか。


「何も見えないぞ。辺り一面まっくらだ。」

「その通り!労働時間は余裕の24時間越え・上神(上司ん)からのパワーセクハラ・平然と行われる魂の闇売買。どこかのクソ天長の法律改悪のせいで天界はブラックな職場に……」


ブラック企業の景観が真っ暗だとは…体は名を表すと言ったところか


「なるほど、分かった。じゃあひとつしか叶えられない分、俺にはさぞ強い能力をくれるんだろうな?」

「それはもう!考えうる限り最強の万能のスキルです!このスキルに不可能はありません!」


このような大層なことを言われればレコーダーに録音しておきたくなる。「なんでもする」・「不可能はない」・「明日までには必ず払う」出来ないことを言えばいつの間にか録音され利用され脅迫されるのだ………スマホが無い。気づけば服もない。身につけていたものが何も無い。友達もいない。さらに言えば……



「体が無い………」


知覚しようとするまで気づけなかった。肉体の感覚が無いなどという異状に違和感を持てなかった。天界とは興味深いものだ、他にも現実世界と似て非なる異状があるかもしれない。


「あなたは死にました。今は肉体は持たず魂の存在です。」

「そうか……まあ魂の存在はさほど珍しいことでもない。」


「ほう、これは素直に受け入れるのですね?あなたは今日魂を直に知覚するのは初めてでしょう。あなた方の形而下の世界における創作物で見たといってもそんなすんなりと受け入れますか?」


「まあ、俺地頭は良いし?状況判断能力もゲームで鍛えられてるし?もっといえば……


「あなた。芸能人のやる事なんて自分の方が上手くできると思うタイプですか?」


俺の言動から性格を、20歳の頃のイタい記憶を掘り返された。ぐうの音も出ない。


「はい!お喋りはここでおしまい!これ以降あなたが天界に来ることはないし、お喋りしている時間がもったいないので、何か疑問を持ったとしても質問は控えてください。飲み込んでください。はやくしましょう。次の顧客を待たせているのですよ?」


死者を顧客呼ばわりだと?しかも、俺以外にも転生者が?まずいな。チート能力をもつのは俺だけで十分なのに。


「そうだ、俺の能力は不可能の無い最強の能力だと、そう言ったな?」


女神は『能力なんて古臭い言い方はやめろ。スキルと呼べ。』と言いたげな表情で口を紡ぐ。


「はい、その通りです。それではあなたの能力を発表します。それは……」


努力こそ正義(ジャスティスメーカー)

小説というものを初めて書かせて頂きました。拙い文章かつストーリー構成ですが、目を通してくれれば幸いです。

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