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32 ファンタジー世界なのに家の設備は変わらないのね

 いくら儲かりそうな素材でも、手に入らないのなら絵に描いた餅でしょ。


 クラリッサさんはもう興味を失ったようで、私の家の探検を楽しんでいた。


「へぇ、さすが魔道具の家ね。高級宿並みの設備だわ」


 部屋の中だけでなくお風呂やキッチン、それにトイレまで見て回るクラリッサさん。


 その感想を聞いて、私はちょっと驚いたのよね。


「高級宿には水洗のトイレや魔道具のコンロなんかもあるの?」


「さすがにコンロがある部屋はないわよ。でも、水で流すトイレはあるところが多いわね」


 魔道コンロに関しては、クラリッサさんの家や商会でも普通に使われているらしい。


 ついでに言うと水が出るシンクやお風呂だって、値段は高いものの普通に売られているそうな。


「ただ、トイレにあったロール状の柔らかい紙や、お風呂にあった液体の石鹸は初めて見たわ」


「そっか。消耗品の質は、うちの方がいいのね」


 クラリッサさん曰く、トイレの紙はもっとゴワゴワしているらしい。


 う~ん、それならトイレットペーパーのロールもストレージに入れて持ち歩いた方がいいかも?


「ところでこの二つだけど、余分に手に入ったりはしない?」


「少しくらいなら大丈夫だけど、売るほどはないわよ」


 この二つはさすがに自販機にも売ってないけど、消耗品扱いだから減ったとしても時間が経てば魔素によって自動的に補充されるのよね。


 それにゲーム時代、雰囲気作りのためかトイレや脱衣所の棚に予備が積んであったのよ。


 それも再現されていたから試しにそれぞれを一つずつ取ってみたところ、しばらくしたら元通り補充されていた。


 もちろん、取ったトイレットペーパーやボディーソープ、リンスインシャンプーのボトルなんかは手元に残ったままでね。


 だからと言って、それを売って商売しようなんて思わないけど。


 砂糖同様、原材料が解らないものを多く持ち込んだら、これまた怪しむ人が出てくるかもしれないもの。


 閑話休題。


「ところでこの家、かなり広いけど一人で住むの?」


「さすがに一人だとちょっと持て余すわよ。家の設置場所が決まったから、連絡をすれば人を送ってくれると思うわ」


 初めはSサイズの家を建てて一人暮らしをするつもりだったのよ。


 でもMサイズの家となると、自分だけで管理するにはちょっと広すぎる。


 だから一度城に戻って、この家を管理するNPCを創り出そうかと思ってるんだ。


 作製枠は、まだかなり残ってるからね。


「確かに、これだけ広いと掃除が大変だろうからね。庭の草狩りも」


「私一人だと、あっという間に腐海に飲み込まれる自信があるわね」


 私は掃除ができないタイプではないけど、ここはちょっと広すぎる。


 日本で言う一般戸建て住宅の5倍くらいはあるもの。


 それに庭もかなり広いから、それ相応の人数がいないとあっという間に草むらになってしまうでしょうね。


「この家を管理するメイド長と、その他のこまごまとした仕事をする人が来ることになるんじゃないかな?」


「確かに、数人はいないと大変でしょうね」


 そんな会話の後、


「さて、新居に長居をしても迷惑だろうし、私はもう帰るわ。生活が落ち着いたころにまた来るわね」


 一通りの用事は済んだからと言ってクラリッサさんは商会の馬車に乗って帰っていった。


 ということで、ここからは見せられない設備の確認や設置の時間だ。


「う~ん。森が近いとはいえ、街の中だと魔素量はさすがに少ないか」


 入り口横のパネルを確認すると、魔力計が黄色になっていた。


 そこで設備欄を開いてみてみると水回りや立ち入り設定などは大丈夫だけど、多くの魔素を必要とする食糧庫なんかは使えないみたいね。


「貯金箱は置けるみたいだけど、自販機が手に入らないから意味はないかな」


 トレードボックスはクランエリアでしか買えないから、この世界に来てしまった以上もう新たに手に入れることはできない。


 まぁ買いたいものがある時は城に帰ればいいだけだから特に問題はないけどね。


「食糧庫なんかが使えないのはちょっと痛いけど、冷蔵庫やキッチン周りが使えるだけいいか。お風呂やトイレの消耗品も大丈夫みたいだし」


 実はこの家にもこっそり小型のバーカウンターを設置しておいたのよ。


 ここならミルフィーユの目も届かないからね。


 でも魔素が足らないからか、その部屋を覗いてみても棚の中は空だった。


 う~ん、残念。


 因みに冷蔵庫はミルフィーユが気を利かせて満タン状態。


 こちらは食糧庫と違って、城でも自動補給はされないからね。


「NPC制作枠は……ああ、やっぱりこの家には無いか」


 表示を開くと、自分の家ではないので作れませんの文字が。


 ゲーム時代もクランエリアに複数の家を建てることはできたけど、メインの家でしかNPCを作ることはできなかったからなぁ。


 これに関しては当初の予定通り、城に帰ってから作るとにしよう。


「さて、次は地下ね」


 実を言うと、クラリッサさんには地下を見せていない。


 地下には転移ポートや各種作業ユニットを設置するつもりだったからね。


 簡易の錬金台は見せるつもりだからその延長上にある作業ユニットは見られても問題はないけど、さすがに城に飛べる転移ポートはねぇ。


 都市間を馬車で移動しているってことは、この世界に転移ポートのようなものは存在しないと思う。


 オーバースペックのチート設備なのだから、けして知られてはいけないだろう。


「設置する部屋に入室制限は付けられないかなぁ?」


 そう思ってパネルを確認してみたけど、部屋ごとの制限は付けられなかった。これまた、残念。


 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


 と、そんな挨拶をしたばかりなのに申し訳ありませんが、年末が忙しかったためにストックが切れ、それに年始もいろいろと忙しいので申し訳ありませんが8日の更新はお休みさせて頂きます。


挿絵(By みてみん)

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