2 悪の秘密結社に顕現させられました
更新予定を変更し、土日に2話と3話、火水に4話と5話をUPします。
以降は当初の予定通り毎週水曜日の12時更新になります。
目が覚めると、なぜかそこは石畳の上。
「あれ? さっきまで部屋でネトゲしてたはずなのに」
もしかしてゲームをしていたというのはただの夢で、呑んだ帰りに酔っぱらってどこかで寝てしまったのかも?
そう思ってあわてて周りを見渡すと、そこには白いフードで顔を隠すようにした怪しげな一団が。
それにここ、何かファンタジー映画の中に出てくる神殿みたいなとこなのよねぇ。
そう思った私は、ああこっちが夢なのかと思い、もう一度目をつむったんだけど……。
「寝るな!」
何やら激おこな感じで、白フードの中の一人が私を怒鳴りつけたのよ。
「なによ。夢なんだから寝てもいいでしょ?」
「夢ではない。われらがお前を顕現させたのだ」
白フードのおっさんの話によると彼らは魔王を信望する一団らしく、異世界から強い力を持ったものの魂を呼び寄せ、顕現させることで世界を混沌の渦に巻き込みたいらしい。
でもなぁ、私ってただのサラリーマンよ?
そんなの連れて来て、この人たち何をしようって言うの?
「さぁ、まずはこの森の近くにある交易都市サリアを、お前の力で壊滅させるのだ」
「えっ? いやですけど?」
……
………
…………
流れる沈黙。
そんな重い雰囲気に耐えられなかった私は、つい口を開いたんだ。
「いやいや、そもそも私みたいな事務職の社畜OLに、そんなことできるはずがな……」
「馬鹿な! 顕現した者には隷属の呪いがかかるよう、魔法陣に細工を施したのではなかったのか?」
「いや、確かに細工はしたし、この者が現れた時に隷属の魔法が発動したのはお前も見ただろう!」
あー、じゃあなんですか? もしかしてこいつら、私を無理やり働かそうって思ってたってこと?
それじゃあブラック企業ぎみのうちの会社よりひどいじゃないか。
少し頭が痛くなった私は、額に手を当てようとして……。
「あれ?」
自分の手が少し変な事に気が付く。
いや、少しどころじゃない。
これって……。
「少女の手みたいじゃないか!」
そう、私の手は何故か白くて細い指の、まるで小さな女の子のような手に変わっていたのよ。
その上、
「そう言えば声! 声もおばさんポイってよく言われる私のじゃなく可愛らしい、有名声優があてている女の子キャラみたいになってる!?」
さっきまでは少し寝ぼけていたし、何より異常な状況下に置かれていたせいで自分の声が変わってるなんてことにさえ気づかなかったんだ。
でも今は、自分の変化に気が付いてしまった。
座っているにしても、目線があまりに低い。
そう、まるで小学生の頃に戻ったかのように。
そこで慌てて自分の体を見下ろすと、そこには元の自分よりかなり小さくなった二つのふくらみが。
いや、それはまぁある程度予想ができていたんだけど、それよりも見逃せないものがそこにあったんだ。
「これ、ウィンザリアで使ってる自キャラの装備じゃないの」
そう。そこにあったのは、私が寝落ちするまで遊んでいたゲームの自キャラ、アイリスの姿だったんだ。
次の更新は日曜日の12時です。