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095 分かれ道で

バスに乗って快調に進んでます。


現在酪農村近くの新しく作った道に差し掛かるあたりよ。


周囲は雪が結構積もってるけど、道はキッチリ除雪してるから安心ね。


ちなみに街道はクシナダちゃんが1発走りました。簡単なお仕事だったわ。


「みなさーん、ちょっと大きく曲がりますよ。お席から立ち上がらないでくださいね。」


先行してるまゆげちゃんがグイーンと曲がって脇道に入った。荷台の騎士様達が倒れまいとがんばって踏ん張ってる姿がちょっと可愛い。


こっちのバスも脇道へと。


けっこう広い道を作ったつもりだったけど、バスにとってはあまり広いとはいえなかったわ。


長いボディの車輌をしっかりL字に曲げるには、カーブ入口の路側帯に後輪を合わせて思いっきりハンドルを切るの。


すると、まるで運転席が横に向かって移動してるんじゃないかっていうくらい曲がっていくわ。


これなら内輪差で車輌の横腹を巻き込みすることなくキッチリ曲がることができるわ。


ちなみにこれで曲がりきれないような道は、切り返さないと絶対曲がれないから。ロングボディの車輌でのアウトインアウトはよほど道幅がない限り内側が脱輪しちゃうからね。注意して。


「エリーゼ、私はこの道を知らない。一体どこへ繋がるんだ?」


「え?領主様のお館ですけど。」


「いやいやいや、これいつの間に作ったんだ!?」


ええええ、元の道もありましたよお父さん。


だってこの道が1番水場に近かったんですもの。


「嬢ちゃん、どうやって道を拓いたんだ?」


ミノルおじさんが私が座ってる運転席に後ろから身を乗り出して訊ねてきました。


「ドレイクで木を根っこから抜いていきました。元あった道はクネクネしてたし細かったんで、広く真っ直ぐにしたの。切り株が抜けなかったやつは掘り返して処理、ブルータス様で整地したあとクシナダちゃんでトンボをかけ、ローラちゃんで踏んづけました。バッチリです!」


「やるな嬢ちゃん、もう土建屋がやれるぜ!」


「いやいやいや、勝手に道を作ってはいかん!この道については領主様に報告させて貰うぞ!」


ミノルおじさんは褒めてくれたけどギルドマスターさんには叱られちゃった。


そういえば勝手に道を整備しちゃダメって言われてたんだっけ。でも、次に近い水場はグレース市の海だったんだもん。


さすがにそこまでは行きたくなかったのよね。


「はーい。でもこれで領主様もマールに来やすくなったんじゃないですか?」


「まあ確かに、これを機にマールからも必要な資材や食料、雑貨なども購入して貰えれば街も潤う。」


魔物素材やポーションなんかはマールの方が品揃えいいもの。そりゃすぐ後ろに未開地である『セルマンの森』があるからね。


「開拓村からもかなり近いです。材木や木炭だって仕入れ易く、酪農村やカバルの街の食材も納め易そうです。カバルの街の代表者に話を通してみましょう。」


「そうだな、よろしく頼む。」


商業ギルドのツートップはなにかが事務屋さんとしての琴線に触れてしまったらしく、ニヤニヤしながらあれこれ作戦を練ってます。


そのまま走ること数分、旧街道と新しい道との接続になる三叉路に着きました。


除雪がしてあるのはここまでです。


「そろそろ騎士様達と争った現場ですよ。雪を捨てたのはあそこ、で、狼と騎士様との戦闘があったのはあそこで私はこっちに隠れて見てました。」


私は路肩にバスを止めて外に出たわ。みんなも続いて外に出てくる。


「雪だらけで見通しが悪い、この状態でエリーゼちゃんを見つけたとしたら間違いなく索敵系のスキルを使用したと思うぞ。」


『そよ風の輝き』のスカウトさんがそういうと、ギルドマスターさんや隊長さん、お父さんが頷く。


「エリーゼちゃん、どういうことなの?」


戦闘スキルがないサブマスさんにはちょっと分からなかったみたいね。


「騎士様達は狼と戦闘中でした。なのにこれだけ見通しの悪い場所で私を即発見して攻撃を仕掛けたということは……ここまで索敵をしながら、見つけた生き物を全て倒してたってことです。多分魔物も動物も、人間もお構い無しに。」


「そ、そんな……」


サブマスさんが明らかに気分の悪い顔をした。気持ちは分かります。


「全く、何を考えてるか想像するにこやつらはただ景気付けに目の前の生物を皆殺しにしていただけだろうな。これではオークの群れと何ら変わらぬ。まだオークの方が自らの糧の為行動しているだけマシだな。」


ギルドマスターさんがそういって雪の上にペッと唾を吐いた。普段は紳士な方がこれだけの嫌悪感を示すなんてね、ちょっと意外かも。


「おーい取り敢えず除雪が必要だと思うんだがよ、エリーゼさん、俺がかけるくんで除雪しようか?」


話題を変えるように黒オヤジさんが道の除雪を買って出てくれたわ。


他人との関係を大事にする黒オヤジさんらしい対応ね。でも本当は重機を運転したいだけじゃないのかな、とも思っちゃう。


せっかくだからもっと大きいのに乗ってもらいましょ。


「黒オヤジさん、かけるくんだと雪を回収したり投げ捨てたりと時間が掛かるわ。だからここはクシナダちゃんをお願いします。ミノルおじさんレクチャーをしてあげてくださいね。」


「ま、マジか!?やった俺もデカい重機に乗れるんだ!」


「排土板操作以外はかける達ホイールローダーと同じだから安心しな。」


黒オヤジさんったら飛び跳ねながら喜んでるわ。


私知ってるの、黒オヤジさんったら本当はブルータス様やドレイクみたいなでっかい重機に乗りたいのよ。でも私に遠慮していつもかけるくんやニュートみたいな小型を使おうとする。


優しいおじさんだよね。そんなおじさんのためにクシナダちゃんを召喚しましょ。


「カモン!クシナダ!雪掻きの旅に出るわよ!」


ドドドドドドドドドドドド!


目の前に現れた大きなクシナダちゃんを見た黒オヤジさんは、なぜかその場に立ち尽くしてる。


「クシナダさん、アンタに乗れるのを俺は光栄に思うぜ。それじゃ……頼んだぞ!」


黒オヤジさんが胸に手を当ててブツブツとなんか言ってるわ。うわぁ、さっきは黒オヤジさんのこと褒めたけど、今はちょっと気持ち悪いです。


「おう、気持ちは分かるぜ。幾ら好きでもいざ憧れの名車に乗れるとなると緊張するよな!」


ミノルおじさんが黒オヤジさんと肩をグッと組む。うへぇ、ミノルおじさんもちょっと気持ち悪いかも。


「へっ、分かるかいミノルさん。」


「ああ、分かる!」


最高の笑顔でお互いサムズアップを決める2人。


はぁ、私にはよく分かりません。いいからはよ雪掻きしてください!

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