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091 遭遇戦

 どうせ待ち時間あるなら冒険者稼業といこうかな。そうだ、ちょうど山間の川辺りにいるんだし得意のポーション材料でも探すことにしましょう。


 地図と探知のスキルを作動させると……うーんあるある『いやしそう』と『ヒールマッシュルーム』。


 魔物を探知してみると、森にはちらほらゴブリン、川辺りの岩場にはコボルドの一家がいた。


 近付かなければなんにもないわ。雪も多いしみんな大人しくしてるみたいだしね。


 いちおう安全マージンを確保しながら薬草を採取していきます。探知した所の雪をどかすといやしそうやヒールマッシュルームに混じって他の薬草も発見したわ。


 毒消しポーションを作るのに必要な野菊やハーブ、快眠できるポーションを作れる蔦なんかがわんさか。


 そうそう、疲れた時に飲めばなにかがギンギンになるって話のポーションが作れるヤマイモとキノコもあったわよ。


 なにがギンギンになるのかは知らないわ。きっと目がギンギンに冴えるんじゃないの?


 あんまり雪に当たり続ければ枯れてしまうんだからしっかり採取してしまいましょ。


「えへへ、大漁大漁っと。直接商業ギルドに納めた方が早いよね。」


 冒険者ギルドに持っていったらまた使いっ走りにされちゃうかもね、あはは。


 私は手に入れた素材を指輪の収納に入れていく。


 そういえばあの灰色ローブさんのアドバイスどおり指輪に魔素を送ったら、めちゃくちゃ容量が増えました!


 前はカバン程度の感覚だったんだけど、今やもうちょっとした倉庫くらい入るようになっちゃって。


 重宝してます、ミノルおじさんありがとう。


 ガサガサ、ガサガサ……


 森の方から茂みをかき分けるような大きな音がしてる。やばい、探知しなきゃ。気を抜いちゃった。


 探知をすると敵性生物の反応があったわ。これは……速い!


「ガァルルルルル!!!」


 なんと目の前にあった雪の積もった藪の中から真っ黒の狼が4体も現れた!


 私は収納からピコピコハンマーとバックラーを取り出して装備する。


「ガウウウゥゥ!!」


「ワオーーーン!」


 それぞれが連携なんかおかまいなしで飛び掛ってくる狼達。すごい迫力でちょっと恐い。


「でも、私だって訓練してるんですからね!」


 これでもオバケステータスの持ち主で、『そよ風の輝き』の4人との模擬戦を完封したことだってあるんだから。


 ピコピコハンマーに5ポイントの精神力を込めたわ。


 ゼロだとさすがに不安だけど、あんまり多いとせっかくの討伐素材が消し飛んでしまうから5ポイントだけ入れてみました。


「はっ!はあっ!えーい!」


 飛び掛ってきた狼の逆をついて近寄れば、狼の攻撃のタイミングが狂う。そこからステップをいれてハンマーの射程内に狼の頭部を誘い込み……えいっと叩く。


 3体の狼の頭部が弾け飛んだ。


 し、しまった!、強すぎたわ!


 最後の1体はバックラーで突き飛ばしたらちょうどいい感じに倒せました。どうやらピコピコハンマーに魔素は入れなくていいようです。


「ふう、周囲の警戒を怠ってしまったわ。失敗したなぁ。素材ももったいなかったし。」


 牙やたてがみなんかはいい値段で買い取って貰えるのになぁ。


 いやいや警戒を怠ったせいで最悪の場合生命にかかわったかもしれないのよ、そう思えば運が良かったわ。


 狼達が連携を取りながらコッソリと襲いかかってくればひとたまりもなかったもの。


「うーん、でもなぜ狼達はあんなに慌てて私に襲いかかって来たのかしら?」


 ちょっと気になる、探知で調べてみようかな。


「あれ?川の上流の方でたくさんの生き物の反応があるわ!」


 なんだろう?こんな雪の中でなにやってるのかな?


 いちおう装備を構えたまま反応のあるところに向かうと、なにやら数名の人達と狼の群れが交戦中だったわ!


 人間は8名ほどでみんなおそろいの立派な茶色の鎧を着てる。武器は逆にそろってなくて、ある人はでっかい大剣、ある人は片手剣と盾、双剣や槍、弓の人もいるわ。


 そして……強い!


 狼達を一方的に倒していく。なるほど、この人達に追われた狼が私を襲ったのね。


 これは下手に見つかると面倒になりそうね。こっそりここから離れましょ。


 そう思って後退りをした時、大きな声が聞こえてきたわ。


「前方に人影だ!数は1!」


 やばい!発見されちゃった!鎧の人達のうち3人が私の後ろに回り込もうとしてる。


「わ、私は敵ではありません!武器を納めてください。抵抗はしないわ!」


 私は大声で争う意思がないことを伝えたけど、鎧の人達は全く聞いてくれない。


「それを決めるのは我々だ!拘束しろっ!」


「囲むぞ!続けっ!」


「応!!」


 槍使いと片手剣の人が問答無用とばかりに私の射程圏内へと入り込んでくる。


 どうしよう……このままじゃ捕まっちゃう!


 私はピコピコハンマーにあえて魔素をたくさん注いだ。突き出された槍と剣をハンマーで叩く。


 バギッ!ガキィン!


 よし、上手くいったわ!近寄ってきた人の武器だけをうまく壊せた!


 これで止まってちょうだい!


「な、なにぃっ!?ウェポンブレイクだとっ!!」


「武器を収めて!私に戦う意思はありません!!」


 武器を壊された2人が立ち止まる。私もピコピコハンマーは収納してバックラーで身体を隠しながら戦う意思のないことを再度伝える。


「小癪な!歯向かったぞ!」


「危険だ!迂闊に近付くなよ!」


「警戒レベルを上げろ!場合によっては殺すことも考えるのだ!」


 えっ!?こ、殺す???


 その言葉を聞いたとたん急に身体がガタガタと震え始めた。ステータスなんて関係なく恐怖が私を取り込んでいく。


 殺される!?私が殺される!?そんなっ!!?


「わっ、私、何も悪いことしてないわ!!」


 一気に涙が溢れてきた。し、死にたくなんかない!


「私はただの商人です!こちらに人の気配があったから近寄っただけなの!殺さないで!!」


 いやっ!死にたくない!なぜ!?警戒を怠ったのがまずかったの?人がいるからって近付いたのはそんなに悪いことなの!?


 私は雪の中に座り込んだ。そんな私を見て観念したと思ったのか鎧の人達はゆっくりとこちらに向かってきてる。


「よし!拘束しろ!」


「いや、やめてぇ、助けて……まゆげちゃん!!」


 私は思わずまゆげちゃんの名を呼んでしまった。

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