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077 商談と仲良くお話するのは別です

 木炭を買い付けたあとは小麦、お酒、塩を大量に購入。本当はポーションの材料や干し肉も必要なんだろうけど、それは私が『セルマンの森』で取ってくれば済むからね。


 お金払わなくても済むし。


 それぞれの市場で金額を聞いては安いお店で交渉するのはグレース市の市場では常套手段みたいね。


 1番安いお店で大量に買うから勉強してねっていうのはあまりメジャーな交渉方法じゃないみたいだけど。


 私は安ければ安い方がいいし、お店はある程度大量に売り捌ければ利幅が狭くとも短期間で収益が出てるという現実はあるわけで、かなりいい顔をしてくれるわ。


 例えば原価300アストルの物を500アストルで売って10日で100個売れば、5万アストルの売上で2万アストルの利益が出るでしょ?


 それを450アストルで10,000個売ればたった1日で450万アストルの売上、150万アストルの利益がでちゃう。


 商人さんは売上金を使ってまた仕入れするだけ。商品ひとつの利幅は減っても短期間で自由になるお金ができるってことは、売れ残るリスク回避や確実な金銭のプールができるから商会の選択肢が増えることなどのメリットが大きいわ。


 もちろんそれを叶えるためには私のまゆげちゃんのように大量輸送ができることが条件だけどね。


 そのへんを匂わせて商品単価を380アストルくらいまで下げさせるのは私の交渉術スキルなんですけど。えへ。


 まあ、お互いいい商売ができてるってことで。




 たんまり買い物をしてから時計をみるとまだ1時間経ってなかったわ。いちおう家の買い付けはこれで充分だから次は私のこだわりの商品を購入しましょう。


 グレース市に来て私の好きな物を買うなら向かうのは当然雑貨屋さんです。雑貨大好き!


 そして、グレース市の雑貨屋さんと言えば……そう、ミルフィの実家の雑貨屋さんよね!


 ミルフィに会えるかな?この間お別れしたばかりだからなぁ。嬉しいながらちょっと恥ずかしいような気持ちになってきたわ。


 まゆげちゃんを走らせてミルフィの実家の雑貨屋さんの前に停車した。


 ガラス張りの大きな窓が付いてて中がよく見える明るいお店。外には綺麗なお花の鉢植えだったり玄関に飾るためのオーナメントなんかが飾ってあって素敵だわ。


 中に入るといくつかのお店に別れてるのよね。まあ雑貨屋さんとはいえ『雑貨市』だから。この建物の中に数店舗の店がありそのひとつがミルフィのお父さんのお店なのよ。


 お店の中にはちょっとぽっちゃりしたおじさんが座ってる。ミルフィのお父さんだ。


「こんにちは!おひさしぶりです、エリーゼです!」


 いちおう自己紹介を含めた挨拶をしとく。初めて会った時はまだミルフィと知り合う前だったからなぁ、ミルフィのお父さんは私のこと覚えてないかもしれないわね。


「やあいらっしゃい……おや?あ、アンタエリーゼちゃんだね!久しぶりだぁ!元気かい?」


 おじさん私のこと覚えててくれたわ!嬉しいな!


「はい、元気ですよ!今日は私がグレースまで買い付けに来たんです。せっかくだからおじさんに挨拶してちょっとお買い物しようかなって……あと、ミルフィの顔も見れたらいいなぁ。」


「そうかいそうかいよく来た!ミルフィのやつは残念だが冒険者の仕事で留守にしてるよ……エリーゼちゃん、俺はアンタに感謝してるんだ。娘を鍛えてくれたんだろ?ありがとうな!」


 おじさんは嬉しそうにニコニコ顔でお礼の言葉を私に掛けてくれたわ。


「ミルフィがんばったんですよ、最初は地味な訓練だったし。私だけじゃなくマールの冒険者の先輩方も手伝ってくださって。ミルフィは素直だからみんなから愛されてましたよ!」


「ははは!エリーゼちゃんに言われちゃなんだか勿体ないな。でもそうか、うちの子はマールではみんなに好かれてたか……うんうん。」


 私の話を聞いたおじさんは笑いながらも少し困ったような顔になったわ。どうしたのかしら?


「おじさん、ミルフィに何かあったんですか?」


「あ、いやいや、ミルフィは凄く強くなって帰ってきたぞ。ウチのステータスを見る魔導具で見たから間違いない。だが、ちょっと強くなり過ぎちまったみたいでな……グレースの冒険者ギルド内で浮いちまってるようなんだよ。」


 おじさんの話によると、つい最近鳴り物でデビューしたあと役立たず呼ばわりされた新人回復士のミルフィが、数週間で突然青銅級の冒険者になって帰ってきたため、今までミルフィを馬鹿にした人達と軋轢ができちゃったらしいわ。


 女の子で新人だったからか、けっこうたくさんの人と距離ができてるらしく、ギルド職員の人からもあまり良く見られてないみたい。


 ミルフィは毎日ひとりでクエストをこなしているそうなの。


「うーん、私も学校ではかなり馬鹿にされたもんなぁ。」


 人って自分より劣った物を見下すと気持ちがよくなる生き物だってミノルおじさんが言ってたわ。


「エリーゼちゃんが?そんなわけないだろ?」


「私のスキルが役立たずの落ちこぼれだってことでいろいろ言われてたんですよ。」


「先生もいただろ?何とかしてくれなかったのか?」


 おじさん驚いてる。


「みんなが私を馬鹿にすることでクラスがまとまったんです。先生からしたらその方が都合よくて……あっ心配しないで!私先生より知力ステータスが高くなっちゃったからもう学校に通ってないんです。こうやって働きながら社会勉強中なんですから!」


「エリーゼちゃんのどこを見たら落ちこぼれだって思ったんだろうな!」


 にししと笑うおじさん。まあ私の『重機』スキルは今やとんでもない優良スキルだもの。


 そしてそれはミルフィにも同じことが言えちゃうわね。ミルフィは優秀な回復士よ。今の精神力の値なら1,000回はヒールが使えるはずだもの。大魔道のトンデモ魔法だって覚えてるし。


 馬鹿にした相手が自分より優れているのが分かったとき、人は素直に認められないんでしょうね。


「おじさん、私あとでギルドに行ってみます。ミルフィとお話したいです。」


「ありがとうな。娘も喜ぶよ!」


「でもまずはおじさんのお店の商品を買い付けさせてもらいますからね!私なかなか厳しい商談しますよ?」


「おっ、そうかい?エリーゼちゃんはウチの恩人だが、商売となれば別だからな?」


「うふふ、お手柔らかに!」


 私が笑いながら揉み手をすると、おじさんもちょっと悪い笑顔になったわ。


 そのあと雑貨市場の全てのお店を巻き込んだ大立ち回りを敢行して、小物からお化粧道具、娯楽品から普段使いできそうな装飾品まで大量に買い込むことに成功しました。


 もちろんしっかりと値切ってお得中毒よね!

とりあえずここまで。また月曜日にお会いしたいと思いますが書きためはないです。


当分は自転車操業になりそうですががんばります。


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