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070 玉掛け作業と安全第一

「柱は上面に杭が刺してあるだろ。その下側に吊具替わりのロープが巻き付けてある。嬢ちゃんは俺が出す指示通りにクレーンを操作してくれ。決して自分勝手に荷を動かすなよ?良かれと思っても動かすんじゃねえ。」


「なぜですか?」


「嬢ちゃんが良かれと思った行動が他人からキチンと理解されているかなんて分かんねえだろ?吊荷を差し込んだり引っ張りあげたりしようとして勢いを付けた瞬間吊荷が動いてみろ、間違いなくスカ喰らって悪けりゃ転落災害だ。吊荷のある現場側は話し合って決めたムーブをクレーンオペレータに求める。出来る限り作業者の思い通りにクレーンを動かしてやってくれ。」


 たしかに!私から見たら簡単に見えてもいざ現場では簡単じゃないのかもしれないわ。


 私はみなさんの『吊荷をこうして欲しい』って願い通りにクレーン操作をすればいいのね。


「嬢ちゃん質問だ、クレーン作業中俺が何か言ったんだけどよく聞こえなかった。そんときゃどうするのが正しい?」


 ミノルおじさんから確認クイズが出題された。だいじょうぶ、聞き返す前に……停止しろ。


「指示が分からなければ停止です。動かなかったらいいです。」


「正解だ!頼んだぜ!」


 ミノルおじさんが私の背中をポンと叩いたわ。




 それじゃ早速柱を吊り上げよう。


 クレーンのブームから垂れ下がったフックに吊具が掛けられた。玉掛け作業っていうんだって。


 白いヘルメットにインカムを付けたミノルおじさんが私に指示を送ってる。


『ゴーヘイ、ゴーヘイ、よーしそのままジブ起こせ、起こせ、起こせ………止まれ!いいぞ、柱が起き上がって吊荷の地が切れた。もうちょい巻き上げて……止まれ!右旋回、右、右、右……止まれ!チョイスラー……止まれ!いいぞ、そのままゆっくりスラー……よし!刺さったぞ、巻下げだ!」


 言われた通りにクレーンを操作するわ。


 ミノルおじさんの指示が手に取るように分かるのはスキルのおかげね。なんだか呪文みたいな言葉も入ってるし。


 どうやら聞き間違えが起こらないような言い方と合図になっているようなの。フック巻き上げは『巻け』とか『ゴーヘイ』、巻下げは『下げ』または『スラー』って言ってる。下げの反対が上げじゃなくて巻けなあたりが間違い防止ポイントとして熱いわ!


 ていうか、これで9本とも柱を立てちゃった。めっちゃ速いし楽ちん。クレーンって便利ね。


「よーし、柱は終わったぞ。次は梁だ。皆にも働いて貰うからな!今見てたから出来るだろ?」


 ミノルおじさんの挑発的な言葉に数名の人達が立ち上がった。


「当然だ!俺達は仕事をしに来たんだからな!アンタやエリーゼちゃんの活躍を見物しに来たわけじゃねえよ!」


「威勢がいいな!ならアンタらで梁を組め。図面見たら分かるとは思うが心配すんな、俺が指示してやるから。」


 その人達を柱のそばに行くように指示を出し、残り数名を材木の吊り上げ準備に駆り出す。


「残った人達は俺と一緒に足場を組むぞ。梁を1段取ったらそこに組んでいくぞ。足場材はエリーゼさんがたくさん準備してくれてるから安心しろよ。」


 黒オヤジのおじさんは残りの人達を引き連れて足場を組むらしい。


 昨日『くさび式足場材』をたんまりとリースしといたわ。これってワンタッチで足場が組めるスグレモノなのよ。


 柱になるパイプの周囲にたくさんの引っ掛かりがついてるの。そこにくさび形の引っ掛けが付けてる足場の梁や作業床、筋交いなんかを差し込んでいくだけで足場が建つって寸法。


 クレーンで梁を吊り上げ柱と柱の間に持っていく。するとミノルおじさんの合図が聞こえてくるからその通りにクレーンを動かすだけ。


 見えなくっても関係ないわ。チョイスラーって言われたらちょっと巻下げるし、左旋回しながらジブ起こせって言われればそうするだけよ。


 指示通り、それが一番安全で確実な方法なのだから。


 時計回りに1段目の梁を付けたら足場が組まれてる2段目に入っていくわ。


 プレカットによってあらかじめ切断加工された部分を差し込み、適応する杭を打ち込んで固定してる。足場を組むのも杭を打ち込むのもハンマー1本でできるわ。


「おい、高さが上がってきた。ヘルメットと安全帯を付けろ。いいか、絶対怪我すんなよ?ヘルメットはしっかり被って顎ヒモを締めろ。顎ヒモの緩みは気の緩みだからな!安全帯は必ず使用しろ、付けただけじゃ意味ねえぞ。合言葉は『1メートルは一命取る』だ。嬢ちゃんのせいで怪我が出るなんてことがあったら……怪我になる前に殺してやるからな!」


 ミノルおじさんのたいがい物騒な檄が飛んだわ。死んじゃうくらいなら怪我のままでいいんですけど!


「へぇ!合点!!」


「怪我しねえ様に安全帯とヘルメットを装着だ!」


「エリーゼちゃんに迷惑かける訳ねえよな!?」


「あったり前だろ!」


 作業をしてる人達はめっちゃいい笑顔でサムズアップで応えてる。


 みんなそれでいいんだ……


「みなさん、気を付けて!私もがんばりますから安全第一でがんばりましょう!」


 私も拡声器を使ってみなさんに声掛けをしてみた。


「おう!ありがとうエリーゼちゃん!」


「エリーゼちゃんの為だから!」


「エリーゼのために!!」


 シュプレヒコールがなんだか聞いたことある感じ!?みなさん私の名前呼び過ぎでちょっと恥ずかしいけど……安全ならまあいいわ!みなさんがんばってくださいね。



 クレーン車のアクセルをグンと吹かして私は吊荷を吊り上げていった。みなさんもどんどん梁や足場を組み上げていき、気が付くと倉庫の骨組みと足場が完成してしまったわ。


 建方1日で完了ですって……マジ?


「よーし棟上げ完了だ!予定通りだな。後は屋根を葺いたり壁を張ったりの作業だ。嬢ちゃんの仕事はここまでだな……お疲れさん。」


 どうやら『プレカット工法』は骨組みを建てるのに1日しかいらないものらしいわね。


 さすが異世界の知識です。

こんちわ!ぴ〜ろんです。今週はここまで!


安全第一って言いますが、最近は安心第一安全第二みたいな掛け声を聞きます。安心出来る職場作りや安心な安全対策をしているから安全に取り組めるんだと言う事ですね。使用者や管理監督者に向けた言葉ですが……どこまで守られてるのやら。


エリーゼみたいな子が『みなさん安全第一ですよ!がんばってね!』って言ってくれたらみんな守ってくれるかもしれませんね。


とりあえずぴ~ろんさんは無事故無災害でがんばってますよ!これからもがんばりますのでみなさん応援よろしくお願いいたします。


それでは、また来週お会いしましょう!

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