061 またね!
こんちわ!ぴ〜ろんです。
今週もよろしくお願いします。とはいえこれを書いている現在は予防接種前なので今後どうなるかわかりませんけど。
職域接種なので願わくば異物など入ってないやつを接種できれば良いと思います。
可能な限り元気にがんばります。ではどうぞ。
プレゼントをたっぷりもらったミルフィはそれをさっそく装備して模擬戦に繰り出しました。
「えいっ!」
「うおっ!?ミルフィちゃんなんだか急に強くなってないか?」
「昨日レベルが上がりましたし、先ほどミノルさんから魔術書を見せてもらったから使える魔法が増えました!」
ローラちゃん効果でけっこうレベルが上がったんじゃないかな?魔法は絶対あの大魔道のひとが書いたやつね。
ミルフィ呪われちゃうわよ!
「何の魔法を覚えたんだ?」
「えーっと、攻撃力上昇と防御力増加、速度上昇と魔法装甲です。」
「み、ミノルさん!私にも見せて下さいよ!」
「ちなみにレベルは?」
「あ、12になりました。」
「もう絶対新人冒険者じゃないよね!?」
さすがに『そよ風の輝き』のみなさん全員を相手取っては無理だけど、1対1なら負けてないわ。
それどころか勝っちゃう。すごい。
「盾の受け流しが完璧だ。よく訓練してるぜ。」
「隊長さんからいただいた盾がすごく馴染むんです。腕に装着できるのがいいですね。」
「エリーゼちゃんと同じやつってことは…ミスリル製か!そりゃ勝てねえよ!」
ミスリルって魔法の浸透がすごくいいらしいのよ。だからミルフィの使ったガードとラピッドの魔法がよく反映されてる。
相手の武器の正面は盾で絡め取るように受け流してるし、逆に側面を盾で叩いて弾いたり。
勉強になるわ。
「いやぁ参った、降参だ。」
「俺達もここの訓練に顔を出そうかな。」
「ああ、参加した方が良さそうだ。」
お別れ会に急な参加をした冒険者さん達も模擬戦に加わったけど、ミルフィにいいようにあしらわれちゃってる。
いやあミルフィったら、すごく強くなったわねぇ。これならきっとグレース市に帰ってもパーティメンバーとして引っ張りだこ間違いなし!
「エリーゼ!」
そんなとき、ミルフィが戦いの手を止めて突然私を呼んだわ。
「どうしたの?」
ミルフィは少し緊張感をにじませた笑顔で私を見てる。
「エリーゼ、君のおかげでぼくはこんなに強くなったよ。この街のみんなのおかげで胸を張ってグレースに帰ることができるんだ。ありがとう。みんなから沢山もらったお礼として、最後に……ぼくと戦ってくれないかな?」
「え、ええええ」
真剣ながら微笑みを見せたミルフィはそういって私の前に立ち、メイスをかまえてる。
「ミルフィ、私は冒険者じゃないし素人よ?私と戦っても何にもならないわ。」
「エリーゼ、ぼくはこの数日ずっと君といっしょにいたんだ。君の強さは知ってるよ。レベルやステータスだけじゃない、訓練や指導をきちんとこなした勤勉という強さ、ぼくはそんな君の強さを胸に刻みたいんだ。そして、君に今のぼくの全てを見せたい。それがぼくにできる恩返しだと思うんだ。」
そっか、そういう友情の示し方、すっごくカッコいいと思う。
「わかったわ、そういうことなら私も全力で迎え撃ちます。」
私は指輪の中からピコピコハンマーとバックラーを取り出して構えた。
「嬢ちゃん魔素は込めるなよ、ミルフィちゃんが家に帰れなくなるからな。」
「わかってます、ミノルおじさん。」
翌日、お天気は快晴でいい旅日和。
ミルフィが旅立つ日です。寒い日じゃなくてよかったね。
マールの門の前でお見送りすることにしたわ。
「ミルフィだいじょうぶ?」
「平気だよ。良い気持ちでひっくり返ったから逆にダメージが残ってないくらい。」
私とミルフィの模擬戦は私の圧倒的な力の前に手も足も出なかったミルフィがノックダウンされる結果になったわ。
ミルフィのメイスの猛攻をバックラーで弾くまでもなく全てかわし、ピコピコハンマーで額を一撃。ミルフィはあえなく気絶してしまった。
魔素を込めなくても芯を捉えたピコピコハンマーの一撃はかなりの衝撃だったみたいね。まあ私の体力ステータス200を超えてるんだもの。
「やっぱりエリーゼは強かった。ぼく手も足も出なかった。でも、その強さはぼくの中に刻み込まれたから。がんばって修行してもっと強くなって必ず君の前に帰って来るからね。」
うれしそうに話すミルフィを見てるとなんだか胸の真ん中がほっこりと温かく、そしてなぜかチクチクしていくのがわかる。
「ほんとに送っていかなくてもいいの?」
「うん、そこまでされたらぼくは冒険者としてやっていけなくなっちゃうよ。」
「そっか……」
そうよね、ミルフィは冒険者なんだもの。
「おお、間に合ったぜ!見送りに来たぞ!」
やって来たのはミノルおじさんと黒オヤジのおじさん。本当にこのふたりは仲良くなったわね。
「ありがとうございます。おふたりともお世話になりました。」
「次にマールへ来た時にゃあの工事現場に立派な建物が建ってるからな!楽しみにしてろよ。」
ミノルおじさんはミルフィの頭をクシャクシャとなでたわ。
「ミルフィさん、俺はプレゼントとかよく分かんないからよ、とりあえずこれを渡すよ。途中で食ってくれ。」
黒オヤジのおじさんがミルフィに渡したのはお弁当だった!
「あ、ありがとうございます。え?これ黒オヤジさんが作ったんですか?」
「弁当箱はミノルさんに抗菌と浄化の魔法付与をして貰ったよ。まあ…弁当箱も中身も俺が作った。」
黒オヤジのおじさんったら、めっちゃ照れてる!
ていうか手作りのお弁当とお弁当箱ってさ、女子力が高いのか高くないのかよくわかんないよね!
「おお、間に合ったみたいだな!」
「うむ、良い旅の日和だな。」
「ミルフィ、あなたひとりで大丈夫?何ならうちの『そよ風の輝き』をタダで貸すわよ?」
「ギルマスに言われるとなんか腹立つ!」
やって来たのは『そよ風の輝き』のメンバーと商業ギルド、冒険者ギルドの両ギルドマスターズさん。
「はい、大丈夫です!今のぼくなら2日あれば充分帰れますから。」
「ほんとあなた強くなったわよねぇ、どうやったのか教えなさいよ!」
「あ、あはははは……」
「貴様が知ると碌な事にならんから知らずとも良い!」
「な、何ですって!?」
「けんかしないでくださいよ!」
両ギルドマスターさん達は本当に仲が悪いわ。過去に色々あったんでしょうね。
「ミルフィ、忘れ物よ。冒険者証を忘れちゃダメじゃない。」
「え!?ぼく確かにパスケースに入れたはずなんだけどなぁ。」
ギルドマスターのお姉さんはニヤニヤしながら一枚の冒険者証を指で弾いてミルフィに飛ばした。
「わっと!ありがとうございます……あれ?これって青銅級になってる!」
「だってあなた、青銅級なんだもん。当たり前でしょ?」
いつの間にかミルフィのステータスは青銅級になってたようね。
「もう、大事な冒険者証を忘れるようじゃ心配になるわね。はい、これあげるわ。私のおさがりだけど使いなさい。」
お姉さんはミルフィに青い布を渡したわ。どうやらそれはマントのようね。
「わあ、マントだ!カッコいいな。フードも付いてる。ありがとうございます!大事にします!」
ミルフィはさっそくそのマントを身に纏った。コバルトブルーのマントはミルフィの好きな青い色。内側は綺麗な白。
「お、おいまさか!あのマント!アンタあれって…」
「まさか!貴様、ミルフィ嬢の冒険者証をくすねたのはそういう事か!」
「あーいいのいいの、お古なんだからさ。もう私使わないし。まあ元気にやりなさいよ、じゃあね。」
なんだかギルドマスターさんや冒険者さん達が騒いでるけどお姉さんはお構いなしにくるりと振り向き手をヒラヒラとしながら帰っていっちゃった。
「え?これって?」
「むう…そのマントを大事にするのだ。それは彼女が元白金等級だった事の代名詞である代物だとだけ言っておこう。それだけ君に期待してるという事だろう。」
「ええええ、これぼくが身に付けたらダメなやつなんじゃ……」
「貰ってやってくれないか。そのマントは唯一無二の物なのだよ。しかし小娘、粋な事をしよる!」
ギルドマスターさんの言葉が重いわ!
「みなさんありがとうございます。それじゃ、ぼく行きます。お世話になりました。」
ミルフィがペコリとお辞儀をし、青いマントを翻して門を潜っていったわ。
「おい嬢ちゃん、いいのか?」
ミノルおじさんがかけてくれた声がどこか遠くで聞こえてる。
私、頭の中が熱くなってぼーっとなって……ダメよエリーゼ、なにか言わなきゃ!お別れなのよ!
ミルフィの姿がどんどん小さくなってる。
「ミルフィ!またね!」
私の口から出たのはそんな月並みな言葉。
その声に振り向いたミルフィ。
「エリーゼ!またね!ローラちゃんをよろしく!」
ミルフィはまた前を向いて歩き出す。でも彼女が振り向いた瞬間、その綺麗なブルーの目からおっきな涙の粒が溢れてたのを私は見逃さなかった。
だ、ダメ!もう無理!私今日は泣かないって決めてたのに!
私の目からも涙が溢れてミルフィの姿は見えなくなった。それでも私はマールの門から彼女の後ろ姿を見送り続けたわ。
誤字修正ならびにご感想いただきました。ありがとうございました!アドバイスや指摘等すごくためになりますのでどしどしお寄せください。
もちろん『おもしろい』『ためになる』『エリーゼちゃんをうちの嫁に』等応援メッセージならぴ〜ろんのやる気が跳ね上がります。結構本気で跳ね上がります。
よろしくお願いします。ちなみにエリーゼは嫁にやりません。




