051 精神力を回復する方法
お父さんのエリクサー騒動はほっておいて、私とミルフィはまゆげちゃんに乗ってマールの街の3番通りへやって来ました。
プルルルルルルルルルルルルル
まず目指すはモジャおじさんのところです。
ポーションといえばモジャおじさんだもの。
「モジャおじさんっていうお父さんやミノルおじさんのお友達がいるのよ。ポーションを作ってる人なの。」
「モジャおじさん?すごい名前の人ね。」
「あはは、私が勝手にそう呼んでるのよ。だって髪もお髭もモジャモジャなんですもの。」
モジャおじさんに相談してポーションの工夫をしたいわ。ミルフィの尊厳を守らないとね。
「こんにちは!モジャおじさんいますか?エリーゼです。」
「おっ?エリーゼちゃんかい?」
私が『妖精の雫』の裏にある工房の扉をノックして挨拶をしたら、中からモジャおじさんが出てきたわ。
「わっ、ホントにモジャモジャだ!」
「ね、モジャおじさんはモジャモジャでしょ?あ、こんにちはモジャおじさん。」
「ああこんにちはエリーゼちゃん……と、えーっと、嬢ちゃん?坊ちゃん?」
「あははは、こんにちは。ぼくはミルフィっていいます。11歳の女の子です。今日からエリーゼのお宅にお世話になってます。」
ミルフィの挨拶にモジャおじさんははははって笑ったわ。
「ははは、びっくりしたぞ。可愛いけど男の子っぽいからエリーゼちゃんに彼氏が出来たのかと思ったぜ。」
「もう!おじさんってば!私に恋人はまだ早いです。」
「んなこたぁねえよ、エリーゼちゃんは立派なレディだから街のボウズ達がほっとかねえって。まあウォールさんは気が気じゃねえだろうな……俺達も気になるし。」
んん!?なぜモジャおじさんが私の恋人を気にするのかな?
あ、もしかしてモジャおじさん達『マール紳士同盟』の人達は、私に恋人ができたらお仕事に身が入らなくなるかもしれないって思ってるのね。
「安心してください、私今は仕事が恋人ですから。」
「いやいやそれはそれで気になるぞ。色んな意味で。」
もう、心配性なんだから。
「所でエリーゼちゃんとミルフィちゃん、だっけか?今日はどうした?」
「モジャおじさんに相談があるんです。今ミルフィが魔法の訓練でマジックポーションを飲んで回復をしてるんですけど、たくさん飲みすぎてお腹がいっぱいになっちゃったんです。だから飲む量が少なくて回復幅の大きいマジックポーションを探してるんです。おじさん、なにかありませんか?」
一応モジャおじさんにも訓練内容は秘密にしとこ。ミノルおじさんに話す許可を取ってないしね。
「ふーん、ちなみにどれ位飲んだんだ?」
モジャおじさんはふんふんと私の話を聞きながら何かメモを取ってる。
「要は魔力を使う訓練をするために沢山魔力が必要って事だな。んで、マジックポーションは腹が膨れるから多用出来ないと。なるほどなぁ。」
使うのは魔力じゃなくて精神力なんだけどね、まあいっか。
「エリーゼちゃん、お前さんは魔力の素になるなんとかっていうエネルギーを沢山持ってるんだよな?」
「はい、精神力です。」
「俺はポーションなんかを作る関係上魔力の素になってる物質の事は分かるんだよ。精神力って言うのはよく分からんがな。要はそれが補充出来たら良いんだろ?」
「そうですね、魔力の素とは魔素のことです。ミルフィに魔素を注入できれば精神力が回復して魔法が使えるようになるわ。」
ミルフィの精神力は多分30ポイントくらいじゃないかなあ。それが補充できるようになるんならきっとどんな方法でも問題ないわ。
「なら……あれを試してみるか。」
モジャおじさんは私を見てにんまりしてる。なんか超ドヤ顔。
「エリーゼちゃんとミルフィちゃんが頑張ってるみてぇだから、俺が良い物貸してやるよ。ちょっと待ってな。」
そういって後ろにある棚の中からなんかヘンテコなラッパに玉が付いたような道具を出してきたわ。
「おじさん、これは?」
「不思議な形の道具だね。」
「これはな、魔石に魔力を注入する魔導具なんだ。俺はポーション作りに必要な魔石をこれで作ってる。魔力を注ぎたい方に漏斗みたいな所を当てて丸い玉に魔力を注ぐとな、漏斗を当てた物に魔力が入っていくんだよ。だからこれを使ってエリーゼちゃんがミルフィちゃんに魔力を注入してやれば良いんじゃないかな?ま、人から人でやった事がないから上手くいくかどうかは分かんねえけどよ。」
ほぇー、そんな道具があるんだ!すごー!!
これなら確かにミルフィのお腹がチャポチャポにならなくて済むかもしれないわね。
「とりあえず急ぎで魔石の補充をする仕事はねぇし、流石にやる訳にはいかねぇから10日間ほど貸してやろう。」
ミルフィの精神力を補充するのに私の精神力を使えばいくらでも訓練ができそうね!
「ありがとうモジャおじさん!お借りします。」
「ははは、いいって事よ!その代わり今度空魔石に魔力詰めるのを手伝ってくれや。」
「わかりました、任せてください!」
「もしぼくにも出来るならやってみたいです。」
「期待してるぜ、じゃ訓練頑張りな!!」
モジャおじさんは私とミルフィの頭をクシャクシャっと撫でてくれました。
「……んで、その道具で嬢ちゃんからミルフィの嬢ちゃんに魔素を補充しようってのか。なかなか面白ぇな。」
ミノルおじさんの工房に来て、ミノルおじさんにミルフィの精神力を調べてもらいました。
順調に増えてただいま32ポイントになってたわ。よかった。
「まさかマジックポーションでお腹いっぱいになるとは思いませんでした。ぼくマジックポーションで満腹になったの生まれて初めてだよ。」
「あははは、そんな人あんまりいないと思うわ。」
「まあマジックポーションなんてそんなにガブガブ飲むもんじゃあねえから。」
ひとしきり3人で雑談をしてから今後の作戦を立てることにしたわ。
「妖精の雫の旦那も面白ぇ魔導具持ってるな。それなら俺からも良いもんやるよ。」
ミノルおじさんは作業台の引き出しから私の拳くらいの石を出してきたわ。
「ミノルおじさん、それは何ですか?」
「これは空の魔石だ。元々その魔導具は魔石に魔素を充填する道具なんだろ?それならミルフィの嬢ちゃんはその魔石に魔導具を使って魔素を注ぎゃ効率良いと思うぜ。その魔石は魔素が5000ポイント位入るから3つもありゃ足りるだろ。」
そっか、今は魔法の練習してるわけじゃないんだから魔石に魔素を溜めることで精神力枯渇させることができそうね。
「い、15000溜めるまで終われないのか……ホントに特訓ね。」
ミルフィはちょっと遠い目をしてるけど、私50万貯めたんだからそのくらいはすぐだと思うわ。
魔石に溜めては私がミルフィに補充するのを繰り返すからすぐに溜まると思う。3日で終わるわ。
「そうだな、5000ポイント溜めたらまたうちに来いよ。そん時に良いもんやるわ。」
「いいもの、ですか?」
「ああ、最初の5000ポイントは『魔導書』をやろう。後々の訓練に必要な魔法が覚えられるぞ。」
えっ!?ミノルおじさん魔導書なんか持ってるの?すごーい!
「そ、そんな高価な物いただくわけには……」
「ああ気にするな、俺の友達の嫁が作ってくれたんだがよ、俺には必要ねぇから。ミルフィの嬢ちゃんだったら有効に使えると思う。」
いったいどんな魔法が使えるようになるのかなぁ。
「ミルフィ、これはのんびりしてられないわ。ぱぱっと魔石を満タンにしてしまいましょ。」
「ええええ、5000ポイントだよ?心配だなぁ。」
「なに言ってるの?すぐよすぐ、明日には満タンになるわ!すぐに帰りましょ。」
「ははは、あんまり無茶するなよ。頑張りな!」
「ああああ……ミノルさんさようならぁ…」
私達はミノルおじさんにさよならの挨拶をしてまゆげちゃんに乗り込んだ。




