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050 訓練開始!

「そ、それはヤバい!初めて会った人達、それも大人とはいえ男の人達の前でお漏らしなんかしちゃったら、ぼく生きていけないよ!ありがとうエリーゼ!」


「お礼はいらないわ。私が伝え忘れかけちゃっただけだから。ごめんね。」


 私のおうちに着いてお父さんからお母さんとお兄ちゃんに説明してもらい、挨拶もそこそこにさっそく訓練に入ることにしました。


 もちろんミルフィにはおトイレに行ってもらったわよ。


 すでにラフなワンピースの寝巻きに着替えてもうベッドに座ってます。


「マジックポーションの入った水差しの準備よし。もし苦しくなった時に身体を拭くタオルもあるわ。」


「う、うん。じゃやってみるね。」


「リラックスしてねミルフィ。あなたならできるわ。私にだってできたんですから。」


 私はミルフィをベッドに寝かせ、手を繋いだ。


「じゃ、いきます。ぼくの精神力全てを使うイメージで……全てのケガを全回復させるイメージで……」


 ミルフィの手が熱くなってきた。これが回復魔法なのね、すごい、優しい温かさが彼女の手を伝わって私の身体に流れていくわ。


「ヒール!!……はわわ……むぎゅう」


 ミルフィの手が黄色く輝いて私を包んだとたん、ミルフィはベッドにひっくり返っちゃった。


 精神力がなくなっちゃったのね。ちゃんと魔力を使って魔素をコントロールできたみたい。


「ヒールがちゃんと発動したかは分かんないけど……とりあえずマジックポーションを飲ませなきゃ。」


 私の生命力は多いからよくわかりません。


 ミルフィの首の後ろに腕をまわし優しく抱えて少し頭を上げ、水差しに入ったマジックポーションを口に含ませたわ。


 たくさん入れたらむせちゃうからね、そーっと、そーっとよ。


 今のミルフィの精神力の量なら口に含む程度で充分足りるはずだから。


 むぐむぐ、こくり。


 ミルフィは口をムニャムニャさせてる。どうやらちゃんと飲み込んだわね。


「ミルフィ、ミルフィだいじょうぶ?」


 私はミルフィを再度ベッドに寝かせて軽く肩を揺すってみたわ。


「ん……ああ、エリーゼ……」


 ゆっくりと目を開けたミルフィ。よかった、気が付いたわ。


「ああ、ぼくは本当に精神力枯渇で気絶しちゃったんだね。でも思ったより気持ち悪さはないなぁ。よかった。」


 ミルフィはゆっくりと起き上がろうとして……ハッと我に返ったように飛び起きた。


「お、お漏らし……は、してない……よかったぁ!」


「うんうん、よかったね。私の尊い犠牲は無駄じゃなかったわ。」


 10歳でおねしょだもの!私だれにも見つからないよう必死にシーツと下着を洗ったもの!!


 たぶんお母さんにはバレてるけど。


「さすがにまだ実感できるほど精神力は増えてないと思うわ。辛くなかったらもう1回やってみる?」


「そうね、だいじょうぶ。まだまだやれるよ。」


「ふふふ、その意気よミルフィ。それじゃもう一度やってみましょうか。」


「はい先生、うふふ。」


 そうして私達は何度も精神力を使い切る訓練を繰り返しました。




「うう、ぼくマジックポーションでお腹がいっぱいになっちゃった。次こそおねしょしちゃいそうだよ。」


「そっか、そういう問題があったわね。」


 26回目、とうとうミルフィのお腹が限界に達しちゃった。


 時間はまだお昼の3時前、全然余裕があるし。どうしようかな?


「ちょっとミノルおじさんの所に行ってみる?精神力を鑑定してもらいつつ何かいい方法がないか聞いてみましょ。」


「うん、分かった。着替えるからちょっと待ってね。」


 ミルフィは持ってきた荷物をゴソゴソとかき混ぜて白いシャツと茶色いズボンを出してきた。


 ササッと着替えてはい終了。


「うん、いいよ。行こうエリーゼ。」


 ミルフィって男の子みたい。


 私はいつもエプロンワンピースを着てるからミルフィのボーイッシュなスタイルは新鮮。


 ちょっとかっこいいな。


「お父さんお母さん、ミルフィと一緒にミノルおじさんの所へ行ってきます。」


 テーブルでコーヒーを飲んでたお父さんが私の声に反応したわ。


「おや?ミルフィさん、訓練は一時中断かな?」


「はい、マジックポーションを3瓶飲んだらお腹がチャポチャポです。」


「はははなるほど、それならもう少し高品質なマジックポーションを探しておこう。飲む量が減れば負担も減るだろうしね。」


「そ、そんな!泊めていただいているだけでご迷惑をおかけしてるのに、そんな高価な物いただけません!」


 全力で手を振って遠慮してるミルフィ。心配しなくてもいいのに。


「だいじょうぶよミルフィ、私ギルドのお仕事でお金を稼いでるけど今のところ使い道がないの。だから安心してね。」


「それならもっと駄目だよ。エリーゼががんばって稼いだお金なんだからぼくに使っちゃ駄目!」


「いいえミルフィ、心配しなくてもこれは無駄遣いじゃない、先行投資よ。私はみんなが幸せになるためがんばってお仕事してるの。」


 ミルフィの職業は回復士。私よりもっと直接みんなを助けることができる人になれる。そんな、あなたを応援できるのは私の目的に合ってるのよ。


「あなたが回復士として人を助ければ助けるほど多くの人が幸せになれる。私はそれを手伝いたいの。」


「エリーゼ……分かった、ありがとう。ぼくがんばるね!」


 私達を見てお母さんはすごく誇らしい顔をしてるわ。お兄ちゃんは泣いてる。


「エリーゼ……立派だぞ!ミルフィさんも頑張るんだ!母さん、妖精の雫にエリクサー売ってたな、あれを買ってくる……いたた!!」


「あなた、何事もやり過ぎは駄目ですよ。」


 舞い上がったお父さんはお母さんにお尻をつねられたわ。

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