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047 ミルフィと私

 お父さんやミノルおじさん達『マール紳士同盟』さんとのお話し合いで今まで通り商業ギルドのお仕事やおうちの手伝いをしながら冒険者ギルドの依頼もお手伝いすることになったわ。


 でもギルドカードを作ることができないから、冒険者のおじさん達のパーティ『そよ風の輝き』のお手伝いをするんだけどね。


 まあ私に向いた依頼があれば代わりに受けてくれるって話だから、きっと楽しいだろうしみんなのためになるお仕事もできるはず。


『そよ風の輝き』さん、よろしくお願いします!


「という訳だ、ギルマス。そういう感じで取り扱いを頼む。嬢ちゃんに直接依頼とか持って行くなよ?ちゃんと俺達を通せ。」


「なんでギルドマスターである私が居ない間に全てのお話と手配が終わってるの!?」


 商業ギルドのギルドマスターさんが商業ギルドに戻っていったと同時に冒険者ギルドのギルドマスターのお姉さんが戻ってきたわ。


 ギルドカードやステータスのことはお姉さんには内緒にするらしい。


 おかしいな、この人ギルドマスターなんでしょ?


 どうやら現役時代はすっごく優秀な白金等級冒険者だったことと美人なこと以外はかなり残念な人みたいです。


「それで、私に会いにきた人はどこにいるんですか?」


 もしかして連れてくるのを忘れたんじゃ……


「ああ、ちょっと待っててね。今纏めた荷物を裏の預かり所に預けてるから。まあ預かり所って言っても鍵が付いただけのただの小屋なんだけどね……ああ、来た来た。」


 はは、大丈夫でした。


 冒険者ギルドっぽい両開きのいい感じなドアがキィと音を立て、1人の女の子が中へ入ってきた。


 赤い短髪のちょっとボーイッシュな雰囲気がかわいい子。身長は私よりちょっと高いかな。目は綺麗なブルー。


 その子は私を見てまっすぐこっちへやってきた。


「あ、あなたがエリーゼさんですか?ぼくはミルフィっていいましゅ!」


 !!!!


「噛んだな。」


「噛んだ。」


「噛んだわね。」


「ああ、確かに噛んだ。」


 ええ、思いっきり噛んだわ。


「はわわわ……」


 ミルフィさんは両手の拳を握って胸の前でブンブン振ってます。


 なにこのかわいい生き物、ぼくっ娘の上噛んであわあわしてる!


 あの歴戦の猛者みたいな雑貨屋さんの娘とは思えないわ。


「ミルフィさんはじめまして、エリーゼです。お会いできてうれしいな。」


 わたしはミルフィさんの手を取って挨拶をしたわ。するとミルフィさんの慌てていた表情がぱああっと晴れやかになりました。


「ぼくも会えてうれしいです!お父さんからエリーゼさんの話を聞きました。はああ、想像してたよりかわいいなぁ。」


 かわい子ちゃんからかわいいって言われたわ!なんだかうれしいな。


「コホン、あのぅ、ミルフィさんは私に会いに来たそうですが、私の話はあなたのお父様から聞いたのですか?」


「は、はいそうです!父が是非エリーゼさんに会いなさいと言いました。エリーゼさん、ぼくを強くしてください!」


 わお!すっごい直球!


「ええええ、私が強くしてあげられるわけじゃないよぉ。」


「でも父は強くなりたいんだったらマールの街に住むエリーゼという女の子を訪ねなさいって言ったんです!すっごく強くて不思議な力を持ってる女の子だって!」


 私はミノルおじさんから精神力を増やす方法を教わったわ。でも、それは一般的にはよく思われていない方法だったし、ミノルおじさんとの秘密だったから言わなかったの。


 私はミノルおじさんの方を向いたわ。


「どうした嬢ちゃん、その子を強くしてあげるのか?」


 ミノルおじさんは真顔で私を見て言ったわ。


「同じくらいの歳の女の子ががんばってるんだから私はお手伝いしてあげたいです。でも、ミノルおじさんとの約束だから……」


「なるほど、俺との秘密だから嬢ちゃんからは方法を話してないって訳か。まあ約束したもんな。」


「は、はい。」


 私の返事にミノルおじさんはちょっと考え込んでる。たしかに気絶するまで精神力を使うって必死過ぎだもの。


 でも、ミルフィさんはなぜそんなに強くなりたいのかな?


「ミルフィさんは回復士になったんですよね。やっぱり『回復魔法』のスキルが手に入ったのですか?」


「は、はい。でもぼく魔力が少ないからか回復魔法を使える回数が少なくて……だからみんな最初は優しくしてくれるんですけどだんだん相手にしてくれなくなっちゃうの。みんなぼくのこと『落ちこぼれ』だって……ぼく、悔しくて情けなくて。」


「そっかぁ。」


 ミルフィさんはしゅんとなっちゃった。


『回復士』は冒険者でもちょっとレアな職業みたいなの。冒険者って探索したり魔物を倒したりするのが仕事なんだけど、けっこうケガをしちゃうみたい。


 あの時『そよ風の輝き』のお兄さんとお姉さんも死んじゃうんじゃないかってくらいの大ケガをしてた。


 そこでケガを治すのにポーションや回復魔法を使うんだけど、魔法士が使う回復魔法やポーションでの回復に比べて回復士の回復魔法はよく効くし毒とか麻痺とかは回復士や聖女みたいな専門職の人しか治せない。


 だからミルフィさんは最初こそたくさん声を掛けられてパーティにも参加したんだろうな。でも、回復魔法が使えたとしても持ってる精神力が少なかったら肝心の回復魔法が使えない。精神力を増やすためレベルアップしたくても前衛職みたいに魔物を倒すこともできない。


 まわりの人達も最初期待したぶんがっかりしちゃったんだろうなぁ。結果ミルフィさんは誰からも誘われなくなっちゃったってわけか。


 これは……かなり悔しかっただろうなぁ。


 私ミルフィさんを助けてあげたいわ。あの寝る前に精神力枯渇で眠る方法は今のミルフィさんの状態を改善するのにぴったりだもの。


「おじさん、ミルフィさんを手伝ってあげたいわ。ダメですか?」


 私はもう1回ミノルおじさんにお願いしてみたわ。


「だ、ダメですかって……そんな風に嬢ちゃんから言われたら……駄目とは言えないじゃねえか、ずりぃな!」


「はっはっは!ミノルさん、うちのエリーゼは狡くなんかないよ。ちゃんとあなたとの約束を守って訓練方法を教えず自分がマールに住んでいる事だけ伝えたんだ。そしてミルフィさんはそれを信じてやって来た。中々出来ることじゃあないよ。」


 お父さんナイス!そういえばお父さんはグレース市で私がミルフィさんのお父さんとした会話を褒めてくれたっけ。


 うふふ、私約束は守るタイプなのよ。


「ミルフィの嬢ちゃん、アンタは何故強くなりたいんだ?悔しいからとか見返してやりたいからとかじゃなくて、何故回復士になって強くなりたいのかが聞きてぇな。」


 ミノルおじさんはミルフィさんに質問したわ。ミルフィさんはグッと表情を固くしてミノルおじさんを見つめてる。


「お父さんは……父はぼくが『回復魔法』のスキルを得られたことをとても喜んでくれたんです。回復士を勧めてくれたのも父です。ぼくはひとりっ子だから本当なら実家の店を継がないといけないはずなのに、『若いうちに自分の能力を磨いておけ』って言ってくれたんです。ぼくはそんなお父さんの期待に応えたい!」


 ああ、この人は私とおんなじだ。


 スキルこそは良いスキルだったかもしれないけど、ステータスが付いてこなかったせいでまわりから『落ちこぼれ』って言われたのね。


 でも、ミルフィさんのお父さんは自分の娘を支えようとしたんだわ。だから私の精神力の高さを知り、その方法をミルフィさんに教えてあげたかったんだ。


 そしてミルフィさんもそれに応えようとしてる。


 私と、同じ。


「ミノルおじさん、『マール紳士同盟』って私達みたいながんばる子供達を支えてくれるんでしょ?ミルフィさんも私と同じだわ。」


「くうっ、痛え所を突かれちまった。こりゃ俺の負けだわ。」


 ミノルおじさんは顔に手を当てて参ったのポーズをしてるわ。


「分かった、エリーゼの嬢ちゃん、この嬢ちゃんに強くなる方法を教えてやりな。」


 ミノルおじさんからの許可が出た!


「ありがとうミノルおじさん!」


「嬢ちゃんが責任持って教えるんだぞ?俺もサポートしてやるから。」


 私とミルフィさんの頭をぽんぽんするミノルおじさん。私がミルフィさんの方を見ると、ミルフィさんと目が合った。


「ウォールの旦那、あの訓練方法は周囲のフォローがないと難しい。あんたの所でミルフィ嬢ちゃんを面倒見ちゃくれねえか?俺を煽ったんだからやってくれるよな?」


 ミノルおじさんがお父さんに協力をお願いしてくれてる。


「そうだな、エリーゼの同世代の友達だ。うちで責任もって面倒見させて貰うよ。」


「お、お父さん!ミルフィさんがうちに来るの!?」


「訓練はエリーゼがするんだろ?それならうちに来て貰った方が都合良くないか?」


 お父さんは私達の方を見てにっこり微笑んだわ。


「良かっなエリーゼの嬢ちゃん、ミルフィちゃん!しっかり訓練して立派な冒険者になるんだぜ!」


「ミルフィさんもエリーゼちゃんと一緒に私達との戦闘訓練もしたらいいじゃないの。」


「いいな、やろうやろう!回復士だって近接戦闘が出来た方がいいさ。」


『そよ風の輝き』の人達も喜んで協力を申し出てくれてる。私のまわりは本当にいい人ばっかりだわ。


「え、エリーゼさん!皆さん!よ、よろしくお願いしましゅ!!」


 ミルフィさんまた噛んだ!


「また噛んだな。」


「ええ、また噛みました。」


「ああ、また噛んだよ。」


「噛まない訓練はしねぇよ?それは自分で何とかしてくれや。」


 みんな笑顔になったわ。


 本当に今日はいろいろあった。私のステータスの秘密も分かったし、ミルフィさんもマールに来てくれた。


「私達今日からお友達ね、よろしくミルフィ。」


 そう言って私はミルフィさん…いえ、ミルフィに手を差し出した。


「友達……ありがとうエリーゼ、こちらこそよろしく!」


 私達はお互い手を握りお互いを見て微笑んだ。




「よくわかんないけど、マールは今日も平和だわ。とりあえず目的は果たせたし、なにをするのかは知らないけれどがんばってね。」


 ギルドマスターのお姉さんだけはなんのことか分からないみたいだったわ。

今週はここまでです。普段とはちょっと変わったテイストのお話でした。次週はミルフィさんが訓練します。基礎の建方が終わるまでの1週間、ミルフィさんにはエリーゼさんの異常性を堪能してもらうとしましょうかね。


感想やアドバイス等お待ちしております。評価もあればうれしいです。高ければなお良いですが、それは自分の能力に依存ですね。おてやわらかによろしくお願いします。


それではまた来週!



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