131 冬の終わり
こんちわ!ぴ~ろんです。今週も始まりました!よろしくおねがいします。
寒いし新型コロナウィルス関係で窮屈な生活を余儀なくされていらっしゃる方も多いと思います。今はじっと耐えて春を待ちましょうね。
少しでもこの作品でほっこりな気分になれればと思います。それではどうぞ。
結局大宴会は3日に渡って続きました。
さすがにそこまでいくと私の貯金じゃ足りなくなっちゃうということで、領主様が宴会の資金を取り持ってくださることになりました。
領主様は街の人達や作業員さん達と散々飲み明かし、みんなで揃って口からキラキラを吐き出してました。
ギルドマスターさんやバトラーさんはさすがに平静を装ってましたけど、ギルドマスターさんは結婚について触れた途端その仮面が外れちゃうからそこを弄られてましたよ。
ギルマスお姉さんは幸せそうに見ていました。良かったですね。これを機に真人間になってください。
領主様の方から私のお父さんへ王都護送の依頼がありました。ちょうどお父さんはミルフィのお父さんと飲んでいたのでミルフィにも王都への同伴依頼があったわ。
ふたりとも恐縮しながらも承諾、これで私の王都行きは決定しました。
同時に領主様の息子さん達からお父さんに私の扱いに対する謝罪がありました。お父さんは『やっぱり……こちらこそ娘が失礼いたしました』となぜか達観したような表情でお返事をしてました。
私の扱いが……解せぬ。
その後お母さんとお兄ちゃんがお酒と食事を持ち込んだため仕切り直しの酒宴が始まってしまいましたけどね。
「ミノルおじさん、どうしたんですか?」
「ああ、面白ぇなと思いながらこの風景を肴に酒飲んでたんだ。」
隅っこの方でひとりお酒を飲んで黄昏てるミノルおじさんに声を掛けてみたわ。
「うふふ、みんな仲良しでいいですね。私も慰労会をやってよかったわ。」
「今まで貯めてた金だろ?勿体なくないのかい?」
「うーん、私はまだ実家でお父さんとお母さんにお世話になってるから今までお金を使ってこなかったんです。使うひまもなかったですしね。」
「欲しいもの買えば良かったんじゃねえか?」
「欲しいものはミノルおじさん達が全部くれたから。」
「お、おうそうか……」
ミノルおじさんが照れてる。ミノルおじさんは私に全てをくれた人。
泣いてるだけだった私に希望と力を与えてくれたわ。まゆげちゃんが最高の相棒になれたのもミノルおじさんが整備してくれたおかげだし、ピコピコハンマーやアイテムボックスの指輪もくれた。
ミルフィと出会って彼女を強くすることができたのもミノルおじさんが私に協力してくれたからだし、ジューキ設立だってミノルおじさんの協力が大きく関わってる。
「ミノルおじさん、今までありがとうございました。私はこれからもがんばるから引き続きご指導よろしくおねがいします。」
「なんだよ気持ちわりぃな!嬢ちゃんはいつも通りがんばってりゃ良いんだ。後は俺達がカバーしてやるからな!」
そう言って私の頭をガシガシと撫でてくれたミノルおじさん。
ありがとう、私のお師匠様。
結局ミルフィの休暇はマールの街の大宴会に参加することで終わってしまいました。
でもお父さん孝行できたみたいで嬉しそう。
ミルフィとミルフィのお父さんはうちに泊まって貰ったの。ミルフィのお父さんもしっかり羽を伸ばせたようだし、領主様にも面会して色々お話もしたみたいで実りある日々を過ごしたようです。
領主様とご家族は作業員宿舎に泊まって頂きました。とはいえ他の人と一緒というわけにもいかなかったので、私のスキルで別棟のプレハブ建物を建てました。
食堂はないけどリビングルームに簡単なシンクを取り付け、当然お風呂とトイレは設置。
ゲストルームは個室の部屋数8となかなかの大きさになりました。
来賓用宿舎として使うことにします。領主様は別荘にしたいって言ってたけどお断りしましたよ。あなたのお家はすぐ建ちますからもう少しお待ちください。
宴会終了後、領主様のご家族とミルフィとミルフィのお父さんをバスでお送りしました。
なぜかアドリアン君はマールに残ったんだけどね。
本格的に冬になると積雪があるたびにジューキへの除雪依頼が出てくるから少し多忙になります。
ジューキ社員総出で雪掻きをして工業区域にできた水源地に雪を捨ててるの。
もう遠くの川に雪を捨てに行く必要はありません。水が湧いて池になった元砕石山は新しく作った要塞城堡の中だから安全に捨てることができるわ。
製鋼所なんかの生産設備の冷却水や要塞外側の濠の水にとっても必要な水源だから雪を入れても問題ないの。
当然飲料水や畑にまわす水は浄化の魔石で綺麗にしてから使ってるわよ。マール再開発計画委員会ではこの機能を使って各家庭や農作地に水道の設置を考えてるみたい。すごいね。
雪が積もるとさすがに建設工事は難しくなるけど、新しくなったマールの門は取り付けました。
クレーン2基で縦5メートル、横8メートルもある鉄の扉を慎重に吊り上げて門の上から差し込んだのよ。その後門の屋上にある巻き上げ機からチェーンっていう鉄の輪っかを繋げた鎖を降ろして門に接続。巻き上げ機は『魔導減速機』っていう不思議な機械でできてて、ハンドルをクルクル回すとあんなに重たい鉄の扉が簡単に昇降できるの。
ついでに『マギエンジン』っていう回転装置も付いてるからボタンひとつで昇降もできちゃう!ミノルおじさんが作りました。
この新しく完成した『マールの門』は外敵から私達を守ってくれるだけじゃなく、きっとこの街の観光名所にもなってくれることでしょうね!
そういえば鉄鉱石が掘れる鉱山の試掘もやったわ。その結果けっこう浅い層からも鉄鉱石が取れることが分かったの。
これでマールの街の新しい産業として『鉄鋼業』が始まるわ。
こうして寒い冬が過ぎ、新年がやって来て、やがて春になりました。