表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/165

118 地下坑道の崩落と酸欠

おはようございますぴ〜ろんです!間に合わない分は今フォローします!がんばります!

 でっかくなったパクパクさんを走らせて長さ200メートルくらいの空間を作り、セグメントで補強しました。


「これはナイスだな!秘密基地みてぇだ、ははは!」


「男のロマンっスね!今度うちの車両基地の地下を掘ってみようっス!」


「地下室って憧れだよなぁ。」


 えええ、地下だと景色とか見えないじゃない。つまらないわ。男の子のそういう所って私には分からないのよね。


「新しく作って貰う城の地下もホールや練兵所にしてくれ!」


「ふむ、地下を通って外壁まで移動出来れば有事の際兵の展開がスムーズになります!」


 ええええ今言う!?ほんっと私にはよく分かりません!そういうのは擁壁を建てる前に言っといてくださいね!


「さて、余談はここまでだな。この拠点の壁面を20メートル毎に最小サイズでくり抜いていき、鉄鉱石が出なくなる所まで行ったら引き返すんだ。そうしてどこからどこまでが効率の良い鉄鉱床なのかを見極める。分布が分かれば山の上から露天掘りだ!」


「え?ここから掘って街に持っていくんじゃないんですか?」


 折角綺麗に掘ったのに、結局上から掘り直すのはもったいない気がするわ。


「嬢ちゃん、急がば回れだ。ここから掘削してもいいんだが、そうすると必ず着いて回る問題がふたつ出てくる。」


「な、なんですか?」


「崩落と酸欠だ。ここから穴を拡げるなら穴を掘る度支保工を掛けまくり、新しい空気を送り込む装置も作らなきゃならねぇ。」


 そ、そっか、今は人数も少ないしパクパクさんに乗ってるだけであまり呼吸も荒れてないから酸欠は気にならないけど、本当ならたくさんの人が肉体労働に従事してるんだから酸欠は気になるわ。


 それに下から掘れば崩落のリスクは高い。


「それで上から掘った方がいいって話になるんですね。」


「ここまですり鉢状に掘りさえすればその後ここから街までトンネルを使って鉄鉱石を運搬するのもありだな。上が空いてりゃ崩落も酸欠もねぇから!」


 はぁ、ミノルおじさんはなんでも知ってるのね。


「ミノル殿、酸欠とはなんだ?」


 領主様は酸欠についてご存知ないみたい。私もミノルおじさんから『酸素』について教えてもらうまで知らなったもの。


「ちょっとややこしいから概念を覚えてくれればいい。俺達の周りには大気という目に見えない物質があるんだよ。大気は色々な種類の物質が混ざって出来ているんだが、その中に含まれている『酸素』という物質はこの世の全ての生物が動作をする為に必要とする物質なんだ。呼吸によって体内に摂取され、当然使うからそれはなくなる……厳密には使われる事で別の物質に変化しちまってる。狭い所に沢山の人が詰めかけりゃあ間違いなく酸素が足りなくなる。普段の生活でも部屋の窓を開けて換気をする大きな理由は酸欠を防ぐ為なんだ。」


 急に言われても分からないわよね。私は蓋をした瓶の中にロウソクを入れたら火が消えてしまったのを見て初めて酸素の存在を信じることができたの。


 火が燃えるため瓶の中の酸素を使い切ったから火が消えたってことね。


「まあその『酸素』がなくなり生き物が活動出来なくなるのが酸欠だ。一呼吸で下手したら死ぬぞ。」


 人間の身体は脳がいちばん酸素を必要としてるらしいのです。だから酸素がない状態で息を吸うと即行動を停止してしまうの。


 脳が停止すれば当然気絶、もしくはそのまま死亡も有り得るってわけですね。


「まあ見えねぇ物は信じにくいからな。一応気を付けろとクギは刺させて貰うぞ。」


「よく分からないっスけど、息が出来なくなるのは分かったっス。」


「上等だ!」


 ミノルおじさんがウィルくんの頭をガシガシと撫でてる。ウィルくんはちょっと恥ずかしそうな顔でじっとしてるわ。あはは。


「それじゃあウィルくんにはいったん街に戻ってもらい、外からボーリングでこの拠点に穴を空けてきてほしいんです。位置の確認兼空気穴ですね。」


「ウィル、俺も付いて行こう。ボーリングは大丈夫だろうけどここの位置を出すのはちと難しいだろ?俺に任せとけ!」


「へへっ、相談役が来てくれるんなら安心っス!よろしくお願いするっスね!」


 ミノルおじさんがウィルくんに付いて行ってくれるって。よかったねウィルくん。


 ボーリング車をリースしてウィルくんに預けました。ふたりともこれに乗って戻るみたいね。


「もっとエリーゼちゃんの勇姿を見ていたいが今日の所は戻るとしようか。皆の者よ、鉄の採掘は今回の建設工事のみならず我が領としての悲願でもあるのだ。よろしく頼みましたぞ!」


「ふふふ領主様、私がお供いたしましょう。」


 領主様とギルドマスターさんは帰っちゃうみたいね。


「うーん、エリーゼさんひとりを置いとく訳にはいかないよな。俺もここに残ろうかな。」


 砕石のおじさんは残留する意思を示しました。まあおじさんは作業できないからまゆげちゃんの助手席に乗って見てるだけですけどね。


 みなさんそれぞれに移動していったので私も作業に取り掛かることにしたわ。


「それでは早速掘りますか!パクパクさん、まずはここから掘りますよ。ベースを固定するのは面倒だから……よーし、やってこいこいブルータス!」


 ドルルルルン!


 ブルータス様の排土板にシールドジャッキを押し付けてからパクパクさんを発進させた。するとブルータス様が少し後ろにずれていく。


 これはまずい、ブルータス様を前に出さなきゃ。


 慌ててパクパクさんからブルータス様に乗り換え軽くエンジンを吹かしてパクパクさんを壁に押し付けていく。


 そしてブルータス様のキャビンから飛び出しパクパクさんに乗ってカッターを始動、穴を掘り始めたわ。


 ザクザクと穴を掘り始めたパクパクさん。


 拠点から魚の骨みたいな横穴を這わせて鉄鉱石の埋蔵分布を調べていくの。えーっとたしか『ぶらんちまいにんぐ』だったっけ?


 あっ、パクパクさんのセグメントをセットしなきゃ!ブルータス様も前進させたい!


 あれ?これって手が足りてない?


 やばい忙し過ぎるかも!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ