002転生?転移?
「さて、あなたには2つ、選ぶ道があります。1つは、異世界で全く新しい命として生まれ変わること。ちなみに、地球の記憶はすべてリセットされます。まさしく「転生」ですね。もう一つはどちらかと言うと「転移」に近いでしょうか。地球の記憶と経験を引き継いだまま異世界に移動する。多少ですが、容姿も変更することは出来ます。」
「ちなみに、両方にメリット/デメリットはありますか?」
「強いて言うならば、「転生」は「新しい人生を」という意味を込めて、特にボーナス特典などはありませんが、縛りもありません、逆に、「転移」は「新しい世界で生きるため」の転移ボーナスがあります。しかし、そうですね、分かりやすく言うと……「主人公補正」とでも言いましょうか。無自覚に周りでトラブルが発生する、巻き込まれやすくなる、といったデメリットはあります。後は、皆さん様々な理由で選んでいますね。」
「理由……と言うと?」
「そうですね……例えば、「地球の技術で異世界を発展させる」や 「異世界で無双したい」 と意気込んで転移を選ぶ人、あるいは「地球に未練が無いから」や「異世界に馴染めなさそう」という理由で転生する人、様々です。」
なるほど……確かに、都会の便利さを知っている人が、いきなり田舎生活に馴染めるかって話かな……。
「分かりました。少し考えたいのですが、先に異世界について教えていただけますか。どんな世界かを。」
「そうですね。先にそちらの話をしましょうか。といっても、世界も様々ありますので、ご要望を言っていただければ、それに見合った世界にお連れいたしますよ。」
となるとやっぱり、選ぶのは1つだよね。
「では、定番かもしれませんが、「魔法のある世界」に「転移」をお願いします。やはり魔法は憧れますし、自分は自分として生きていきたいと思います。」
だって、魔法の世界だよ?せっかく、今の記憶を持って行けるんだったら、魔法で何が出来るか試したり堪能したくない?ちなみに自分は生きていた頃も魔法使い……って、やかましいわ!でも、やっぱり憧れるよね。冒険者ギルドに行って、魔法を使って魔物を倒して……って言うのはさ。
「承りました。では、魔法のある世界に転移で準備をしますね。次に、転移ボーナスですが、こちらのクジを回してください」
と言って管理者さんが指し示したのは、巨大な福引機……いわゆるガラポンだった……。いや、いくら自分のイメージを反映してくれるって言っても、それは手抜きじゃないのかね……。