第2話 装備調達
ギルドを出たあと、俺はとりあえず武具屋に向かった。
「よう、いらっしゃい」
店に入ると、ガタイのいい強面の店主が声をかけてきた。
「何が欲しいんだ?」
「大剣と防具を」
俺は考えていた装備を伝える。
「ふむ…。大剣か。ガタイもいいし、向いてるかもな。防具の方はどうする?鎧か?」
「いや、軽いものでいい。なるべく身軽に動きたいんでな」
「分かった。坊主、いくら持ってる?」
「これぐらいだが」
俺はそう言って予め用意しておいた金を出す。母さんからこの日のために貰ったものだ。
「30000ゼルか…。まあ、それなりの装備にはなるな。分かった、今から選んで来よう。少し待ってろ。」
そう言って、店主は装備を見に行った。装備を選ぶなら最初は店主に任せるのが一番なのだ。ちなみに、ゼルとはこの世界の通貨だ。
数分すると店主が戻ってきた。
「こんなもんでどうだ」
そう言って見せてきたのは、160セメトほどの大剣と、丈夫そうな皮で出来た防具だった。
「大剣の方は鉄と銅の合金、防具はリザードの皮で出来てる。形状はベストでそれなりには耐久性もあるし、リザードの皮だから耐火性もあるぞ。どうだ?」
「ああ、十分だ。ありがとう」
「いいってことよ。代金は29000ゼルな。」
「分かった」
俺は言われた金額を店主に渡した。
「まいど。また金が貯まったり何かあったりしたら来い。いい装備を出してやるし、修理などもしてやろう」
「ああ、頼りにしてるよ」
店主といい感じの関係が築けたところで、俺は店を出て家に向かった。
ーーーーーージードの家
「ただいま」
「おかえり〜」
家に帰ると母さんが出迎えてくれた。
「あら、いい装備ね。職業は何にしたの?」
「暴走士、だよ」
やはり、自分の母親に不遇職を選んだことを伝えるのは、少しはばかられるものだ。
「…そう。暴走士にしたのね…」
少し、いやかなり表情が暗くなる。俺がそれを選んだことを悲しんでいるのだろうか。にしては少し暗すぎる気が…。
「分かったわ。ジードの選んだ道だもの。応援するわ」
だがすぐに顔を上げて笑顔でそう言ってくれた。杞憂だったのだろうか。
「ありがとう。明日にでもクエストを受けに行ってくるよ」
その日は普段と変わらない日を過ごして眠りについた。
その晩。ジードが就寝した後もまだ、ヴィクトリアはリビングにいた。
「ジードが暴走士だって。血は争えないのかしらね、あなた…」
既に亡き夫を思い浮かべ、ただそう呟いたのだった。
どうも、颶炎です。今回は、この世界の単位について説明を。ゼルとはこの世界の通貨であると出ましたが、1ゼルあたり10円ほどになります。つまり、ジードのは29万円の買い物をしたことですね。またセメトはこちらで言うcmにあたります。
ではでは、また次回。